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『旅の途中 』

 この話は2016年2月にトラベラーズノートのウェブサイト「みんなのストーリー」に掲載された旅のストーリーです。現在も掲載されています。そのままここに掲載いたします。現在も「みんなのストーリー」に毎月一作旅の話を書いています。これは掲載第100作目です。

 トラベラーズノートが世に出て今年で10年になるそうだ。私がトラベラーズノートに出逢ったのは恐らく2006年の発売直後で、場所は都内の大型文房具店であった。そのときは購入せずに一緒にディスプレイされていたTRAVELER’S TIMESの1号を持ち帰っただけだったと記憶している。購入して実際に使い始めたのは2007年の6月に香港へ行ったときだ。“みんなのストーリー”に投稿を始めたのが2007年の10月で一作目の「ケチャップ」(リンクをお願いします)を掲載していただいたのが翌11月だった。ここまで書いてきた年号を見ても時間の経過を感じる。親しい人達に掲載のお知らせをする手段もEメールだけだったものが、携帯電話のメール、Facebook、最近ではLINEが加わった。

 2007年の10月以来毎月一作ずつ投稿を続け、今日まで掲載し続けていただいている。そして、このストーリーはちょうど100作目の投稿となる。10周年とか100回目とか区切りのいい数字を記念にするのが日本人は特に好きなような気がする。100作目とはいってもこれからも書き続けるので私には通過点でしかないのだが、今回はこれまでを振り返る形で書いてみたいと思う。いつもより長くなり、様子も少々異なり、さらに写真も多くなると思うがお付き合いいただきたい。

 これまでの人生で、そのほとんどは仕事ではあるが、頻繁に旅をしていたのは新卒で航空会社に入って6年目の1995年から、私が航空会社を失業し日韓共催のワールドカップの仕事で日本国内を回った2002年頃までだった。その後は当時一月でしていた旅の頻度は一年間での回数に及ばなくなった。裏を返せばごく普通の、一般的な生活になったといえるかもしれない。

 振り返って見ると、トラベラーズノートがこの世に出る前から“トラベラーズノート的な”ことをしていた。旅先で現地の方々に案内していただいたり、自ら訪れたレストランやバーのショップカードを整理して保管していた。再訪時や友人・知人にお薦めの場所を尋ねられたときに備えていたのだ。根が旅好きなので、空港-ホテル-仕事場という限られた場所での限られた時間での滞在であっても、たとえ短時間でも少しでも楽しみを見つけ、その土地を楽しもうとしていた表れだともいえる。

 訪れた先で入手したものに関して書く際に、“訪れた証”というタイトルを付けている。使い古しのオーガナイザー(システム手帳?)に集まったカードそれぞれが訪れた証になっている。

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使わなくなったオーガナイザー(システム手帳)を利用していた“トラベラーズノート以前”です。現地で連れて行っていただいたところは現地の方々しか行かないお店が殆どだったで、お店のカードは必ず手に入れていました。 再訪時はもちろん友人・知人に旅先でのお薦めのお店を尋ねられた際に役に立ちました。雑誌の切り抜きなんかも貼っていたので、その地の再訪に備えていたのが分かります。

 私の旅の証人であり相棒となっているものは旅の供であるスーツケースだ。旅先で滞在したり、滞在はしなくてもコーヒーショップやバーに寄ったり、食事をしたりしたホテルで入手したそのホテルのステッカーを貼ることにより、旅の供に訪れた証を刻んでいった。ホテルのステッカーには、ホテル名の他に地名や国名も入っているので、これ以上明白な訪れた証はないと現在でも思っている。ホテルのステッカーに関しては回を改めて書くつもりでいる。間違いなく複数回になると思っている。

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殆ど仕事での旅でしたがこのスーツケースと一番多く旅に出たのではないでしょうか。国内線・国際線に関わらずこれは手荷物で大丈夫でした。家のインテリアにしたいので飽きたら売ってくれと仰った海外の先輩がいらっしゃいました(笑)。どこの空港でもイミグレーション(入国審査)の列が長いと、両サイドの列の方々、特に欧米の方がじっとこのスーツケースを眺めていることがよくありました。目が合うと微笑みかけられたり、話しかけられたことは数えきれないほど(笑)。

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スーツケースというと現在ではこの形しか考えられないというほどになりましたが、同じブランドでこれが出たときはすぐに入手しました。このスーツケースともよく旅をしました。現在は弟が短期の海外出張へ行く際によく貸します。キャスターが付いている分だけ楽になりましたが、ハンドルの収納スペースの凸凹が内部に出ているため、実はそれほど物が入りません。 9.11で航空会社を失業した後、日韓共催のワールドカップの仕事で日本中を回ったときはこのスーツケースも一緒でした。ハンドルは一度折れて修理したことがあります。2010年に一回り大きなものを購入しましたが、それはまた機会があれば・・・。

 この2つのスーツケースと旅に出ている頃は、ほとんど仕事での旅ではあったが、よく旅をしたとつくづく思う。どんなに忙しくてもその旅先から数枚は友人・知人に絵葉書を書いたり、バーに行ったりして自分の時間をわずかでも確保していた。その当時にトラベラーズノートがあったとしたらリフィルが何冊にもなったことだろうと思う。仕事の愚痴まで書き綴っていたかもしれない。さらにトラベラーズファクトリーが成田空港にその当時あったとしたら、旅行保険の手続きのあとでファクトリーに寄るのがルーティーンになっていたはずだ。

 旅毎にバインダーに整理したリフィルを見ると、そのほとんどが事前の現地とのやり取り(友人達やホテル等)から記録してある。一時に比べて旅に出る機会は、仕事でも余暇でも少なくなったが、トラベラーズノートを携帯するようになってからは無意識のうちにその旅の準備の段階から旅に関わっている時間の一瞬一瞬を大切にするようになっていた。

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初めてトラベラーズノートを持って旅に出た記念すべき?最初の記録です。同年の11月に台北にも行きました。一つのバインダーに旅二回分の記録が収まっているというのは今では考えられません(笑)。初めて使ったので、使い方を試行錯誤していたのでしょう。

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気が付くとこれだけトラベラーズノートと旅をしていました。これらは思い出であるばかりでなく、ストーリーを書く際のネタのストックでもあります(笑)。成田空港のトラベラーズファクトリーが開店した直後に成田へ行ったのも旅としていました。その旅に関しては「遠出・5」をご笑覧下さい。一昨年訪れた大分のものはバインダーの装飾をどうするか模索中で、台北のものは現在作製中です。

 普段はリフィルをセットしてこれから書いて投稿しようと思っていることをどんどん書き溜めている。書き溜めていったリフィルも結構な数になってきた。100作も書いていれば当然かもしれない。書こうと思ったことは忘れないうちにすぐに書き留めることにしている。

 書き溜めたものを基にパソコンに向かって徐々に膨らませていき、写真を添えたりして形にしていく。その過程でいろいろなことを思い出し、そこでまた書きたいことが出てくることがよくある。そしてそれをまた書き留める・・・を繰り返している。書き留めておきながら時間が経ってしまい、昔の旅が大昔の旅になってしまっている旅もあるが、いつか書き残したいと思っている。書き続けることに関しては全く苦痛もストレスも感じない。かえって仕事や日々の生活で感じるストレスを旅の話を書くことが抑えてくれている。

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左上がストーリーを書くために使い始めたリフィルの第一冊目で右下が現在使っているものです。1作につき見開きで2ページ使います。イベントやコラボ製品のステッカーが出て入手できればそのとき使っているリフィルに裏表紙も使って貼っています。訪れることができたイベントのスタンプはリフィルの中の無地のページに捺しています。これらリフィルに書き溜めたものをパソコンで整えて、その話に相応しい写真があれば添えて投稿しています。

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そしてトラベラーズファクトリーの周年のステッカーは記憶を辿る上でヒントになってくれるという意味でも貴重です。

 今回この話を書くに当たってリフィルを見返してみたが、思っていた以上にまだ書いていない書きたいこと、書いておきたいことがかなりたくさんあった。これからまた旅をすればまた書きたいことがさらに加わることだろう。

 このサイトは確か2010年の4月頃に一度リニューアルされている。それ以後に掲載していただいたストーリーにはほぼ毎作二千以上のアクセスを掲載から二、三ヶ月の間にいただき、以後ジワジワとアスセス数を伸ばしている。アクセスしていただいた方の中には最後まで読んでいただくことなく、ページを閉じられた方もいらっしゃると察するが、興味を示していただいたことには感謝している。平均すると毎作ほぼ二千数百なので、こちらに都合良く考えて、毎月少なくとも二千数百人の方々が楽しみにして下さっていると思っている。

 今作も掲載していただけたとしたら、月に一作を100ヶ月続けて来たことになり、“みんなのストーリー”(サイトのリンクをお願いします)に私のストーリーが100作並ぶことになる。トラベラーズノートのサイトに投稿しているのにトラベラーズノートがほとんど出て来ない話を100ヶ月、 言い換えると8年と4ヶ月ものあいだ真摯に向き合って下さっているチームトラベラーズのスタッフ各位には大変感謝している。通常の形で書く予定の101作目が掲載されれば、また来月からトラベラー各位には引き続き是非ご笑覧いただきたい。

追記:

ノートは個人的なものなので、中身はもちろんその外見も人に見せるべきものではないと思っています。いつも読んで下さる方の中で私がどのようにトラベラーズノートを使っているのかと思っている方もいらっしゃると思うので外見だけでも少しだけ。100作目の記念ということで(笑)。

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これです・・・。8年と7ヶ月使ってこんな風合いになりました。普段はダイアリーとストーリーの下書き用のリフィルを入れて、旅に出るときは下書き用のリフィルを旅の記録用のものに入れ替えて使います。ペンホルダーに付けているコインは私が世界一好きなコインであるイギリスの1ポンド硬貨です。サイズ違いのペンホルダーで2007年の旅の際に購入した万年筆を支えています。

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仕事で使っている黒のレギュラーサイズと備忘録として持ち歩いて使っている茶のパスポートサイズです。ペンホルダーが下のほうがカバンの中で安定する気がします(私だけ?)。黒のレキュラーサイズは2010年から・・・多分(笑)、茶のパスポートサイズは発売された2009年から使っています。このくらいでよろしいでしょうか?(笑)


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