見出し画像

解離性同一性障害について by Kairi

こんばんは。現在こちらは17時です。
今日は解離性同一性障害について当事者なりに解説していきたいと思います。
なお、こちらは専門家による文章ではないので、様々な解釈あるかと思います。
この記事が全ての障害を絶対と断定するものではございませんので
ご注意ください。あくまで一意見とし、
ご参照くださいますことをお願い申し上げます。

自己紹介
簡単にまず僕たちの自己紹介から。
名前:Kairi達の日常
病名:解離性同一性障害(MPD)、自律神経失調症、起立性調節障害
  発達障害多数併発、その他諸々
今まで11年ほどMPDを患ってきました。今年で12年目です。

解離性同一性障害の基本的な説明(メカニズム編)

解離性同一性障害を一言で表すならば「人格が複数できる病気」と言えます。
しかし、コレには少々語弊のあるので僕たちなりにまとめていきます。

1、自己同一性(自我同一性)について

大前提として、人は皆人格を複数持っているのが当たり前です。
人格の数々は様々な感情や好みであったり、記憶の一つ一つであったりします。
例えば、①「お肉が好き」でも②「魚も好き」という
①②の思考があったとして、これが「人格」に値します。
誰でも〇〇が好き、〇〇が嫌い、△△はちょっと好きなど
考えたりそれらの情報を記憶したりすることはあると思いますが、
僕の担当医によるとこれらが「人格」というものに当てはまるそうです。
これを聞いた時普通にびっくりしました。
人間多重人格が元々のステータスとは。


そして、ボンボコ生まれるこの人格達を大きくまとめ上げてくれて
「それでも自分は自分一人だ」と認識するための機能が
人間には備わっています。それが自己同一性です。

自己同一性がなければこの人格達はバラバラになったまま
人は自分を自分一人だと認識できず、思考や考えていること、さっきまでの
記憶の一つ一つを映画のように続けて認識することができません。
解離性同一性障害は、なんらかの理由によってこの
“自己同一性“が失われることにより起こります。

自己同一性についてもう少し詳しくお話ししましょう。
自己同一性がなければ記憶を一連繋げて認識できなくなるほか、
自分を自分だと思えないので生活が困難になります。
なので我々人間にとってこの自己同一性とはとても重要な機能なのですが、
なんとこの機能は生まれつき人が持って生まれてくることはありません。
幼少期に周りの大人や
家族との関わりによって形成される後天的なものなのです。
これらはリラックスできる環境で、のびのびと遊べる環境がなくては
大人になっても形成されないままになってしまいます。

また、形成された後もこの自己同一性を失う可能性があります。
極度のストレス状態に陥ると、人は心を守るためにこの自己同一性ごと
中の人格も含めて一気にバツンと遮断し壁を作ってしまうことがあります。
例えば、ハサミで粘土を切ると粘土自体は増えたわけでもないのに
個数は2個になりますよね。解離性同一性障害も同じです。

解離し二つに分かれてしまうと一人の人間の中で、本来一つのはずの
自己同一性が二つになってしまうことがあります。
つまり、自分の中で「自分は一人だ」と認識しているものが二つ同時に存在し
多重人格のように思えてしまう状況下がつくられるのです。
また、この様に解離で自己同一性ごと切り離され表面上に出現した様に見える
人格のことをここで「解離性人格」と呼びます。

◇ つまり解離性同一性障害とは

「自分は自分一人だ」と認識できる“自己同一性“がなくなることにより
元々覆い隠されてまとめられ上げていた複数の人格達が突出することで
“自分の中にもう一人の人格が現れた“
認識してしまう神経症のことを言います。

これが基本の解離性同一性障害の説明になります。
もっとわかりやすく例えるならば、スーパーやコンビニに売っている
飴玉の大袋をイメージするとわかりやすいかもしれません。
飴玉の大袋は「一つ」として認識できますが、
中にはたくさんの味(性格)の飴玉が個包装になって入っていますよね。
この大袋が「自己同一性」として“一つの商品、一品“とし認識できるものであり
個包装の中にあるのが「人格」に該当します。


2、解離について

では、次に根本的な問題として、
「解離」とはどのようなことを言うのでしょうか。
結論として、解離自体はとても身近な症状の一つと言えます。

例えば、みなさん思い出してみてください。
緊張して心臓がバクバクなりながらもスピーチ、プレゼンなどを行った後や
期末試験などの勉強で今までの努力を発揮するぞと意気込みテストを解いた後

何を話していたのか、どんな問題を解いていたのか
全くもって忘れてしまうことはありませんか?

これが「解離」です。
解離自体はとても自然な現象で、そんなに特別なことでもないんです。
また、これは子供時代によく起こります。(大人でも十分起きます)

メカニズム的な説明として、過度なストレスや緊張状態が続くと
心を守るために人は記憶を切り離す習性があります。
これを「解離」と呼びます。物忘れとよく似ていますが、相違点として
思い出そうとしても思い出せないもののことを解離としましょう。

3、解離性人格について

先ほどチラッと自己同一性の時にお話ししましたが、
念の為解離性人格についてももう一度より詳しくお話ししていきましょう。
解離性人格とは、これまでに説明した「自己同一性」「解離」により
切り離されて別々として存在してしまっている人格のこと、を指します。
もっとよりよく簡単に言うなら解離によって現れた人格のことです。

切り離されるものは様々で、感情だけだったり、記憶だけだったり、
思考だけだったり、またはその全てや断片が切り離されたりします。
切り離された人格達はそれを元に性格が形成されるため、
余計に自分の中にもう一人できた、と認識できてしまうのです。

また、切り離されるパターンにもいくつか種類があります。
細かく説明していくと何億通りもの話をしなくちゃいけなくなるので、
大きくまとめて二つに分けてご紹介します。

◇自己同一性ごと切り離されるパターン
◇自己同一性が幼少期にうまく形成されず元からバラバラのパターン
の二つに分けることができます。これは主観的な…個人的な感想ですが、

自己同一性ごと切り離されるパターンが
1番最初の解離の場合はDID、

自己同一性が幼少期にうまく形成されずパターンが
1番最初の解離の場合はMPD

である場合が多いと個人的に思っています。
DIDとMPDの違いについては、また詳しく別途でご紹介しようと思っているので
今回は一旦置いておきましょう。一気に詰め込んでもこんがらがるだけです(笑

さて、今度は解離性人格の役割などについてお話ししていきたいと思います。

4、解離性人格の役割について

解離性人格(解離によって出現した人格のこと)には、
様々な役割や記憶が持たされます。
↪︎怒りが原因で解離したなら怒りの原因となった出来事の記憶や、その思考
↪︎何か辛い出来事があって解離したならその出来事の記憶など。

〜point〜
先ほども話したように、解離したからといって
全ての記憶や感情、その時の考えていたことなど
全てが解離するとは限りません。解離の仕方は千差万別であります。

また、これらは生まれき(解離したその瞬間)から持っている要素であり、
これらをここでは「解離要素」と呼ぶことにしましょう。

また、人格と解離性人格の違いとして、
解離が起きずに自己同一性の中にすっぽりと治っているのが人格、
(イメージとしては自分の心の声や感情のこと)
解離が起きて自己同一性の中から追い出されたり、
自己同一性ごとぶった斬られている状態の人格のことを
解離性人格と呼びます。

わかりやすいイメージとして、
最近2が出たインサイド・hッドをイメージしてください。
(著作権を守るために一部伏せ字にします。)以下ネタバレ含みます。
嫌な人は目次から4番に飛んでください。

rイリー(主人公)のなかに存在している、
「喜び」「悲しみ」「むかつき」などといった彼らが人格であり、
第一弾の映画で喜びが司令室から追い出されてしまうシーンがあります。
そうしてrイリーの特別な記憶達をrイリーは思い出せなくなります。
これを「解離」で、あの司令室が「自己同一性」、
司令室から追い出された状態の喜びを「解離性人格」と言います。
あの場合はまだ喜びが表面上に出ていないので、完全な解離ではなく
内在性解離と呼ぶことができるでしょう。
内在性解離についてもまた別途詳しく説明しますので、
今回は置いておくことにします。

5、解離性人格の種類について

様々な解離要素を持った人格達が、解離後各々の動きをきめ、
自分はこれからどのように行動するか別れることがああります。
これを分かりやすく名称付けたものがあるので、
個人的によく見かけるなぁ。と言ったもの達を軽く説明していきます。

↪︎基本人格
解離の大元であり、消滅することはありません。
解離性人格が増えれば増えるほど基本人格の感情や思考は少なくなっていき、
やがて主人格のなかに引きこもってしまい認識できなくなるケースがあります。

💫↪︎主人格
体を主に担当し生活する人格さんです。
基本人格が兼用している場合も多くみられます。

💫統括人格
人格達の行動をまとめ、今後闘病の行末や生活の方針、お金の管理などを
任される(決めていく)リーダーを担う人格さんのことを言います。
主人格と兼用になっているケース、
主人格は別である程度意見をまとめ主人格の元まで持っていき
最終判断を任せるケース、
主人格は別で最終判断もこの人格が行うケースなど人によって様々です。

💫保安人格
内界や表で出現した人格さんを監視し
治安維持を目指す人格さんのことを言います。
イメージしやすく言うと街の安全を守るための警察官のような役割です。

💫迫害人格
物を壊したり自傷行為を繰り返したり、
人間関係をメチャクチャにしようとしたりする人格さんのことを指します。
切り離された怒りや解離要素が行動の起点です。
死のうとしたりする人格さんも当てはまります。

💫交代人格
上記どの役割も持たないフリーの人格さんのことを指します。
解離要素だけを持ち、交代できる人格さんが他にいない時などに表を
担当したりしなかったりすることがあります。

💫子供人格
子供の人格さんのことを指します。ひらがなだけ読めたり、
読めるけど書けなかったり、読み書き全てできたり、
幼児退行が見られたりみられなかったりする場合がります。
自認年齢が幼いです。

💫がついている人格さんは、全てまとめて
「複人格」と総称することができます。基本的にどの仕事に就くか
生まれ持った解離要素によって区別されるので、解離要素と合わせて
考えることが自然かつおすすめです。

例:
怒り(解離要素)「僕は怒りが理由で解離し切り離された。」
⬇︎「だからムカつく物全部壊してやる!!!」→迫害人格

「僕は力を出すのが得意な解離要素を持って生まれてきた。」
⬇︎「だからこの体を守ることにした!」→保安人格

解離性同一性障害の細かな症状について

解離性同一性障害には、
人格出現の他に様々な症状があるので紹介していきます。

↪︎離人(りじん)
体がふわふわしたり、浮いている感覚になります。
頭がぼーっとして自分を後ろから見つめているような
感覚に見舞われたら離人です。(個人差はもちろんあります。)

↪︎健忘(けんぼう)
心的外傷やストレスによって引き起こされる症状です。
自分にとって大事なことからなんでもないことまでその範囲は広く、
記憶が思い出せなくなります。名前や個人情報から、
今日食べた昼ごはんなど軽いものも見られることがあります。

↪︎遁走(とんそう)
どこか遠くの場所へいき、
名前や家族といった重要事項を思い出せなくなることです。
2〜3日から酷いと半年以上思い出せなくなることがあります。

↪︎昏迷
意識があるにも関わらず、光や音などの
外的刺激に対する反応が弱まり(あるいは欠如し)
長い間動かなくなることを指します。睡眠状態、意識障害に該当しません。

↪︎解離性運動障害
災害や大きなストレス、命の危険を感じた際に心を守るため
これらが精神ではなく身体に症状が現れる解離性の障害のことを指します。
別名転換性障害と呼ばれることがあります。
これらは大きく三つに分けることができます(下記参照)。

◇運動障害…手足の機能低下、歩行障害、麻痺、痙攣など
◇感覚障害…視覚、聴覚、皮膚感覚の異常、嚥下障害など
◇発作症状…意識消失、手足の震え

解離性運動障害は、精神的ストレスや心的外傷が
きっかけとなり突発的に発症することが多いです。精神の中核である
自我が緊急に退避することで運動機能が低下する、と考えられています。
↪︎事故の後、後遺症でもないのに
運動機能の低下が見られる際も該当する可能性が高いです。

まとめ

ここまで、解離性同一性障害についての基本の説明(メカニズム編)や
自己同一性の説明、細かい症状やそれぞれ人格の説明などをしてきました。

多重人格というとアニメのようなものを思い浮かべますが、
あのように完全体が二つ体の中に現れるのではなく、
粘土をハサミで切った際二つに割れるように
解離によって自己同一性が二つに割れてしまいそこから起きるのが
解離性同一性障害ということがわかりましたね。

少しはふわふわとしたフィクション上の話から、
実際に脳の神経に起こる現実上の障害である話と
少しでも印象が変わりましたか?うまく伝わっていれば幸いです。
また、わからないことなどありましたらTwitter(@Kairi_504)の
マシュマロにて受け付けております。当事者の皆様も、
そうでない皆様も是非お気軽にお申し付けください。

これから、MPDとDIDの違いについてや、
ISH(理論的自)と基本人格(感情的自己)、
イマジナリーフレンドと解離性人格についての関連性、またその応用など
色々まとめ上げた後漫画やこうしてノートにまとめて行こうと思いますので
興味がある方はフォローをしてお待ちいただけると意見の参考として
お役立てできると思います。あくまで専門家ではないので、
1当事者の意見としてご参照くださいませ。

長い解説にはなりましたが、ここまでご愛読いただきありがとうございました。

Kairi

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?