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神話伝承論〜奈良大学スクーリングの想い出〜

奈良大学通信教育部文学部文化財歴史学科に在籍、所定の単位を取得して令和2年(2020)3月に卒業しました。奈良大学通信教育部では毎年、7月〜9月、2月〜3月の金曜日〜日曜日にかけてスクーリングが開催されます。

スクーリングでは日本全国各地から学生が集まり、世代を超えてキャンパスで学びます。私が実際に履修したスクーリング科目について、回顧して書き綴っていきたいと思います。

今回は「神話伝承論」。國學院大学に転任された万葉集研究の第一人者、上野誠先生の講義でした。

講義では古事記について。「神話伝書論ノート」に沿って講義は進められました。教室に入ってきて、まず先生がされたことは教室中を一周して一人一人に挨拶をされたこと。講義は大教室だったにも関わらず、教室中をくまなく歩いて、挨拶をしていた姿は圧巻でした。

3日間の講義は「神話資料として古事記をどう読むのか​」、「国土形成神話を読む」、「黄泉行神話を読む」の3つのテーマに沿って進められました。

まず最初に古事記の序文は「上表文」の形式をとっていて、これは古事記が臣下から天皇に対して奉られた書物であることを表していること、古事記は陰陽五行思想によって神話を説明しようとしているといった解説がありました。

古事記が成立したのは712年。古事記の「古事」と見做されたのは都が飛鳥に移る推古天皇以前であると思われること、そして元明天皇に献上された書物に記述されているので、元明天皇の立場が尊重されているといった古事記を読むにあたっての必要知識について最初に説明がありました。

3日間の講義は午前、午後に別れていて、その都度、講義に関するレポートを提出しました。昼休みを挟んで午後の講義の最初には午前のレポートが返却され、先生の講評もあり、先生のバイタリティには驚かされるばかりでした。

2日目の午後は平城宮跡に向かい、朱雀門に立って平城京遷都の奏上文をみんなで読み上げるという粋な計らいもありました。

最後に現代社会は多文化社会であり、他者の言葉を聞くと同時に自己を語る必要があり、自分の持っている文化について、どれだけのものを持っているかが重要であるという説明があり、3日間の講義を締めくくりました。

講義の後に先生から「神話伝承論ノート」のテキストにサインをいただきました。サービス精神も旺盛だった上野先生。時には笑いも交えながらの楽しい講義でした。

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