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ド久しぶり日記(2024/09/15〜09/21)

2024/09/15

 一昨日くらいからやたら上半身が暑くなったりして、お年頃のアレが本格的にきたのかの怯えと不安で心身の調子よろしくなく2時間だけのパートを終えたあとは床に貼り付いていた。
 動きたくない気持ちを抱きかかえてたら育成してしまったらしく本格的に動けなくなってきたが「はちみせ」で執筆参加していた生活本を受取りに行かねばと夕方なんとか外に出る。数日ぶりの外の地面はふわふわしていた。

 「はちみせ」では店主土屋アソビさん筆頭に知ってる面子がいてホッとする。人だ。人に出会えた。自分が持ち得ている数少ない人里。本を受取り、展示品を眺め、椅子に座り、持ってきた梨を配った。アソビさんは「次回は!!!!謝礼出さないんで!!!!」を連呼していた。参加者95人に謝礼自体がどうかしてたと思うので是非文学フリマで爆売れして生活本御殿を建立してほしいと願う。

 「はちみせ」で落ち合った沙東すず(旧・メレ山メレ子)さんと軽くご飯でもと、近くの居酒屋に流れ着く。このなんとなくの流れ、がとても自由な大人っぽくてその嬉しさでテンションがあがってしまい「オッ、これはメレの旦那ッ?」「ヘエッ!メレの旦那、そろそろ行くでゲスか?」と謎の幇間人格が舞い降り、店の卓につき、生ビール(中)で乾杯しても「メレの旦那、コリャいいでゲスねえ!」と続いていた。依代となってなにかを降ろさないと素直に嬉しさ楽しさを表出できない50代。よくない。
 飲み食いしながら、お互いSNSで見かけたけれどいちいちメンションするでもない細かいことを聞いたり答え合わせたりするのがひどく楽しかった。気になってた同性の友達をみつけるマッチングアプリはなかなか探っていくのが面倒っぽそう、とか結局身近の面白人間から辿った方が早いのでは、とか。あれやこれや。最近はめっきりオフラインの方をかつてのネットみたいな使い方にしている。ネットとオフラインの主客、確実に転倒/逆転してると思う。

9月16日

 おいしいものを誘ってくれるぶち猫さんのネコチャン会にお呼ばれ。突然の訪問客にフスーッと鼻荒げるネコチャンにすまんなあすまんなあと思いながら撫でさせていただく。かわいい。でも後半は持参した自家製羊毛ボールで遊んでくれた。かわいい。追いかけて咥えてはちょっとだけこっちに持ってきてくれる。かわいい。

夢中になって咥えたボールの毛がひっかっかってクワッとなってるネコチャン(かわいい)

 野菜ポタージュにはじまって豚塊肉のローストや各種バゲットにチーズに蜜、焼き松茸いり土鍋ごはん等々、野菜もふんだん、器のいろどりもとても鮮やかなテーブルでおおいに飲み食いした。

 おいしい料理、ネコチャンの充実に、こんないい思いしていいのかなと不安になってしまったせいか帰り道、逆向きの電車に乗り、慌てて乗り換えるも違う路線、と間違いを重ねてしまい全然家にたどり着けなかった。あの路線、たまに化かしてくる気がする。
 ご馳走になった炒めてない豚キムチがとてもバランスよかったので真似したいなと構成思い返しながら長時間かけて帰宅。(茹でた薄切り肉に、サッと茹でるか軽くレンジ加熱した韮、きざみ茗荷、キムチ、を和える。炒めてないのでそれぞれが鮮烈な味、混ぜ合わせの差異で味の濃淡バラつきがあってよい。歯ざわりもよい。肉も茹でてあるから柔らかく、よい。) 

夢のようなご馳走だった。

9月17日

 いつも4時台には目が覚める。25度より下がらないこんな気温ならばまだ夏で空はもう明るいはず、の体感なのに暗い。太陽だけが正しく9月を運用している。朝から夕までバイト。夕方ちょっと床に身を横たえたら強烈な眠気でもう起き上がれない。
 中途覚醒や夜明け前に起きた時用に少しずつ読み進めてたシャーリィ・ジャクスン「処刑人」ようやく読み終わる。

 読中ずっと自身の振り返りと親目線での、10代女子のいたたまれなさに二重に苛まれてた。眠れない夜に読むものではない。でもラストは希望があった(と感じた)ので救われた。いや希望や解決じゃないな。吹いた悪い風にたまたま押し切られなかったからサバイブできただけで、これからもふとヤバい風が吹いてくることはあるんだろうな。でもその都度都度なんとか運良く切り抜けて生きていこうなおれたち、と主人公ナタリーに声かけする。他者への声かけは大事。
 この作品は作者シャーリィ・ジャクスンが当時実際に近隣であった「ポーラ・ジーン・ウェルデン失踪事件」を元にしてるらしいんだけどそれを検索して、気づいたらその地域ではポーラ失踪以外にも複数の不可思議な事象が起きており、あのオカルティック超常現象多発で知られるバミューダトライアングルに傚って「ベニントントライアングル」と呼ばれ、そこではタイムワープ及びパラレルユニバースの存在が…とうっかり深入りし始めていた。あぶねえ。

9月18日

 朝から夕までパート。夕方見かけたビーバー動画の当該ビーバーがムームー鳴いていたのが染み付いてしまい、しばらくずっとムーッムッ ムーーーーーーーッムームッッッ言っていた。

9月19日

 パート休み。
 午後、池袋へ映画を見に行く。シネマサンシャインとTOHOシネマズをいつもごっちゃにして間違った方に行ってしまったりする。お互い近くなので助かる。これからも間違うと思うのでそのままでいてくれ。
 「ソウルの春」を観る。(※以下ネタバレ)70年代にあった実際の韓国の軍事クーデーターものなので舞台が大体陸軍。おんなじ服に同じ髪型や同じ眼鏡の環境に、当方相貌失認の者、のっけからほぼ全員を見失う。ただし悪者(全斗煥役)の人のみ全身の身振り手振り、声色と、遠くから近くから何をしていてもほんとうに悪くて悪くて瞬時に見分けがついた。顔以外での識別がズバ抜けてて、顔以外でその人とわかる演技ってすごいなあと感じ入りながら人心掌握に長けたド悪い人の魅力を堪能した。
 クーデターならではの(ならでは?)ギリギリ綱渡り感、悪だくみする勢がやたらとスパスパ吸い上げてる紙煙草のチリチリ音が焦燥を煽っててよかった。最後のバリケード挟んで対峙する主人公同士の拡声器掛け合いがラップバトル建付けのコントみたいでちょっとウケ笑いしてしまった。やだこの映画めっちゃ面白い。反対に最後になるかもしれない奥さんとの会話とか結果殉職してしまう部下と上司のやりとりみたいな箇所は鼻白んでしまった。ドラマチックに盛り上げるシーンはいつも苦手で目をそらしてしまう。
 …とエンタメとして楽しく摂取してしまったけど実際にあったことなんだよな…当時よくわかってなかったよ全斗煥大統領…と薄どんよりを抱えながら家族の夕飯用に天丼を買い、最寄り駅で缶ビール買って、飲みながら帰宅。

チョンドファン役の人、ほんとよかったなーーーー。

 はじめて帰り道に缶ビール飲みながら、ということしたけど、いつも映画見た後はそのまま帰りたくないんだった。家庭までの緩衝材としての缶ビール。

9月20日

 数カ月ぶりにパート、物理出勤する。終わったあと10年ぶりくらいに整体へ。施術中ずっと喋る人で、後になればただ聞いていればよかったと思うのだけど変な頑張りをして逆によくわからないレスポンス対応をしてしまう。普段パートでは全てチャットで済むので適宜テキストを貼ればいいし、家庭内の子供とはもう馴れ合いが過ぎて動物じみた唸り声でやり取りできてしまう原始の状態になっていたので、思いも寄らない方向からの話しかけにチューニングの仕方わからずあわあわして、後で落ち込む。
 パート先の本棚に寄ったら雨宮まみさんの書籍が置いてあるのに気づき、なんとなく、立ち読む。
 自分が欲するものを明確に強烈に自覚して地方から上京した人の、はっきりとした嗜好、行動。自分も上京の徒である筈なのにしっかり掴み取った、見たことない東京の景色の羅列に、うすらぼんやりしてきた自分の身がすくんで戻す。関係ないけどタクシーに乗れる女、は大人の女性のイメージがあるな(いまだうまく乗れない)

9月21日

 夜中から体が痒く、明け方前に覚醒。明るくなってからみるとそこかしこが赤く膨れ上がっている。日中ずっと痒く、パートをしていても痒い。足が腹が腕が顔が順繰りに痒い。エクソシストの女児の皮膚に浮かんだメッセージみたいに線状に膨れ上がっている。たすけて、とか書いてあるんだろうか。



    た すけ

て。


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