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モダン禁止改訂後:メタゲーム予測とデッキ選択のヒント〜駆け抜けてモダンMCQ〜

(Translated by nosonosan)

やぁ、ノソノスキーだ!毎度のことながら久しぶりだな!
来る8月26日、俺たちのウィザーズが一体どんな言い訳を用意して禁止改訂を発表するのか心待ちにしているプレイヤーも多いことだろうと思う。今回は、“ホガークの夏”と形容されるほどにアツい!モダン環境を絶賛席巻中のホガークヴァインが消えると仮定しその世界線で、モダンMCQを駆け抜けている君がどのデッキを握るべきなのかを、メタゲーム予測を交えて少しだけ話をさせてもらいたい。

・Should Hogaak be banned??

まず、どのカードが禁止されるかどうかの議論については様々な意見があるだろうが、ここでの禁止予想としては《甦る死滅都市、ホガーク》そのものの禁止、もしくは《縫い師への供給者》が禁止されるとして話を進めたい。

その理由としては、
-《甦る死滅都市、ホガーク》の場合
1度目の禁止改訂でホガークヴァインはTier1から陥落せず、しかも環境のほとんどのデッキに対して強く(※後述)モダン環境を歪める結果を引き起こした。2度目の禁止改訂での失敗は確実に避けたい、かつ今後の環境制御が困難と判断されそれ自体を禁止せざるを得なくなったため。
-《縫い師への供給者》の場合
《甦る死滅都市、ホガーク》はモダン向けのセットから発売されたばかりの新カードでありそれ自体の禁止は望ましくない。ホガークヴァインの強さの根幹は2ターン目ホガーク着地の安定性にあり、それに最も寄与しかつホガークヴァイン以外での活躍の場が少ない《縫い師への供給者》が無難であるから。
ということが考えられる。

えッ?!《信仰無き物あさりは》?!

確かに、もっともな意見だ。きっとそうくると思ったよ。でも、残念ながら君の大嫌いな《信仰無き物あさり》はまだ禁止されそうもない。それは、このカードが2ターン目ホガークのブン回りに重要でないこともあるが、そのヒントは前回の禁止改訂ですでに明言されている。


ドレッジ・フェニックス系は言うに及ばず(こいつらはちとやりすぎてきた感は否めないが...)、マルドゥ(パイロマンサー・デスシャドウ)・赤黒エレメンタル・イルハグシュートなど、多様性を重視するモダン環境で最善とは言えないながらも細々と頑張ってきた他のアーキタイプの根幹をなすカードを禁止するとは到底考えられない。

君の大嫌いなそのカードは、他の誰かが大切にしているカードでもあるんだ

・ホガークヴァイン消滅後のメタゲーム考察

ホガークヴァインに有利なデッキが減少し、不利なデッキが増加すると考えて話を進めたいところだが、これでは早速問題が発生してしまうんだ。まずはこの表を見てもらいたい。

この表は、CFBEがGPバルセロナとGPミネアポリスにおける約9000マッチという膨大なサンプル数から、主要デッキの各マッチアップごとの勝率を算出したものだ。(※原文参照※あくまで統計学的に有利・不利としているだけなので、マジックの実力やそのデッキへの習熟度の違いから、個々の意見としては有利・不利だという意見があるのは事実だから、この表を鵜呑みにするのは危険であるが...

-ホガークヴァインの項目を見て何か気付くことがあるだろうか?

原文でも言及されていることだが、なんと驚くべきことにホガークヴァインには有意な差を持って不利と言えるデッキが存在しないことになっている。つまり、『ホガークヴァインに有利なデッキが減り、不利なデッキが増える』という仮説は成り立たないんだ。そこで、次に考えるべきことは他のデッキの勝率に注目し、不利なマッチが少なく・有利なマッチの多いデッキを選択するということだ。

・おすすめデッキランキング

そこで、先ほどの表からホガークヴァインを削除し、不利なマッチが少なく・有利なマッチが多い順に並び替えてランキングにしてみよう。
(※ここでは有意差のないマッチもカウントしないと比較できなかったので、敢えてカウントすることにしてみたよ。)

圧倒的エルドラージトロン!!


・各デッキ雑感

単純に『上記ランキングの上位デッキを使えばいいだけじゃないか!』と言われてしまうとそれまでなんだが、さすがに味気ないので少しだけ各デッキについての雑感を述べてみよう。

・エルドラージトロンは、5C人間、ヴァラクートを苦手とするものの、他のデッキと比較して圧倒的に有利マッチが多くなっており、次期環境初期の王者になる可能性が高い。

・2番手のRGヴァラクートは、現在流行しているバーン・赤系果敢・ウルザソプターに不利がつくものの、最もエルドラージトロンに有利なデッキであり、エルドラージトロンに勝ちに行くなら良いデッキ選択になるだろう。

・ドレッジは、どのマッチにおいても有利・不利の有意差がなくバランスのとれたデッキだ。ホガークヴァイン消滅後に、出戻りや乗り換えが発生することを考えると、このデッキも爆発的に増えると予想される。

・バーンは、4Cホガークが土地ダメージが大きく意外と戦えることから環境後期にかけて増加した。全体を通しての不利マッチは少ないが、有利マッチである青白コン・ジャンド・イゼフェニの勝率が低く減少する可能性があること、エルドラージトロン・5C人間・ドレッジに苦手なこと、特にドレッジの数次第で持ち込むべきか否か左右されるだろう。

・ウルザソプターは、パーフェクトホガーク時代からメタ上位に位置している強デッキで、今まで5回の国内モダンMCQのうち実に3回はこのデッキが抜けていることを考えると最もマークしなければならないデッキと言える。君がこのデッキを使い続けているなら、君は本当にラッキーだ。このまま迷わず進んで欲しい。懸念材料は、ファクトへのヘイトが高まるか、そして苦手なトロンが流行るかどうかだ。

・トロンは、ホガークヴァインが苦手なことから多くのプレイヤーがエルドラージトロンに乗り換えるかたちで減少した。しかしながら、禁止改定後はドレッジ・ウルザソプターに睨みを利かせて増加する可能性があると予想される。

・赤系果敢は、大きく不利なマッチが少なく前環境から引き続き使うことのできる良デッキだ。懸念すべきはバーン系デッキに漏れず《這い寄る恐怖》を搭載したドレッジの数次第というところだ。

・5C人間は、エルドラージトロンに有利とされるアグロデッキだが、バーンと同様に有利マッチが減り、不利マッチが増える可能性がある。

・ドルイドコンボは、すまないよくわからない。

・ジャンド・青白コン・イゼットフェニックスは、環境上位に存在しているものの、意外なほど不利なマッチが多く・有利なマッチが少ないデッキとなった。環境の変化次第ではあるが、以前からこのデッキを使っていたプレイヤーを除いて、新たにこのデッキを握るメリットは少ないように思える。
(※もちろんこのランキングや勝率は絶対の指標ではない。現に、ジャンド、青白コン、イゼットフェニックスの3者とも、GPやMCQなどの大型大会で優勝をしているのだから。)

・新環境初期のメタゲーム予測


MCQ後半戦第1週目。この時点ではMCQが初めての大きな大会になるため、ほとんどのプレイヤーが前環境から引き続き同じデッキを使うことが予想される。そして、君が先ほどのランキングで上位のデッキを握っているなら、また下位のデッキを握っていたとしても悪い勝率でなかったのなら、そのままMCQに参加して問題ないと思う。
重要なことは、ホガークを握っていたプレイヤーが何を選択するかだ。ホガークを握っていたプレイヤーの多くは、モダン競技層もしくはドレッジから乗り替えたプレイヤーに分類される。そして、競技層がどのデッキを握るかの予想は難しいが、元々のドレッジ使いが戻ってくる可能性は十分にあり、ホガークヴァインはドレッジに取って代わられるだろう。

以上より、前環境のホガークに変わりドレッジが増加すると考えられるため、少しだけドレッジを意識した構築にしてみると良いことがあるかもしれない。

また、気になるのはトロンの動向だが、《大いなる創造者、カーン》の出現以降、トロンに対するエルドラージトロンの勝率が以前よりも格段に上がっているため、多少増えることはあるだろうが、現状の構築のままであればそこまで大きく増えることはないと考えている。

・メタゲームのその先へ

次のMCQでどのような変化が待っているのかは誰も分からないけれど、現状考えうるベストデッキはエルドラージトロンであり、ホガークを失い路頭に迷っている人や、今のデッキに自信のない人は一度触ってみることをオススメする。デッキ自体もそこまで難しいものではないので今からでも十分間に合うはずだ。

そしてメタの一足先に行くデッキを選ぶなら、エルドラージトロンに有利なRGヴァラクートが最も有力なデッキになると考えている。
(『え?!ヴァラクートなんて一体どこにいたって言うんだい?!』というのが正直な感想なんだけどな!)

他にも、今回の考察では言及していないが、バントスピリット・死の影・鱗親和・アミュレットタイタン・ステューピッドショールなど多くのデッキがまだ残っており、それぞれにチャンスがあると思う。

モダンは当たり運が強く反映されるフォーマットなので、どの選択が最善だったのかはふたを開けてみないと分からないことがほとんどだ。そして、どのフォーマットにも共通していることだが最も重要なことは自分のデッキと環境への習熟度なので、よほど悪いデッキを選択していないのであれば、自分のデッキを信じて突き進むのが最良の道だと考えている。どんなデッキで大会に出場して勝ったり負けたりするのか、それもまた人生だからね。

禁止改訂次第ではこのnoteは全く無駄なものになってしまうけれど、発表までの間の暇つぶしになれば、そして、あわよくば禁止改訂後に迷える君の手助けになればなおのこと嬉しく思うよ。


それじゃあ、最後に!



『RIP!!ホガーーーーーークッ!!』



モルテン・ノソノスキー

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