花小金井の天然酵母パンの『アベイユ』で復活したたぬきケーキ。〈アベイユ_小平市花小金井〉
『アベイユ』に生息するたぬきケーキを捕獲したら、それぞれに味が異なる店のこだわりを感じるたぬきだった話。
外観の写真を撮って店に入ると、なにかで紹介してくれるのと、冷蔵ケース越しにお母さんに話しかけられる。良いですかと伺うと、ありがたいねとお母さん。たぬきケーキが最近並んでいると聞いて。そうそう、また始めたのって、いつものやさしく気さくなお母さん。
「アベイユ(abeille)」はフランス語で蜜蜂という意味。外観に青と白と赤とトリコロールを用いプチフランスを醸している、1976年創業の天然酵母のパン屋さん。お好み焼きパンとナポリタンパンは是非一度食べてもらいたいおすすめ。でも(は)はここのアップルパイが大好きで、アップルパイを食べたいと思ったら自転車を走らせている。
冷蔵のケースには貫禄あるホールのアップルパイが4つ鎮座していて、その下の段に黒色と薄桃色のたぬきケーキが、全校朝礼に集まる生徒のように並んでいる。手書きのプライスカードには、『ハナコのたぬき』。黒が『たんきち』で薄桃が『たぬこ』。
その鼻がつんと上を向き、上目とか横目とか伏し目に視線が飛ぶ顔つきが愛くるしくて、全部くださいなんて言いたくなる言葉を飲み込んで、それぞれを1匹ずつ捕獲する。そう言うらしい、マニアの間では。
そもそもたぬきケーキとは、たぬきをデザインしたケーキのこと。スポンジケーキやタルトを土台にして、廉価なバタークリームでタヌキの顔が作られ、チョコレートでコーティングされているのが一般的。
昭和40年から昭和50年頃にかけて全国に流行し、昭和の終わり頃まで全国の洋菓子店で作られていたが、生クリームの普及や、コンビニスイーツの台頭とともに衰退していく。しかし、最近ではテレビ番組で紹介されるなどして、全国的に人気が再燃。
手作り感とレトロな雰囲気が魅力で、ファンが「全国たぬきケーキ生息マップ」を作成するなどして、人気のケーキとなっている。と、ウィキペディア(Wikipedia)より。
1/4にカットしてもらいアップルパイも一緒に購入する。
手に取ると身が詰まるを感じる重み。目が合う視線を逸らして頭から行く。みっちりと詰まるバタークリーム。それだけでなんだか幸せな気持ちになる昭和生まれ。覆うのは爽やかな苺とビターなカチコチのチョコ。
パリッと口の中で弾けるドライな果実がたっぷりと散りばめられたパウンドケーキの胴。ブランデーが交じるもそれほど強くは感じないしっとりと甘い。ただ懐かしいではなく、今食べても十分においしいケーキ。
『たぬきち』と『たぬこ』を食べ比べると、それぞれで異なるパウンドケーキとドライフルーツ。そんなひと手間に『アベイユ』のこだわりを感じる。
バタークリームが苦手な息子に譲るアップルパイをひと口と貰うと、むぎゅとリンゴが詰まるシャキとした食感に広がる甘みとふわとしたのパイ生地。うん、安定したおいしさに安心。
あっという間に至福が終る寂しさ。
花小金井駅の北口の路地裏にあるトリコロールを目指して、たぬきを捕獲しに行くんだ。
(は)
【アベイユ】
東京都小平市花小金井1-13-10
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