沈黙

遠藤周作『沈黙』再読。
何度目だ?
散々山だ山だとぬかしておきながら近頃は海に縁のある本を読むことが多い。
そういえば先週も離島へ行った。
取材というか、なんかだ。
そう、海を見てきた。
『沈黙』イコール海というのも少々乱暴な話なのだが、いつぞやの取材のついでに寄った遠藤周作文学館が海っぺりの、実にロケーションの素晴らしい、同伴したアラケンに「近所にあれよ、此処」と歎息したほど海海した場所だったのでそのように連想してしまうのだろう。
あの時は漁船で軍艦島付近まで行って釣りをしたな、坊主だったが。
にっかりの旅でも各地で竿をぶん投げたのだが坊主だった。
時々インスタグラムに発作的な写真をあげるくらいで何をしているのかさっぱりわからないのが現在の私の印象らしい。
何もしてないもの。
何もしてないをしているんだもの。
演劇界隈でコソ泥のように小銭稼ぎに蠢いているマネージャーの矢崎はよくこう聞かれるそうだ。
「ミカサノさんは何をしてるんですか?」
矢崎はこう答えるという。
「山に登っています」
大概キョトンとされるそう。
嘘では無いが、こうも付け足して欲しい。
「海を見ています」
キョトンを増そう。
山に登り、海を見る。
何もしていないようで、日本人としての全部をやっている気分ですが。
物語ともレクイエムとも遠いところで言祝いでいる。
近頃はそんな感じ。

余裕がある人は投げつけてみな! たべるから。