【返信あり】問合せ記録④ -不健全図書に貼られる付箋について-
前置き
今回の問合せは、東京都の不健全図書(正確にはその候補)に貼られる"付箋"に関するものです。付箋が何を指すのかピンと来ない方は、手前味噌で恐縮ですがこちらをご参照下さい。
問合せ経緯
ちょっと古くて申し訳ないですが、第710回の議事録で諮問候補図書類のどういった個所に付箋を貼るのかが説明されていました(余談ですが乳首はセーフ、という話も聞いたことがあります)。
「不健全図書=エロ本」だと勘違いしている人は多いと思いますが、残虐性の助長や、自殺若しくは犯罪を誘発する恐れがあると認められた図書類も指定の対象になります。でも議事録内で言及されている"付箋を貼る目安"は、基本的に性的描写に関するものです。
では仮に暴力描写が多い青年漫画が諮問対象だった場合、貼られる付箋の枚数は激減するのでは?、と疑問に思いました。なので2023/04/20に事務局宛にメールを送りました。
問合せ内容
「付箋が貼ってある=問題あり」というわけでは無いらしいですが、審査効率化のために貼っているはず。なので私が知らないだけで、暴力表現等向けの目安もあるのかもしれないと思い、そういった方向で質問。
また、都庁職員が諮問候補図書類を絞り込む過程がブラックボックスの為、「少しでも内情が分かったらいいな~」とダメ元で2つ目の質問を追記しました。
いつものことですが、返信は一向に来ませんでした。ただ今回はそこそこ興味のある質問だったので、厚かましくも1か月後の5/30に「4/20に送ったメールには返信して頂けないのですか?」という旨で催促をしました。初めて返信の催促をしたのが功を奏したのか分かりませんが、最初の問合せメールから約1か月半後の6/5に返信が届きました。
返信内容
整理
付箋を貼る個所について
性交又は性交類似行為の場面で下半身が描かれている場合
自慰行為で性器描写がある場合
器具を使用した性的行為の描写がある場合
”など”、だそうです。
諮問候補図書類がエロ漫画以外の場合、どのような基準で付箋を貼るのかが知りたかったのですが明言は避けられたという感じでしょうか。なのでこの返答だけでは、「青年漫画等に貼られる付箋の枚数が減るのでは」と言う当初の仮説の裏付けになりません。
あと"付箋を貼っている=問題というわけではない"というのが事務局側の主張ですが、言葉を濁しながらも「付箋の箇所の周辺に条例の基準に該当する描写がある傾向にある」と認識した上で貼っている時点で、問題だとは思っているように見受けられます。
諮問候補図書類を決定する際に、付箋の枚数を判断基準の一つにしているかについて
これはとんだ見当違いで、私はてっきり、都庁職員が約100冊から諮問候補図書類を決定するフェーズで既に該当箇所に付箋を貼っていると思っていました。が、どうやら自主規制団体の意見聴取会や審議会に持っていく際に貼るようですね。
「条例・施行規則に照らして総合的に勘案」とのことで、具体的な話までは伺えませんでしたがこの時点で付箋は貼っていなさそうです。まあ購入した図書類全てに貼っていたら付箋の消費量がえげつないことになるので腑には落ちます。でも付箋を貼っていないだけで貼る個所の記録・カウントはしているかも(負け惜しみ)。
その他
付箋を貼るようになった経緯と時期は恥ずかしながら把握できていませんでしたし、何なら自主規制団体は付箋が貼られていない状態の図書類を読んでいるものだと勘違いしていました。読者は付箋が貼られていない状態の本を手に取るわけですから、自主規制団体も当然、まっさらな状態の本を読んでいるものだと勝手に脳内補完してしまいました。反省。
付箋の貼付が始まったのが2011年ですが、2016年には『善悪の屑』の4巻が「甚だしく残虐性を助長し、青少年の健全な成長を阻害するおそれがある」という理由で指定されています。
古すぎて当時の「諮問図書類及び指定基準該当箇所一覧」を確認できず、当該図書類の該当箇所が全編大部分だったかまでは分かりませんでしたが、恐らく付箋は貼られていたのであろうと推測します。一体どのような個所に貼られていたのか、気になるところです。
『善悪の屑』を引き合いに出してもう少し詳しく質問することも出来ますが、無闇矢鱈に規制側の基準を明らかにさせようとすることは藪蛇になるケースも考えられるため、一旦ここでやめます。
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