トラペジウムを観よう

創作物は心の栄養
という考え方が好きです。

気持ちを揺れ動かされて、元気づけられたり、落ち込まされたり、すごい作品だったなーと刺激を受けたり。心の血肉となって日々を生きる糧になってくれます。

ただ、たまーーーーに「あ、これ吐き出さないと死ぬわ」っていう作品に巡り合ったりもします。
消化できるから、栄養が含まれているから、美味しいから。そうやって口に入れたけど本能で危険を感じる。飲み込んで死ぬか、吐いて苦しむか。
それがトラペジウムという作品です。

トラペジウムを見るな

映画を見る前に

映画は見ますか?どういう映画を見に行きますか?
僕は「面白そうだから見に行く」っていうパターンと、「なんかみんなが話題にしてるから知らんけど見に行く」っていうパターンのどちらかです。

前者は予告編とかで情報を仕入れているのでなんとなく話の流れは知ってたり、原作ゲーはやってないけどなんとなく知ってる状態で行きます。
ゴジラ-1.0とか、ウマ娘プリティーダービーとかがこのパターンでした。

後者は知り合いで見てる人いるし俺も行ってみるかー、というパターン。
ゲゲゲの謎とか駒田蒸留所へようこそとか。

トラペジウムは後者でした。
・なんか話題の人が原作者
・豪華なスタッフが集結している
・感想がやばい
という情報だけで行きました。

トラペジウムは観るな

序盤:東西南北が揃うまで

自分語りはここまでにしてトラペジウムを語りましょう。

まず冒頭からクソやばい。なんだよそのノート。絶対に中盤でみんなに見られて内部崩壊する伏線やんけ……。

OPの映像きれいやな……。
なんか歌声に力あるなぁと思ったら星街すいせいさんかよ。
え……舛成孝二さんの名前ある……RODの人じゃん。

他校の制服着てるからってセキュリティ甘すぎやろ……。
え、あの流れから話しかけてくれるのこの人。すげーいい人やけどめっちゃ闇深そうやんけ。

あー、なんか友達には笑顔を向けるけど他人には高い壁作るタイプね。そういう人ってなかなか壁の内側に入るの難し 嘘だろシンジお前何しやがったやっていいことと悪いことあるだろうそしてお前それは悪いこと。

本屋で偶然会った……ときの反応ゼッテー覚えてねえじゃん!あ、でも他のメンバーともすぐ仲良く慣れたん お前その誘いは大丈夫か?本当にボランティアか?ちゃんとした団体が行っているちゃんとしたボランティアかちゃんとしたボランティアやったなよかった……。

中盤:東西南北の交流

あのー、提案なんですが、このまま仲良し4人組でダラダラとした日常続けませんか?とら☆ペジ!ってタイトルに変えてさ。

そうですか、それじゃ満足しませんか東さん。

それはまあいいんですけど、周りを巻き込み過ぎなのと……ボランティアを踏み台としか思ってなくないっすかね?ちょっとそういうの、物語後半で返ってきそうな気がして見てる側からすると怖いんですけど。

チラシをゴミ箱に捨てる描写、そんな細かいところまで表現してしっかりとヘイト稼ぐのはやめてもらえませんか。こっちは映画館でアナタが主役の作品を見に来ているんです。そういう伏線貼っていくのやめてもらえませんか耐えられません。

中盤2:アイドル編

ウッソだろお前あの流れからしっかりデビューできるパターンあるんだ。あのノートも継続しているのに誰にもバレていないんだ。この銃、序盤から登場しているのにまだ撃っていないな……。

バラエティで自分たちのコーナー持つとか、俺は業界詳しくないけどすごいことなんでしょう。SNSでファンを増やすのはいいんですけどグループじゃなくて個人アカウントなんですねそういうのって差が明確に見えちゃうからマズくないですか?ほら東さん曇り始めた~~~~。

中盤3:仲違い、発狂編

西南の二人いいよね。子供っぽい外見なのに将来をしっかり考えているし頭もいいし自分が他人に与える影響もしっかり認識しているくるみ、蘭子。
この二人の会話シーンがあったおかげで、劇場でスマホを取り出して電源をONにして「助けて」ってつぶやかずにすみました。みんなの迷惑になりますからね。

円陣、東さんの近くにみんなが集まってきて東さんは少ししか動かない。力関係を表しています?蘭子はくるみを見て、くるみは美嘉を見て、美嘉はくるみを見 おいちょっと待てよ!完全にそういう状態じゃん!

3年目記念って、アイドル始める前からなら許されませんかね?許されないですかそういう世界ですか。そうですよね……。

くるみちゃん、どこかで限界が来るのは物語の展開的にわかってはいましたが、もう少し……こう……手心をというか。観客という神の視点からはわかりきったことなんですが、東さんからすると「まあ大変だけどそこまで泣きわめくことじゃないっしょ ちょっと”お話”すればわかってくれるよ だって『アイドル』ってそういうもんだし」なんだよね。
よく止めてくれた蘭子!離れていったシンジにはできないことをお前がやってくれた!

グループの崩壊は大変つらいことだけれども、あのまま活動を続けることにならずに良かったねくるみちゃん、蘭子ちゃん、美嘉ちゃん……。狂う寸前で留まれたよ。

終盤:アイドルを続けるのは大変だった 最後は辛いことばかりだったけれども思い返してみれば楽しいこともいっぱいあった この日々は、将来きっとかけがえのない思い出になるから

ってきれいにまとめればすべて許されるなと思うなよ。
「私って嫌なやつだよね」を伝えるためにこの分厚さ?

アイドルを続けるために色々大変だったけど終わってみれば
って感じでまとめればすべて許されると思うなよ。
いやよくあの状態から仲良しの友達に戻れたな……。すげえよくるみちゃん、蘭子ちゃん、美嘉ちゃん。怖えよ東さん。

最後の後日談……あのパターンからこの将来になる流れある?映画の予告編に「ラスト5分、すべてが覆る」って文言を入れろ。誰も予想できねえよあんなの。ていうかここまでの流れを見せられて「たまたま応募したオーディションで――」ってインタビューで答えるなよ恐怖しか感じねえよ。

「昔は色々やんちゃしていろんな人に迷惑をかけましたが、その経験もあってこうやって成功できました」っていう成功者インタビュー見ても「トラペジウムみたいな人生ですね」って感想しか出なくなるわ。

お母さんが丸メガネかけててすげーカワイイなあ。素敵なお母さんだなあ、と考える逃げ道が用意されていたのが唯一の救い。

全体:トラペジウムを観ろ

映画館で観ろ。映画しか見れない状況で観ろ。スマホに逃げれない状況で観ろ。
「心や感情を揺さぶる創作物」を名作と定義するなら間違いなく名作です。実際に俺が数ヶ月に一回更新するかしないかのnoteを更新させるほどの影響を与えてくれた作品。
吐き出さないと死ぬと思わせるすごい作品。それがトラペジウム。

トラペジウムを観ろ

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