2023年有馬記念③(3歳馬)

改めて今年の有馬記念の出走予定馬です。登録は20頭、フルゲート16頭なので回避・繰り上がりがなければ以下の16頭が出走します。

そして、以下が過去10年における馬齢別の成績です。

6歳以上で馬券圏内に入ったのは、2017年(5歳)、2018年(6歳)と2年連続3着だったシュヴァルグランのみなので、ほぼ3〜5歳馬が中心のレースです。

競争馬が最も充実する4歳世代の出走数・成績が5歳馬と比べて今ひとつなのは意外でしたが、中・長距離をこなせるトップクラスの4歳馬は天皇賞・秋を使った後、ジャパンカップや香港の国際レースというローテーションを秋シーズンの最大目標にして、有馬記念は回避するケースが増えているというでしょうか。競争馬としての経験の差はともかくとして、3歳馬と4歳以上の馬とでは負担重量が2キロ違いますので、とりあえずデータの整理上は3歳vs4〜5歳ということで、まずは3歳馬を精査していきたいと思います。

それぞれの馬券内率を見ると、4〜5歳馬の19.6%に対して3歳馬が36.0%と、完全に3歳馬が優勢です。この有馬記念の時期くらいになると、多少の個体差はあるとは思いますが、馬体の成長度的に3歳馬は4歳馬とほぼ同等になっているにもかかわらず、負担重量は2キロ(走破時計換算で0.4秒ほど)優遇されるわけですから、当たり前といえば当たり前です。

では、有馬記念に出られるくらい人気・実績のある3歳のオープン馬なら何でも買いかというとそうでもないようで、過去10年で馬券圏内に入った9頭の3歳馬を見ると、一定の実績は必要になってくるようです。

大昔、有馬記念の3歳馬というと「菊花賞からの直行組」が好走していたと思いますが、過去10年で見ても、その傾向は基本的には変わらないようです。近年はクラシック三冠自体へのこだわりが変わってきているのか、天皇賞・秋からの参戦も目立ちます。

一部例外もありますが、基本的にはG1レースの勝ち馬あるいは好走馬、というのが最低限の条件だと考えられます。

では、どのG1レースを好走しているのが良いかというと、個人的には「天皇賞秋≧菊花賞(>ダービー≧皐月賞)」だと捉えています。

天皇賞秋と菊花賞に関しては、前者のほうが古馬との対戦でレースの質も比較的高く、かつ有馬記念に限らないことではありますが、パワーやスタミナ一辺倒ではないスピードの裏付けもG1で好走するための必要な要素になってきていると思われることから、同じ3歳馬でどちらが上かと問われれば、同等もしくは天皇賞秋の好走馬のほうが上という評価を私はしたいと思います。

また、天皇賞秋に求められる要素(スピードの持続力など)の観点から、ダービーと皐月賞では、ダービー好走馬を上というふうに評価したいと思います。

今年の有馬記念には2頭の3歳牡馬が出走を予定しています(3歳牝馬のハーパーに関しては前の稿で)。皐月賞馬ソールオリエンスとダービー馬タスティエーラです。いずれも菊花賞からの直行ですが、前述の観点を踏まえると、私は菊花賞でもソールオリエンスに先着しているタスティエーラを上位と評価します。なお、皐月賞馬に関しては、もうひとつ何かアピールポイントがほしいような気がします。例えば、上の表に示したとおり、2019年2着のサートゥルナーリアは皐月賞のほかにもホープフルS(中山芝2000のG1)を勝った実績がありました。そういう点でソールオリエンスには何か足りないものを感じます。

両馬のレース振りを見ても、ある程度前で競馬できるタスティエーラのほうがここでは有利だと思います。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?