2023年エリザベス女王杯⑥(外国人騎手)

エリザベス女王杯というと、外国人騎手が馬券に絡む印象があったので、「外国人騎手」という切り口で見てみたいと思います。

この時期は欧米の競馬がシーズンオフ?ということで外国人騎手が多数来日して活躍しています。

過去10年のエリザベス女王杯で馬券圏内に来た外国人騎手の騎乗馬は、実に13/30頭でした。ただ、同じ京都競馬場で翌週に行われるマイルCSが12/30頭ですので、エリザベス女王杯だけが特別ということではなく、外国人騎手が「乗れる」ということなのでしょう。

この13頭ないし12頭の中には、JRA所属として日本で通年乗っているルメール騎手やミルコ・デムーロ騎手(弟さんとの区別で以下、JRA所属のお兄さんのほうを「ミルコ騎手」とし、弟のクリスチャンさんを「デムーロ騎手」と表記します)の騎乗馬も含まれていまして、彼らを「短期免許」の外国人騎手と同じ括りにするかどうかは迷うところですが、一応は同じ「外国人騎手」として見ていきます。

まず、外国人騎手筆頭のルメール騎手から見ていきます。彼に関しては今年の菊花賞での神がかった騎乗振りからも言わずもがなですが、ややトリッキーな京都芝外回りコースも全く問題ないと見て良いでしょう。エリザベス女王杯に関しては、2013年以降の過去10年(下表はそれよりも前)で以下のとおりの成績となっていました。

どうですか?正直なところ私自身は「(他のG1に比べて)意外と物足りない」という感想です。1番人気の馬も何回か飛ばしていますので、今回1番人気になるであろうあの馬も、ルメール騎手が騎乗することを主な理由として本命視(頭固定)するのは、相応にリスクがあるかなと思っています。

次に、正真正銘「短期免許の外国人騎手」として、昨年のこのレースの勝ち馬で今回も人気を集めそうなジェラルディーナに騎乗が予定されているムーア騎手、サリエラに騎乗するマーカンド騎手について見ていきます。

その前に、過去10年でエリザベス女王杯の馬券に絡んだ外国人騎手は、ルメール騎手とミルコ騎手を除くと、デムーロ騎手、モレイラ騎手、スミヨン騎手、レーン騎手の4名です。以下は、それぞれの日本での騎乗成績です。さらにムーア騎手とマーカンド騎手の成績も並べます。

▽デムーロ騎手

▽モレイラ騎手

▽スミヨン騎手

▽レーン騎手

▽ムーア騎手

▽マーカンド騎手

うーん、こうやって客観的な数字を並べて見ると、(もちろん騎乗馬の質的やその他諸々の事情はあると思いますが)マーカンド騎手は過去にエリザベス女王杯で馬券圏内に騎乗馬を持ってきた「凄腕」の「外国人騎手」と比べると、言葉は良くないかもしれませんけど、一枚落ちる感じがします。

以下は今年の全国リーディング(現時点)を抜粋したものですが、3着内率32.6%という数字は、母数は違いますが、今回のエリザベス女王杯にも騎乗する岩田騎手、坂井騎手、西村騎手と同じくらいのレベルです。

さらにマーカンド騎手の日本での成績を見ると、東京と中山での騎乗経験しか無いようです。

けっして重箱の隅をほじくり回してサリエラを切りたいわけではないです。ただ、欧州の通常の競馬スタイルやサリエラ自身のエンジンのかかりの遅さ等を考え合わせると、慣れない京都芝外回りのトリッキーなコースで脚を余して負ける(惜しい4〜5着)というようなシーンも想定しておいたほうが良いかもしれません。自分自分で前の稿で「買うなら短期免許の外国人騎手が乗るサリエラ」としましたが、数字を見ると考え直してしまいます。

では、ムーア騎手はどうかというと、通算成績を見る限りは「名手」と言って良いかもしれません。実際「上手いなあ」と思わせる騎乗も目にしてきました。ただ、彼のエリザベス女王杯での成績を見ると、ちょっとだけ印象が変わるかもしれません。

スノーフェアリーの4角ワープみたいなレースの印象が強くて、凄い好成績を残してるのかなと思ったら、そうでもないようです。というか、スノーフェアリー以外は人気を裏切り続けています。ムーア騎手が乗ることもあってジェラルディーナは人気になると思いますが、馬自身も私はピークアウトしたかもしれない(というか狙うなら有馬記念)と思っていますし、過信は禁物のようです。

最後にミルコ騎手に触れたいと思います。

近年の通算成績だけを見ると、他の外国人騎手と劣る感じです。先に辛口の評価をしたマーカンド騎手よりも信頼性に欠けるかもしれません。ただ、ことエリザベス女王杯に関して見ると印象が変わります。人気を裏切ることも少なくありませんが、総じてみれば、ルメール騎手よりも馬券に絡んでいます。

最近は、騎手に代わって騎乗馬の取り次ぎをするエージェントの人を変えて馬質が上がってきたとも言われていますし、ひょっとしたらと思わせる成績です。

ミルコ騎手が騎乗するディヴィーナは、左回りに良績が目立つほか、馬齢や距離の面などマイナス材料も少なくありませんが、あまり人気にならないようなら、思い切って馬券に加える価値はあるかなと思います。




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