2023年エリザベス女王杯⑦(揉まれた経験+コース適性)
牝馬同士の能力を比較するときには牡馬混合戦で「揉まれた経験」の有無が重要なファクターだと思います。
そこで、「今年行われた牡馬混合重賞で好走した経験があるか」という切り口から、出走予定各馬をチェックしたいと思います。
今年に入ってから牡馬混合重賞に出走していた馬と、その成績は次のとおりです。
▽イズジョーノキセキ
・札幌記念(G2) 1.8秒差7着
▽ククナ
・小倉記念(G3) 1.1秒差6着
・七夕賞(G3) 0.2秒差2着
▽サリエラ
・新潟記念(G3) 0.4秒差7着
・目黒記念(G2) 0.1秒差3着
▽ジェラルディーナ
・オールカマー(G2)0.5秒差6着
・宝塚記念(G1) 0.2秒差4着
・大阪杯(G1) 0.6秒差6着
▽ディヴィーナ
・関屋記念(G3) 0.1秒差2着
・中京記念(G3) 0.3秒差2着
▽ビッグリボン
・京都大賞典(G2) 0.9秒差8着
▽マリアエレーナ
・オールカマー(G2)0.2秒差4着
・小倉記念(G3) 0.6秒差4着
・鳴尾記念(G3) 0.2秒差5着
・大阪杯(G1) 0.5秒差5着
・金鯱賞(G2) 0.7秒差8着
▽ライラック
・宝塚記念(G1) 1.5秒差17着
・目黒記念(G2) 0.6秒差9着
・日経賞(G2) 1.5秒差4着
▽ルージュエヴァイユ
・エプソムC(G3) 0.2秒差2着
▽ローゼライト
・函館記念(G3) 1.0秒差13着
当然ですけど、G3よりもG2というふうにグレードの高いほうを評価します。また、着順よりも着差を評価します。難しいのはハンデ戦と別定戦等の扱い、どちらを高く評価するかなのですが、性齢等で機械的に負担重量が決まるよりも、JRAのハンデキャッパーが負担重量を決めるハンデ戦のほうが牡馬との能力差が埋められている(純粋に個体の能力差が見られる)と、個人的には考えますので、ハンデ戦のほうをより評価したいと思います。
こうやって並べてみると、牡馬相手に重賞でも善戦しているのは、サリエラ、ジェラルディーナ、マリアエレーナといったところですかね。
ここからさらに選別したいと思いますが、本稿のタイトルを「コース適性」とした意味があって、ジェラルディーナとマリアエレーナに関しては、適性が京都外回りの2200にドンピシャではないのではないか?と個人的に考えているのです。
特にジェラルディーナに関しては、中山や阪神内回りに良績が目立つような気がしています(マリアエレーナに関しても近いものがあるというか、基本的には平坦ないしは小回り巧者だと思います)。
これは人によって見解が分かれるところだと思うのですが、私は、東京や新潟(特に外回り)は反応良くトップギアに入れて最高速に持っていき、その最高速を持続する(さらに一線級はそこからひと伸びする)能力が問われると思っています。車で言えば高回転型のエンジンですかね。それに対して中山や阪神の内回りはコーナーで徐々にギアをあげていき、短い直線、しかも急坂で一気に加速する能力、車で言えば高トルク型のエンジンが必要だと思うのです。
少し古い表現ですが、後者はスーパーチャージャーで低速域からの加速を強化したエンジン、前者はスーパーチャージャーやターボを付加せず、高速域での走行安定性を重視した高排気量のツインカムエンジンといったところです。
今年、エリザベス女王杯が行われる京都外回りの2200は、前半スロー気味で流れ、坂上で息を整えた後、下り坂で加速し、直線は最高速の持続力を競うようなコースだと思いますので、どちらかというと東京寄りの適性が求められるのではないかと、個人的には思っています。京都開催のエリザベス女王杯で府中牝馬S組(東京芝1800)がほぼ例年と言っていいほど馬券に絡むのも、そこらへんに理由のひとつがあるような気がします。
ですので、ジェラルディーナやマリアエレーナよりも、牡馬相手の目黒記念で好走したサリエラを予想としては上位にとりたいと思います。
マリアエレーナは典型的に勝ちきれない馬だと思いますが、ジェラルディーナがG1馬の格を見せつけたら、それはそれで「強かったね」と諦めます。ただ、ジェラルディーナに関しては、陣営にとって「本番に向けた叩き台」という位置付けであったと思われるオールカマーはさておき、同馬にとって比較的適性があると思われる阪神芝内回りの大阪杯でもマリアエレーナに先着を許していることから、昨年の秋〜冬がピークだったのかもしれません。
しかし、サリエラは悩ましいですね。外国人騎手の稿でも触れたとおり、マーカンド騎手がやらかしてくれる可能性がある一方で、馬の能力からすれば大駆けもあり得ます。連下くらいには入れておいたほうが良いのでしょうか。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?