2023年有馬記念②(牝馬の取捨)

いよいよ有馬記念です。個人的に馬産、より強い種牡馬・繁殖牝馬を選定するという競馬の本来の目的から見れば、有馬記念単独ではあまり価値がなく、「当該年、特に秋シーズンの一連のG1戦線を使ってもなお暮れの大一番、中山の2500メートルというタフなコースを勝ち負けできる底力」を試されるレースだと思うのですが、競馬ファンからすれば、有馬記念前の1週間は、1年で最もワクワクする期間でしょう。

前置きはさておき、今年の有馬記念には(出走回避による繰り上がりがなければ)以下の16頭が出走予定です。

フルゲート16頭のうち牝馬は6頭。ウインマリリン(6歳)、スターズオンアース(4歳)、スルーセブンシーズ(5歳)、ハーパー(3歳)、ホウオウエミーズ(6歳)、ライラック(4歳)が出走予定です。

牝馬の有馬記念での成績について、2008年にダイワスカーレットが37年振りに勝って以来(同馬は前年2007にも3歳で2着入線していますので、それ以来)の15年間でとりあえず区切ってみると、以下の延べ10頭(リピーターもあるので実質7頭)が馬券圏内への入線を果たしています。

これらの7頭に共通しているのは、①5歳以下であり、②かつ(1頭の例外〈2020年のサラキア〉を除き)2200メートル以上の国内G1を勝っていること、③さらに(同②の例外と3歳で2着に入線したブエナビスタを除き)勝った国内G1は古馬混合戦であることです。

なお、6歳以上の馬に関しては以下のとおり牡馬を含めても、過去10年で3着が1回あるのみです。

3着の1回は牡馬で、2018年のシュヴァルグランのみですが、同馬は5歳時に春の天皇賞2着、ジャパンカップ1着、有馬記念3着があり、6歳になってからも春の天皇賞で2着入線している馬でした。

さて、今年出走を予定している牝馬を先の条件でチェックしていくと、以下のとおり1頭も条件に該当する馬がいないということになってしまいます。

①6歳以上:
   ウインマリリン、ホウオウエミーズ
②2200以上の国内G1勝ち無し:
   ウインマリリン、
   スルーセブンシーズ、ハーパー、
   ホウオウエミーズ、ライラック
③古馬混合G1勝ち無し:
   スターズオンアース

ただし、まずスルーセブンシーズの場合、重賞実績に関しては、今年になってから中山芝1800メートルのハンデ戦のG3(中山牝馬S)を勝ったのみですので、先のデータからは消し候補ですが、中山牝馬Sの次走、宝塚記念では最強馬イクイノックス(おそらく海外遠征帰り等で体調面はボトムであったと思われるが)を0.2秒上回る鬼脚で追い込んで0.0秒差なしの2着に健闘し、その後、初の海外遠征となった凱旋門賞でも(当日は日本調教馬向きの比較的硬めの馬場だったらしいとはいえ)勝ち馬から0.4秒差の4着に健闘しています。データ上、馬券の中心にはしづらいですが、完全に消すのは勇気が必要です。

もう1頭、スターズオンアースに関して言うと、同馬のベストは左回り(東京)の2000〜2400メートルで、有馬記念の中山芝2500メートルは適性的に最も合わない条件だと思います。

とはいえ、デビュー以来11戦して馬券圏内を外したことがないという抜群の安定感、まだ未完成なデビュー4戦目、得意な条件とはいえない中山芝1600メートル戦(フェアリーS)2着、同じく得意とはいえない阪神芝内回りの2000メートル戦、スタートで後手を踏みつつも直線は馬群を縫いながらの追い込み(秋華賞3着、大阪杯2着)とあらゆる条件でパフォーマンスを発揮してきているスターズオンアースです。ここも最内(1番)か大外(16番)にでも入らない限り3着までには来ると思いたいところですが、もしも4着以下に沈むとすれば、ここかもしれません。

ちなみに過去10年で、最内枠はキタサンブラック(2着)、大外枠のほうはシュヴァルグラン(3着)のみという過酷な状況になっています。

スルーセブンシーズとスターズオンアース、たぶん15年前まで遡ってデータをこねくり回さなくても同じ結論に至ったとは思いますが、両馬が馬券圏内に入ってくる可能性はかなりあると思います。

なお、両馬に優劣をつけるとすれば、スルーセブンシーズのほうを中山コースへの適性面から上位に評価します。



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