2023年エリザベス女王杯④(4歳馬)

馬齢別という切り口で先に触れましたが、一応、4歳馬がこのレースの中心となります。

今年の4歳勢は、アートハウス、ゴールドエクリプス、サリエラ、ライラック、ルージュエヴァイユの5頭ですが、どれも「帯に短し襷に長し」で取捨が難しいメンバーですね。

ただ、各馬の近走を改めて見直すと、展開面からある程度絞れそうです。

今回の出走メンバーを見渡すと、ハナに拘りたいメンバーがいないようなので、前走の府中牝馬Sでは勢いあまって逃げ切ってしまったディヴィーナがここも行くか、ゴールドエクリプスが押し出される形で先頭に立つか、あるいは切れ味勝負だと分が悪いハーパーやシンリョクカ辺りが積極策をとるか、いずれにしてもペースはさほど速くならなさそうです。個人的に、前半は平均〜ややスロー気味で淡々と流れ、3角の坂の下りから一気にレースが動くのではないかと予想しています。

そういう流れになったときに、後方から追い込んで確実に切れる脚を使う、サリエラ、ルージュエヴァイユは届くでしょうか。両馬ともブレイディヴェーグに切れ負けするのではないかと思います。前者はピンポイントでしか脚が使えず、かつエンジンのかかりが遅いタイプ、後者は追い込み一辺倒、かつ外目をスムーズに追えてこそ、という見立てです。どちらかと言われれば、サリエラを上位にとりたいところです。理由は純粋な馬の能力というよりも血統的な背景(全姉がこのレースで好走している等)と「短期免許の外国人騎手」です(笑)。

他方、アートハウスに関しては、中段からそこそこの脚を使えるという買い材料はあるのですが、オークスのレース振りを見る限りベストパフォーマンスは直線に急坂のない1800〜2000、上手く乗って2200がギリギリどうかというところかと思います。今回、乗り慣れた川田騎手から坂井騎手にチェンジしますので、その辺りが不安材料になりそうです。休み明けのほうが走る馬なので、その点も良いのですが、今回は骨折明けという点も半信半疑ではあります。

ゴールドエクリプスに関しては、小倉コースのほか、京都の1800に好走歴が集中していますし、前走は条件戦ながらなかなかの勝ちっぷりでした。京都の外回りコースは得意そうですし、血統面やレース振りから距離もこなしてくれそうな気がします。展開面でも流れが向きそうです。

何よりもこのゴールドエクリプスという馬はそこそこ歴史のある新冠のほうのオーナーブリーダーさん(ゴールドアクターで有馬記念も勝っている方)が走らせているのですが、血統表の母系を遡っていくと日本の古い牝系に代々スピードとスタミナをバランスよく供給しつつ中〜長距離志向の基礎牝馬を保ってきたように見えます。エクリプスという名前も牝系から来ているのでしょうかね。とにかく高額な輸入牝馬に高額な種牡馬をつけ、当たり前のように活躍するという昨今の競馬シーンの中で、言葉は良くないかもしれませんが、こういう地味というか雑草血統の馬(とは言っても、この馬は父ドゥラメンテ、母父ハービンジャーですが)にあっと言わせてほしいという気持ちをこめて応援してみたいと思います。

ゴールドエクリプスに力が入り過ぎましたけど、4歳勢の中ではライラックを一推ししたいと思っています。前走乗り替わりが奏功したのか、ある程度前で運んで終いも力強く伸びてくれました。外目の伸びるレーンをまっすぐ追えたルージュエヴァイユに対して、こちらは進路を探しながらの直線でしたけど、ゴール直前で前が開いてからの伸び脚は結果的に先着したルージュエヴァイユに勝っていたように思います。

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