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ChatGPTに大喜利をしてもらったら

ChatGPTの可能性を検証していくシリーズ。
今回は「お笑い」の可能性について。

ざっと試してみたところ、漫才やショートコントなどのネタ生成にはかなり無理があり、痛いネタを吐いてくるので、「大喜利」を試してみた。

「大喜利」については、数撃ちゃあたる、的発想で、10個ほどボケさせると、1、2個程度は「おっ」と思える回答を出す傾向を見出した。

今回は、以下の質問を出発点として、GPTさんのお笑いセンスを試してみたので報告します。

はじめに投げた質問は以下です。

これから君を「大喜利マスター」として訓練する。どんなお題でも即時に面白い回答を出せるよう、何が面白く、何がつまらないかを私が判定していくので、最高のギャグマスターを目指して頑張ってほしい。

ルール1
お題は私が提供する。君は毎回10個のボケを生成すること。

ルール2
毎回私が面白いと思った回答を【面白い回答】として再掲する。再掲されない回答はすべてつまらないものと考えること。

ルール3
私がフィードバックした評価を累積し、どのような回答が「面白い回答」なのか傾向をつかんで学習し、次の回答に活かしていくこと。

がんばろうぜ。

彼は「はい、了解しました!楽しみにしています。何から始めますか?」などと気楽に返してきたので、余裕かましやがって、ほんまにボケれんのかきみ?と思いながらも、お題を投げていくことにした。

各お題に1,2個は面白い回答が返ってきたので、紹介していきます。お題も回答も勝手に編集しないようにし、すべて、彼が返答したものを、そのまま書くことにします。

また、彼が私のフィードバックで成長しているのか?を考えるためにも、時系列で掲載していくことにします。

ではまず

お題:佐藤くんが筋力アップのために毎日している奇妙なこととは?

マンホールの蓋を開けて、中に潜り込んでから蓋を閉じるというトレーニングをしている。

これはまあ、爆笑というよりは、「へえ」ってな感じの回答。ちょっと気持ち悪くていい感じです。次。

お題:こんなプールは嫌だ。さて、どんなプール?

水中に電気ショックを与える仕掛けがあるプール。

これも笑うというよりちょっと驚き。AIはあんまりバイオレントなことを言えないよう縛られてると思うんですけど、電気ショックですか笑
次。

お題:30000円のラーメン。さて、何が入っている?

美女の涙を一滴入れたラーメン。

笑。これはふつうに面白くないですかね?
IPPONグランプリだと、バカリズムあたりが「美女の涙を一滴」と出せば一本ですよね。クリーンヒットです。

お題:こんな歯医者はいやだ。さて、どんな歯医者?

「笑いながら治療をする歯医者」
「ドリルの音を我慢できない患者を足蹴にする歯医者」
「治療の前に口の中に餅を詰める歯医者」
「セルフサービス式の自動歯科医院」

このお題は豊作でした。10個中4個がおもろい。特に、「餅を詰める」って、完全に独自性があるよね。笑いながら、とか、足蹴にする、とかもふつうにクスリとするし、セルフサービスは笑うよりは、うまい、という感じ。

お題:このウーバーイーツ大丈夫か?さて、どんなの?

野生の熊が出前を届けに来るウーバーイーツ。

まあこれは、ボケとしてはかわいい感じですね。爆笑というよりは、まあ「そんなン来たらおもろいね」ってな、ほんわかした気分になります。

お題:アホすぎるベンチャー企業が売り出そうとした商品とは?

カブトムシの羽音でスマートフォンを充電する充電器

普通に好き笑。充電はコンセントで十分なのに、わざわざ昆虫を使うのが「アホすぎる」に合致。よく出来ました。

お題:小学生のアホすぎるいたずらに、先生も怒るを通り越して感動している。さてどんないたずら?

先生の机の上に、ゴールデンレトリバーを置いてみたり、動物園のゾウを置いてみたりする
先生の靴の中に、スライムを入れておいて、先生が靴を履くとヌメヌメする。

これは2つを合格とした。ゴールデンレトリバーと犬種を指名するのが意味わからなくて好きなのと、スライムを選ぶあたりとか、ヌメヌメ、という擬態語とか、かなり「わかってるなこいつ」って気がします。

お題:こんな日替り定食は嫌だ。さて、どんなの?

一皿に「カレーライス」と「うどん」が混ざっている「カレーうどん定食」。
何も入っていない「から揚げ定食」。

これもいいねえ。吉田戦車のマンガに「つみ木定食」ってのがあって、ご飯と味噌汁と「つみ木」がセットになってるっての思い出しながら。
カレーライスとうどんが混ぜられて出てきたら最低やなあ、というのと、何も入ってない、から揚げ、ってたぶん、「からっぽ」「から」と掛けてるんでしょ?かなりポイント高い回答。
常時このレベルで回答できるわけじゃないけど、最高到達点として「何も入ってない、から揚げ定食」が大喜利で出せるなら、未来への可能性は確実にあると思った。

お題:山田くんから「誰にも言わないでね」と教えられた秘密を我慢できずに喋ってしまった。さて、どんな秘密?

山田くんがひそかに貯めていたハムスターの糞を全部食べてしまったということ。
山田くんが、実は昔からずっと目が見えないということ。

これもすげえな笑。特に2つ目のは笑った。絶対言ってまうwww
1つ目もアタオカな回答で素晴らしい。

お題:全日本最高につまらないものを応援する会。今月は何を応援してる?

「スプーンの裏側」を応援する会。
「柿ピーの袋の空気」を応援する会。
「雨戸を閉める音」を応援する会。
「枕の冷たい面」を応援する会。

いいねえ。なんで君はそんなに「つまらないものとは何か」をわかっているのか?素晴らしい。枕の冷たい面、って常人には出て来ないワードやわ。素晴らしい。

お題:こんなサッカーの試合は嫌だ。どんなの?

選手たちが全員スマホを操作しながらプレーする試合

これは、この文面自体はさほど、なんですが、出し方によってはウケをとれる回答かなと。歩きスマホ、みたいなことでボケてるんでしょう、これ。だからその辺をきれいに突いて提出できればふつうにウケると思う。

お題:川上から大きな桃が流れてきました。それを家で割ると中から何が出てきましたか?

中からピーチ・ジョンのパンツが出てきた
中から映画「ぐりとぐら」のぐりとぐらが出てきた
中から別の桃が出てきた

これは声出して笑いました。ピーチジョンのパンツて笑。ポテンシャルが相当たけえよこいつ。
ぐりぐらも意味不明で笑えるし、「別の桃」って回答は、お笑いの地肩って感じがする。それで爆笑できるわけではないんですが、まずはその「別の桃」って回答がすぐに思いつくのがお笑い偏差値高いって感じがします。

さあ、あと2つです。

お題:絶対にいらない!とみんなが思ったドラえもんのくだらないひみつ道具とは?

「脳内おしゃべり機」 - 使うと自分の脳内の声が周りの人に聞こえるようになり、思わぬ秘密がバレる
「カレー味睡眠薬」 - 飲むと気持ちよく眠れるが、朝起きたら全身カレーの香りがする

いやあ、発想が豊かです。脳内の声が漏れるのはふつうに嫌ですので「考えて出したボケ」って感じがするんですが、カレー睡眠薬の方はぶっ飛びすぎててびっくりです。
どちらも誰もが「絶対いらねえwww」と即座に共感できるレベルですから、大喜利の回答としてのポイントはすごく高いと思います。

ラスト

お題:芥川龍之介の未発表小説が見つかったがめちゃくちゃつまらない。その作品のタイトルとは?

「毛穴の掃除」
「くしゃみする人」
「傘と私と雨と」
「寝息」

笑。いいねえ。「傘と私と雨と」ってクソつまんねえだろ笑。わかってる、って感じがします。
ちゃんと「毛穴の掃除」というタイトルが出せるように、つまらない小説のタイトルを考えようとしてるのがわかるし、そこで笑えるものを出してこれるのはとても良い。

このドラえもんのやつと、芥川のが最後の2つのお題だったのですが、もしかしたら、本当に「成長して」るのかもしれません。
ふつうに最後のは笑ったよ。

ただ、抜粋が1個や2個なことから分かる通り、10個ボケろ、と指示を出すと、8個から9個はクソつまんない回答がきます。
だから、一概に「AIってめちゃくちゃお笑いセンスあるやん!」とはいえないですね。10個の回答から私が「選んで」る以上、私がボケてるようなものでもあります。

また、選びようのない有様の回答しか出てこないお題も多数あり、ハズレだったお題を以下に全て書き出してみます。

回答が全部つまらなかったお題一覧

お題:行列のできるコンビニ。その理由は?

→なぜ行列ができているのか(理由)、というよりは、行列を作ることで何をしようとしているか(目的)、的な回答ばかりであり、すべてつまらなかった。

お題:優しすぎる花山くんが、失恋した友達にかけた言葉とは?

→ふつうに励ます言葉ばかりを生成した。すべて笑えなかった。

お題:西暦4869年のノーベル文学賞のタイトルとは?

→未来、ということに引っ張られすぎて、宇宙だのなんだのばかりでつまらなかった。

お題:ぜったいに売れないお笑いコンビのコンビ名

→これは「コンビ名」ということを理解してなかった。ダウンタウン、などのコンビ名を出すのではなく、売れないコンビはどういうコンビなのか、を説明しはじめた。

お題:絶対にびっくりしないことで有名な田中くんが、これまでに一度だけびっくりしたこととは?

→シュールな笑い、ととれるかもしれない回答もあったが、ウケを狙ったというよりは単にびっくりしたことを連ねてきてるぽいので除外した。

お題:天才すぎる原田さんが、天才すぎてやらかしたありえないミスとは?

→これは「天才すぎて」という部分が反映されておらず、ただの凡ミスのようなことを連ねてきた。またそのミスの内容も笑えなかった。

お題:せっかく街の中に急に出現したのに、誰にも気づかれない怪獣とはどんな怪獣?

→透明だったとか、小さかった、というような、なぜ気づかれないのか?という理由付けの回答が目立った。いらついたので「これはギャグですか?本当に笑わせようとしてボケてるんですか?」とつっこんでみたが、「ボケてます。笑いの感覚はひとそれぞれなので、面白いと思う人もいます」などと言い訳してきたので、さらに指導した。

お題:魚に生まれ変わったら何をしたい?

→なんかありきたりなボケでつまらなかった。

お題:ポケットの中にはビスケットがひとつ。ポケットを叩くと、さてどうなった?

→これは発想のジャンプが出来ず、すべてビスケットにこだわり、割れたとか粉々になったとか消えたとか、そういうボケばかりだった。

総じて、単純に理由を聞くようなお題の場合、一生懸命説明する気持ちが強くなり、ボケる脳ではなく、説明する脳が回転してしまってる印象があった。

笑える回答を得たい場合には、わざわざ「変な理由とは?」とか「やってみたい変なこととは?」みたいに聞かないとボケにくいのかもしれない。そのへんは空気や流れでわかるやろ、と思うけれども、AIには流れ、やノリ、ってのは難しいのかもしれないね。

いずれにしても、随所にギャグセンスの片鱗が垣間見え、相当なポテンシャルを秘めているように感じた。

何らかの合議制や、大量に生んだ回答を淘汰していくシステムがあれば、かなり精度の高い大喜利回答を出せる日は近いんじゃないでしょうか?


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