この週末を、忘れないために

noteに書くのは久しぶりです。

ステイゴールドの子孫を応援している方々にとって、ここ数日はまさに悲喜こもごも。様々な涙が流れたことでしょう。

出来事を記録しておくことで、思い出を確かなものにしておきたいと、思います。

まずは10日木曜日。

シンボリクリスエスの死去、アオイゴールドのGⅠ抽選突破と枠順決定、有馬記念ファン投票最終結果発表と様々なニュースに追いつくのに精いっぱいのところ、何の前触れもなく、ノーモーションでエタリオウの登録抹消が伝わってきました。

会社帰りにお使いを頼まれててスーパーに行き、ベンチで一息ついていた私は動けなくなりました。

「いやいやいや、何かのドッキリでしょう。来年に向けて英気を養ってるんでは?日経賞春天連続2着から父と同じ6歳目黒記念で初重賞を飾って日本中のステイファンの部屋を涙の洪水であふれさせるんでしょ?」

「抹消」としか知らされないまま木曜の夜は更け往き、私なんぞは今後が心配で眠れないのでやっとの思いで帰宅してから思い出をモーメントにしたあとTwitter見ずに眠剤飲んで寝ました。

翌金曜日、「抹消」が事実である、故障によるものであるという悲しい現実と同時に、ヴェルサイユリゾートファームさんで暮らせることになったという一筋の光が差し込んでくれました。全国のファンがこの二日間、悔しさと安堵の入り混じった涙をどれくらい流したことでしょう。

競馬の世界で「全力を出し尽くすことのできた」馬なんてのは一握りもいないと思います。エタリオウもそうでしょう。

それでも。

彼が菊花賞でフィエールマンを抑えきっていたら、その後も順調に能力全開で使えていたら、今頃彼はいくつの冠を戴いていただろうか。

エタリオウが無双している世界線と言うものがあるならば、何とか転生できないものだろうか。そう考えている自分がいます。

「乗馬になるかどうかはまだ決まっていない(大意)」と言うヴェルサイユファームさんのツイートの真意は分かりませんが、勝手に「需要があれば種牡馬になれるかも…」という意味もあるかもしれないと一縷の望みを託しつつ、いつか会いに行きたいと、思っています。


そして今日ですよ。2020年12月13日日曜日。午後3時過ぎから6時前までの3時間は、本当に濃密な一時でした。

口火を切ったのは中山GⅢカペラステークスのジャアアアアアアア...ゴホンゴホン。

ジャスティンですね。

サブノジュニアをはじめとするJBCスプリント並みのメンバーに加えて2キロも斤量の軽いダンシングプリンス。

これをジャスティンは4角で先頭に並びかける正攻法、横綱相撲で押し切りました。勝ちきりました。強かった。

今年だけで8戦5勝。重賞3勝目です。

そして種牡馬オルフェーヴルは先週のステイヤーズステークス、オセアグレイトに続いての2週連続重賞制覇。JRA平地「芝最長距離」唯一の重賞を制した返す刀でJRA「ダート最短距離」唯一の重賞を制覇するという変た…いやオールマイティぶりを見せつけてくれました。

これでオルフェーヴル産駒は今年JRA重賞8勝。ダートグレード3勝合わせると11勝。

父ステイゴールドの年間最多重賞勝利数が13なので、もう父に追いついたといってよいでしょう。そしてその万能性はもう父を超えています。

誰が失敗種牡馬やねん。(さすがにそう呼ぶ方はもういないでしょう)


次のハイライトは20分後、阪神ジュベナイルフィリーズ。

ミルコ・デムーロ騎手に導かれたゴールドシップ産駒のユーバーレーベンが最後の直線、豪脚を見せてくれました。

「外から1頭、追い込んできた、11番の、ユーーバーーレーベン!」実況に驚きが混じっていたように聞こえたのは私だけでしょうか。

器用に立ち回ったソダシとサトノレイナスにはわずかに届きませんでしたが堂々の3着。上がり3Fは33秒6の最速。その実力が本物であることを、そして来年のクラシック候補であることをしっかりと証明してくれました。

オークスが本当に楽しみです。

こんなところで一ファンの分際が何を言っても意味はありませんが、このコンビで、このコンビで、このコンビでクラシックに臨んで欲しいものです。

これで種牡馬ゴールドシップも2年目の今年、年間賞金6億円を突破。父ステイゴールドの2年目に肉薄しています。ゴールドシップもまた、十二分な成績を残しているのです。


そして午後5時30分。魂が再び揺すぶられました。

ラストランの香港カップに臨んだウインブライトです。

去年と同じように4コーナー手前から積極的に前に進出し、

去年と同じように残り1ハロンで先頭に立ち、

去年と同じようにエイダン・オブライエン厩舎、ライアン・ムーア騎乗の強豪牝馬をきわどく抑え込んでゴール板を通過しました。

しかしゴール後、鞍上松岡正海騎手の左拳がシャティンの空に突き上げられることはありませんでした。

去年と違うのは、前に1頭、馬がいたことでした。


ウインブライト、松岡正海騎手の2020年は苦難の連続でした。

2月8日、松岡騎手が落馬負傷。大腿骨骨折の大けがでした。

3月1日、鞍上にフィリップ・ミナリク騎手を迎えた(ミナリク騎手もその後大変なことになりましたね…)ウインブライトは中山記念で不可解な惨敗。

その後ドバイに照準を定めるもCOVID-19の影響により中止。

宝塚記念を目標に定めていた5月8日、唐突に蹄のケガで予定が白紙に。


それでも人馬ともに復帰し、秋の天皇賞をたたいて香港カップに間に合わせたのです。

直線伸びてくるウインブライトと遮二無二馬を叱咤する松岡正海騎手の姿に、涙があふれてきました。

これで引退とは、正直もう1年見たいところですが、今日で引退だからこそのこの走りだったのでしょう。ウインブライト産駒の馬上で躍動する松岡ジョッキーの姿を見るのが、楽しみです。


エタリオウの一報が流れてからこの4日間、いろんなことがあってステイゴールド一族ファンの皆さんはさぞかしお疲れのことでしょう。

明日から仕事の方、師走で忙しいでしょうけど、しっかり会社で英気を養いましょうね。再来週はもっと大変なことになりますよ。

それでは、おやすみなさい。お読みいただき、ありがとうございました。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?