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【PIT】24年TDLプレビュー

今回はあと1週間に迫っているトレードデッドライン(TDL)について書こうと思います。今年のTDLは現地7月30日の18時、日本だと7月31日の7時に設定されています。

既にTBがRandy ArozarenaをSEA・Zach EflinをBALへ放出するなどトレード市場が活性化していますよね。毎朝起きたら「何か面白いトレード成立したかな」とスマホを確認してしまいます。

オールスター前に公開されたnote企画では、Pittsburgh Pirates(PIT)の立ち位置を「消極的な売り手」と評しましたが…あのアンケートに解答したのは41勝45敗とまだ負け越していた7月5日なんですよね。

その後に大きく勝ち越して現在のPITは52勝51敗で地区3位に位置しています。地区首位のMILまでは7.0ゲーム差ありますが、ワイルドカードまでは2.5ゲーム差と充分手の届く距離です。

ただ、対価に糸目を付けず大型補強で勝負を賭けるのはまだ時期尚早。開幕からPaul Skenesが稼働して、今季絶望の若き正捕手のEndy Rodriguezが復帰する来季から数年が本番でしょう。

となれば、今オフFAになる“レンタル案件”ではなく、来季以降もコントロール出来る選手を(対価が多少高くなったとしても)中心に狙いたいところです。

補強はしたいけど今季だけでなく来季以降も考えた動きをしたい…という事で、このままいけば今年のTDLでは「消極的な買い手」というスタンスになるでしょう。


▶ トレードチップ

現在のPITは端的に言うと「投手の層が厚く、野手の層が薄い」という状態、これはMLBの現有戦力に限らず傘下マイナーにいるプロスペクトも同様です。基本的には「投手を放出して、野手を獲得する動き」を画策する事になるでしょう。

プロスペクトではMLB公式ランキングで全体99位(傘下4位)に選出されているBraxton Ashcraftが目玉的な存在。3A級でもしっかり成績を残しておりMLB readyなスターターですね。

他にも傘下5位のThomas Harrington、傘下9位のMike Burrows、傘下12位のHunter Barcoあたりは人気銘柄になりそう。ここから化けそうという意味では、昨年のドラフトで指名した傘下19位のPatrick Reillyや傘下30位のKhristian Curtisも要チェック。


このチームの強みはMLBレベルのスターターが潤沢な事。エクステンションしたMitch Kellerと、ルーキーコンビのJared JonesPaul Skenesの3人で数年先まで表ローテが固まっていますからね。

それに加えてベテラン左腕のMartin PerezMarco Gonzales、ローテに定着した左のBailey Falter、元TOP100プロスペクトのLuis L. OrtizQuinn Priesterらがいます。ここから1人ないし2人は放出可能かと。

中でも注目なのは、既に17登板/90.1回を消化してERA 4.08/FIP 4.45と堅実な投球を続けているFalter。FAは27年オフなのでまだ3.5シーズンも保有出来ます。

ただ、23年に規定投球回到達もオフにTJ手術を受けたJohan Oviedoが来季には戻ってくる予定なんですよね、PITではそこまで重視するポイントではありませんが、“安く長く保有出来る左のスターター”はかなり魅力的に感じるチームもあるのでは?


ブルペンからはセットアップコンビのColin HoldermanAroldis Chapmanのどちらかを放出すべきだと考えます。クローザーのDavid Bednarは開幕直後の大乱調でバリュー的に無しでしょうし。

昨季MLBデビューしたKyle NicolasCarmen Mlodzinskiが徐々に信頼を掴み始めていますし、昨季に便利屋としてブルペンを支えたRyan Boruckiも順調なら8月あたりから復帰出来そう。

普通に考えれば単年契約(今オフFA)のChapmanを売るべきでしょうが、リリーバーは高値のうちに売ってしまった方が良いとも考えられます。28年FAで4.5シーズン保有のHoldermanなら相当な対価を見込めるはず。


野手だとOneil CruzNick Gonzalesの台頭でなかなか出場機会に恵まれない、元TOP100プロスペクトのLiover Pegueroや韓国出身のJi-Hwan Baeあたりは若くてバリューがあるうちに放出するのも手でしょう。

トレードで誰を獲得するかにもよりますが、CFを守れる選手を獲るのなら単年契約のMichael A. Taylorをプロスペクトに替える可能性もありますし、場合によっては昨季26本塁打のJack Suwinskiを放出もゼロではないかと。

プロスペクトなら目ぼしいのはMLB公式で傘下7位に選出され、今季は2A級で好守を連発している台湾出身のSS・Tsung-Che Chengくらいかなと。あとはマイナー低層の20歳前後の選手達が多くなりそう。


▶ ターゲット

さて、獲得したい選手は兎にも角にも「打てる選手」です、それに加えて前述の通り「来季以降も保有出来るコントローラブルな選手」を狙っていきたいところ。ポジションはそこまで気にしなくて良いと思いますね。

ここまで現地報道で名前が挙がっている(それなりに信憑性がありそうな)選手は、26年オフFAのTaylor Ward(LAA)やJazz Chisholm(MIA)、27年オフFAのBryan De La Cruz(MIA)。そして、契約は25年オフまでですが26年はクラブオプションが付いているYandy Diaz(TB)ら。

比較的安く済ませるのならWardかBDLC、それなりの出血覚悟ならChisholmかDiazという感じでしょうか?個人的にはDiazを狙って欲しいです、25年$8.0M→26年$12.0M(オプション)とすごく高い訳でもないので。

それ以外の候補を挙げるなら25年オフFAのLane Thomas(WSH)や、27年オフFAのBrent Rooker(OAK)もフィットしそう。後者はかなりの対価が必要になりますし、そもそも放出する可能性が高くなさそうですが。

あとは妥協案としてスイッチヒッターのJosh Bell(MIA)を格安で呼び戻すのも有り。今季サラリーは$16.5Mと高額でマトモに売れないでしょうから、ほぼ対価無しで1B/DHの選択肢を増やせます。

現在行われているAZ戦はBryan Reynoldsが忌引きリストに入っていますが、彼がいないだけで打線の見栄えが明らかに悪くなりましたから、スタメン級を1人ではなく2人獲得したいところ。


▶ まとめ

という事でまとめると、今年のTDLは「投手を駒にして打線を強化しつつ、並行して放出したプロスペクトの穴埋めもしたい」です。それが出来れば苦労しないよ って感じですね。

今季のリアルな目標は「最後の最後までプレーオフ争いに参加する」事だと考えています。もちろんワイルドカード3枠目だろうが何だろうがプレーオフ進出が出来れば最高ですが、そんなトントン拍子には行かないでしょう。

8月9月のヒリヒリする様な試合を若い選手達に経験させつつ、来季以降も保有可能な脇を固めてくれる選手を獲得してくれれば最低限のノルマは達成したと言えるのではないかと。

昨日今日のトレードラッシュで焦り、やや駆け足気味になってはしまいましたが…数年後に「あのTDLが大きかった」と振り返りたいものですね。


【参考文献】


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