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【PIT】あれ、こんなチームだっけ?

開幕から18試合を終えて11勝7敗と上々のスタートを切っている我らがPittsburgh Pirates(PIT)。おそらくほとんどのMLBファンが驚いたのではないでしょうか?

開幕から1番SSを務めていたスーパースター候補のOneil Cruzがクロスプレーで長期離脱したものの、その後も22年世界一のHOU戦は1勝2敗・22年地区優勝のSTL戦は2勝2敗で乗り切り、現在行われているビジターでのCOL戦も2連勝中と勝ち越しています。

過去3シーズンを振り返ると、11勝を挙げるまでに20年は35試合・21年は22試合・22年は26試合を要しました。今季は18試合で到達ですからかなり順調ですよね。

19年オフにGMのNeil Huntingtonや監督のClint Hurdle、球団社長のFrank Coonellyらを揃って解雇。新GMにBen Cheringtonを据えて本格的な再建をスタートさせてから今年が4年目のシーズンとなります。

もう「負けてもOK」のタンキング期は終了して今季から勝敗を意識していく時期だと(3月に投稿した)展望でも書きました。今季このまま勝率.500前後で最後まで戦えるとは思っていませんが、それをチーム内外にも示す事が出来たのは大きいかと。

しかし、しかしですよ、僕はふと思ったのです。



と。

現在ロスターにいる選手で19年にPIT(マイナーではなくMLB)でプレーしていたのは2人しかいません。 もちろん再建チームで4年も経てばそんなものかもしれませんが。

それにしても4年前の僕に「4年後は開幕から好調だけどこんなメンバーだよ」と伝えたら、きっと頭の上に大きな"?"を浮かべるはずです。

そんな訳で今回は、今季MLBで起用されている選手達の加入した経緯について改めて見ていきます。ここまでは投手14人・野手16人の計30人が出場しています。

ちなみに、先に断っておきますがこの記事を通して何か伝えたい事がある訳ではありません。


◆◆ 前体制から残る選手 ◆◆

●Mitch Keller ●Bryan Reynolds

18年にトレードされて今季復帰したAndrew McCutchenは例外として、前監督のHurdleの元でプレーした事がある選手は前述の通り2人だけ。どちらも19年にMLBデビューしたMitch KellerBryan Reynoldsです。

元トッププロスペクトのKellerは21年まで伸び悩んでいたものの、試行錯誤の末に昨季ようやくローテ定着。今季は開幕投手を務めまずまずの投球を続けています。

Reynoldsは18年にMcCutchenの対価として獲得すると、19年にMLBデビューを果たして以降は(調子の波はあれど)不動のレギュラーとして活躍中。問題はエクステンション出来るかです。


◆◆ 前体制が獲得した選手 ◆◆

●Ji-Hwan Bae ●Rodolfo Castro
●Oneil Cruz ●Jason Delay 
●Ke'Bryan Hayes

続いて、GMがHuntingtonの時に獲得してCheringtonになってからMLBに昇格した選手達です。いわば「Huntingtonの置き土産」ですね、今季は5人全員が開幕ロスター入りしました。

15年ドラフトの全体32位指名・Ke'Bryan Hayesは20年、17年TDLでLADからTony Watsonの対価・Oneil Cruzは21年にそれぞれMLBデビューを飾り現在は主力に成長しています。流石は元トッププロスペクト。

Rodolfo Castroは15年INFA、Jason Delayは17年ドラフト、Ji-Hwan Baeは18年INFAで加入した叩き上げ。Castroが21年に、DelayとBaeは22年にデビューを果たしました。

という事で、既に前体制を知る選手は30人中7人しかいませんでした。ここからはCheringtonが就任してから昨季閉幕までに獲得した選手達となります。


◆◆ 20-22年に獲得した選手 ◆◆

【トレード】
●David Bednar ●Roansy Contreras
●Wil Crowe ●Colin Holderman
●Johan Oviedo ●Duane Underwood Jr.
●Tucupita Marcano ●Canaan Smith-Njigba
●Jack Suwinski

【その他】
●Chase De Jong ●Robert Stephenson
●Tyler Heineman 

マイナーFAで獲得したChase De Jong、シーズン中にウェーバークレームで獲得したRobert StephensonTyler Heinemanはひとまず置いておきましょう。彼らも当初の期待値を考えればよくやっています。

注目すべきはトレード組です。いつ・誰とのトレードで加入したのか簡単にまとめると…

Wil Crowe
 → 20年12月 Josh Bell(WSH)
David Bednar
 → 21年1月 Joe Musgrove(SD)
Roansy ContrerasCanaan Smith-Njigba
 → 21年1月 Jameson Taillon(NYY)
Duane Underwood Jr.
 → 21年3月 Shendrik Apostel(CHC)
Tucupita MarcanoJack Suwinski
 → 21年7月 Adam Frazier(SD)
Colin Holderman
 → 22年7月 Daniel Vogelbach(NYM)
Johan Oviedo
 → 22年8月 Jose Quintana(STL)

DFAされたところをマイナーリーガーとのトレードで纏めたUnderwood Jr.をはともかく、それ以外は主力を放出する“売りトレード”で対価として獲得した選手達ですね。

開幕からローテで回っているContrerasとOviedo、8-9回を担うHoldermanとBednar、昨季19HRを放ち今季はCFを守るSuwinskiらを筆頭に過去3年の動きが身を結びつつあります。

ここには書いていませんが、MusgroveのトレードでNYMから獲得した当時無名のEndy Rodriguezが現在MLB全体49位のトッププロスペクトに成長し、現在3A級で昇格の時を待っていますしね。


◆◆ 昨オフ獲得した選手 ◆◆

●Jose Hernandez ●Rich Hill
●Dauri Moreta ●Vince Velasquez
●Rob Zastryzny ●Ji-Man Choi
●Austin Hedges ●Connor Joe
●Mark Mathias ●Andrew McCutchen
●Carlos Santana

そして最後に、2年連続100敗して迎えた昨オフの動き。Jose HernandezはRule 5 DraftでLADから指名したリリーフ左腕ですね、2A級までしか経験がないとは思えないほど良くやっています。

本当はここに名を連ねる予定だった経験豊富な左のリリーバーJarlin Garciaが開幕IL入りしたものの、代役のRob Zastryznyがマイナー契約からチャンスを掴み開幕戦の勝ち投手に。

トレードは一昨年まで正SSだったKevin Newmanを同地区のCINへ放出してリリーバーのDauri Moretaを獲得したのが目立つくらいで、あとはJi-Man ChoiConnor JoeMark Mathiasは傘下30位圏外のスリーパーと1対1です。

それ以外は投手だとRich HillVince Velasquez、野手だとAustin HedgesとMcCutchen・Carlos Santanaといった経験豊富なベテラン達をFAで補強しています。


という事で、30人のうち約8割に当たる23人がこの2年半以内(20年12月以降)に獲得した選手であり、更に23人のうちほぼ半数の11人が昨オフに獲得した選手でした。

それどころか昨年の開幕ロスター28人で、現在PITのロスターにいるのは6人しかいません。先日TJ手術を受けてIL入りしているJT Brubakerを含めても7人です。もしReynoldsのトレード要求に応じて放出していたら、もう別のチームでしたね。

とはいえ、3A級には昨季MLBで26登板したYerry De Los Santos、昨季MLBデビューを果たしたLuis OrtizCal MitchellTravis Swaggerty、MLB昇格を待つQuinn PriesterMike Burrowsといった“Huntingtonの置き土産”はまだ残っています。

今季が完全なコンテンド期でない以上TDLでは売り手側に回るでしょうから必ずチャンスは巡ってきます。ファンは新しいもの好きなのでどうしても新加入の選手を気にしがちですが、彼らにも注目したいですね。


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