【PIT】2023年シーズン総括
いやいや、MLBのポストシーズン盛り上がっていますね。よく日本人は判官贔屓だと言われますが、やはり下馬評の低かったチームが健闘すると嬉しくなってしまいます。
さて、熱戦が広げられている最中ではありますが今回は我らがPittsburgh Pirates(PIT)の2023年シーズンをザっと振り返ろうと思います。
なんとか3年連続100敗…もっと言えば4年連続勝率.300台は回避する事が出来ました。 ※短縮シーズンだった20年はMLBワーストの勝率.317(19勝41敗)
オフにある程度の補強はしましたし、プロスペクトの上位層が2A/3A級に到達していたので流石に今季も100敗する事は無いと思っていましたが、負け越し10は予想以上の出来です。
ワイルドカードの可能性が消滅したのも9月23日です。昨季はTDLでベテラン達を放出して一気に落ちていきましたからね、閉幕1週間前までよく粘りました。
続いて月別チーム成績ですが、TBに続いてNL最速で20勝に到達するなどスタートダッシュは本当に良かった。ぼくも「ひょっとして勝率.500くらい行けちゃうのか?」なんて思いましたよ。
しかし、5月に貯めこんだ貯金をあっさり吐き出すと、6-7月も事が出来ず19勝31敗と借金を積み重ねました。ポジティブに捉えれば「TDLでどっちつかずにならず売り手に回る事が出来た」とも言えますが。
昨季はTDLでベテランのJose QuintanaやChris Stratton・Daniel Vogelbachらを放出後(8-10月)に22勝38敗(勝率.367)とボロボロでしたが、今季は8-10月で1つだけですが貯金を作って終わったのは間違いなくプラスでしょう。やはりAndrew McCutchenの影響は大きかったかと。
ちなみにチーム別で最も貯金を稼いだのはSTL戦の5つ(9-5)で、次点がSD戦の4つ(5-1)。逆に最も借金を作ったのはCHC戦の7つ(3-10)がぶっちぎりで、次点はMIA,MIL,TB,TEXにそれぞれ3つ。
共に初めて規定投球回に到達したMitch KellerとJohan Oviedo、そしてリーグ最多セーブを記録したDavid BednarがrWAR 2.0超と主力らしい数字に。とりあえずローテ2枠とクローザーが確立出来ました。
昨オフにCINからKevin Newmanの対価としてトレードで獲得したDauri Moretaと、昨年のTDLでNYMからDaniel Vogelbachの対価として獲得したColin Holdermanがハイレバレッジな場面で起用出来たのは計算通り。
それよりもシーズン中にマイナー契約を結んだRyan Borucki・ウェーバークレームで獲得したAndre Jacksonが便利屋として貢献し、ルーキーのCarmen Mlodzinskiはいきなり7回担当に収まったのが大きかったです。この1年でブルペンはかなり整備されました。
逆に今季Kellerに次ぐ存在になる事が期待されていたRoansy Contrerasが大ゴケ、トッププロスペクトのLuis OrtizとQuinn Priesterが予想以上に苦しむなどローテの整備があまり進まなかったのが計算外。
昨季エクステンションしたKe'Bryan Hayesが後半に打撃の数字を爆上げしてチームトップのWARを稼ぎ、デビュー2年目のJack Suwinskiもほぼ全ての打撃成績を向上させてレギュラーの座を掴み取りました。
逆に今季エクステンションしたBryan Reynoldsは(短縮シーズンの20年を除き)キャリアワーストのWARに。今季サラリーは$6.75Mなので価格相応と言えますが、来季からは$10Mを超えるのでバウンスバックに期待。
ルーキー組だと昇格後は正Cとして起用されたEndy Rodriguezが打撃よりも守備でアピールしたのも予想外でしたが、それよりも驚いたのはJared Trioloが50試合そこらでWAR 2.0近くを稼いだ事。
wRC+ 118と健闘した打撃に関してはBABIP .440と異常値だったので落ちるでしょうが、21年にマイナーでGG賞を受賞した3Bを中心に1B/2Bを堅実に守れる事は充分アピール出来ました。
大誤算だったのはやはりOneil Cruzが僅か9試合で今季絶望となった事ですが、精一杯プラスに考えるならダブついていた2B/SS候補の選別は進みました。TDLでRodolfo Castroを放出してBailey Falterを獲得したのもその一環ですね。
▶ まとめ
開幕前に投稿したシーズン展望記事では「若手を起用しながら勝つ」「目指すのは72勝90敗」「TDLでは売り手に回る」「Reynoldsはエクステンション出来ないなら放出」と書きました。
Johan OviedoやJack Suwinskiらが主力になってくれましたし、開幕時点でMLB公式プロスペクトランキングPIT傘下30位に入っていた選手のうち、以下の9人が今季中にROY資格を喪失してプロスペクトを“卒業”しています。
[02] Endy Rodriguez
[03] Henry Davis
[04] Quinn Priester
[05] Nick Gonzales
[06] Liover Peguero
[08] Luis Ortiz
[13] Ji-Hwan Bae
[18] Jared Triolo
[25] Carmen Mlodzinski
Rich Hill・Robert Stephenson・Austin Hedges・Ji-Man Choi・Carlos Santanaと今オフFAのベテラン達はひと通りトレードの弾にする事が出来ましたし、Reynoldsのエクステンションも無難な金額で纏められています。
やるべき事をやりつつ「目標より4勝の上積みが出来た」という事で、もちろん誤算は沢山ありましたが大枠で見れば満足のシーズンと言えるでしょう。これにて19年オフにBen CheringtonをGMに据えて始まった再建はひと段落です。
これで来季盛大にコケるとかなり苦しいですし、このオフはかなり大事になると思います。次回からは数回に分けて「Rule 5 Draft対策」「トレード放出候補」「FA・トレード獲得候補」などオフの展望について書いていきます。オフシーズンもよろしくお願いいたします。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?