リーバイスvsラングラー、ジーンズ戦争が大統領選に与える意外な影響。
この記事を読んであなたが得られるかもしれない利益:企業が政治的スタンスをはっきりする時代が到来。リーバイスを穿くのは民主党支持、ラングラーは共和党支持者。社会的イシューに関して、企業がはっきりした態度をとることに関しての是非。
学生だけでなく、企業も政治に関わる時代
米大学で反戦のデモが激しくなっています。
バイデン政権も、ことは選挙の結果を左右しかねないとあって、火消しをしながらも、学生の平和活動に理解を示しています。
このことは、ベトナム戦争での米国の若者の反戦運動を思い出させますが、平和を守り、戦争を終結するために、若者を含め大衆のパワーが無視できない影響を持つことが、今更ながらわかった気がします。
戦争をストップさせるには、もう一つの勢力も注目に値します。
それは企業です。
ジーンズ戦争は政治的スタンスの戦争
すでに2016年あたりから、企業が政治的スタンスを明らかにする動きが浮上してきました。
例えばジーンズの雄リーバイスは、2016年お客さんが店でジーンズを試着中に銃で自殺を試みたことをきっかけに、銃規制に声を上げました。
リーバイスジーンズのメーカーであるリーバイストラウス社CEOのチップ・バー氏(Chip Bergh)は、銃規制に賛同する200社のトップの署名を集め、議会に銃規制法案を認めるように働きかけました。
ライバルのラングラーは、政治的なスタンスはとらない、と明言していますが、ある意味社会問題に関するスタンスははっきりしています。
乳がんのリサーチや疾病兵への寄付を行ったり、自社のジーンズ製造プロセスをより環境に負荷をかけないようにするなどが、同社の姿勢です。
これらの活動はある意味、立派な政治的活動と言えなくもないでしょう。
リーバイスが民主党よりと言われるのは、リベラルと言われる政策、たとえば銃規制とか移民擁護運動に積極的に肩入れしているからです。
ラングラーが共和党よりと言われるのは、田舎のイメージとロディオ(カウボーイが牛を御する技術を競う大会)をずっと支援してきたからです。
都会じゃなく田園、そしてロディオ愛が、共和党員の心をくすぐるのだそうです。
しかし、リーバイスvsラングラーの競争は、民主党vs共和党の対決であり、両社の動き次第で、11月のバイデンvsトランプに大きな影響があると言われています。
例えば、バイデンがリーバイス社に何らかの働きかけをしたら。
それでなくても、リーバイス社があらたに、リベラル政策支持のスタンスを取るだけで、民主党バイデン政権はありがたいはず、です。
企業は政治に関わるべきか
小さいときからラングラー信者の男性がいます。
60を過ぎて引退したのをきっかけに、彼はリーバイスを穿くようになりました。
それはひとえにリーバイスのリベラル政策支持のスタンスに、賛同するようになったからです。
企業は政治なんかに関わる必要はない、いいものを創ってればいいのだ、という正論もありますが、政局に関わることがマーケティング戦略につながるとする考えもあります。
ジレットの問題CMの波紋
P&Gの傘下、カミソリメーカーのジレットのCMが物議を醸しました。
そのCMに、お父さんとトランスジェンダーの息子(性別は女性)が出演しています。
初めてのひげそりの場面で、お父さんがヒゲの剃り方を教えているのです。(下がそのCM)
このCMを出す時にジレット内部ですったもんだがあったのですが、CM放送後は、ジレットの売上は上昇、外部の取締役などは、「いいマーケティングだった」と手放しで称賛しています。
デリケートな問題をマーケティングにするんじゃねえ、という意見ももちろんあります。
この問題、答えがでないようです。
野呂一郎
清和大学教授
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