半導体投資不足が招いた日本経済の危機
この記事を読んであなたが得られるかもしれない利益:半導体不足は予見できたはず。投資不足は政府だけの問題じゃない、企業も、そしてあなたもそうかもしれない。
なぜ、日本は半導体小国になったのか
ニューヨーク・タイムズ2022年8月21日号は、Japan, once on top in chips, races to catch up(かつて半導体集積回路の生産でトップだった日本が、おっとり刀で競争に参加)というタイトルで、産業基盤に対しての日本の投資計画のなさを皮肉っています。
チップ不足が、日本経済に最大のダメージを与えていることは明白です。
しかし、かつて日本は半導体の生産では世界一を誇り、マーケットシェアは50%を超えていたのです。
しかし、グローバリゼーションの拡大によって、先進国は国外の半導体メーカーに外注するようになり、日本のマーケットシェアは10%に落ち込んでいました。
しかし、ここで日本は誤ったのです。
半導体は産業のコメと言われており、マーケットシェア云々でなくて、国策として常に強力な生産体制を維持すべきだったのです。
有事も考えてね。
今回、そらみたことかコロナによる工場閉鎖、労働者不足、モノの供給の不足、遅延によって世界のサプライチェーンが麻痺、半導体不足は全世界的問題になっています。
遅まきながらの反撃
日本はここに来て、86億ドルかけて半導体製造工場を熊本に建設することを発表、このうち政府の補助金は35億ドルです。
この工場は台湾の半導体メーカーTSMCとアメリカの半導体サプライヤー、ソニー、デンソーの共同出資で運営されます。
これは少し日本も考えました。地政学的に台湾、アメリカは少し離れてますから、日本で大災害があっても両国はあまり影響を受けません。
この新しい熊本工場は1700人の従業員を雇う予定で、台湾を代表するチップメーカーTSMCからは300名のエンジニアが来てくれます。
また地元の大学との協力関係も構築しつつあり、学生の就職の受け皿にもなる模様です。
投資不足という判断ミス
しかし、問題は、これまで半導体生産に力を入れてこなかった、つまり投資不足がたたり、日本の半導体生産は最先端じゃないことです。
韓国、台湾の品質に勝つためには、更に巨額の投資が必要というのが現実なのです。
アナリストの分析はこうです。
投資リサーチ会社マカリー(Macquarie Group)の日本担当部長ダミアン・ソング氏(Damian Thong)はこう語ります。
国家ビジョンがない国
僕は、現在の日本経済の停滞は、やはり、日本政府の見通しの悪さ、予見力のなさが原因だと思いますね。
すべてやるべきことが遅すぎる、先手を打って投資、なんてことはやった試しがないじゃないですか。
それは、国家ビジョンがないからです。
韓国みたいに、人口が5000万しかない小国が生き延びるのには、国の外に出るしかない、そうした国家ビジョンがビジネスに隅々にまで共有されて、BTSというプロダクトができたわけでしょ。
日本はそういう切羽詰まった意識がないから、ビジョンなんてものを作らないし、作っても「美しい国」だの「新資本主義」だの抽象的なリーダーの言葉遊びだけで終わっちゃう。
例えば経済安全保障がこれからの最大の課題と考え、今回みたいな米国、台湾とタッグを組んで、独自のサプライチェーン構築でも打ち出せなかったのか。
結局クールジャパン戦略は失敗です。
ファンドが赤字になっちゃったんです。
これなんかもねえ、ビジョン自体が間違ってたんだよ。
日本文化の振興とビジネスは、ウイン・ウインにはならないって。
インバウンド?
それならば、もっと高級ホテルをじゃんじゃん創って、富裕層を取り込む戦略に変えないとダメだ。
いや、そもそも、国のリーダーは誰も国の将来のことなんて考えてない。
それじゃあ、どうしようもないよね。
今日も最後まで読んで頂き、ありがとうございました。
では、また明日お目にかかるのを楽しみにしています。
野呂 一郎
清和大学教授/新潟プロレスアドバイザー
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