ジャネット・イエレン米財務長官の対中発言は重大事の前触れか。
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緊迫する米中関係
The Wall Street Journal電子版2023年4月20日号は、Janet Yellen Says Security Comes Before Economy in U.S.-China Relationship(米財務長官ジャネット・イエレン氏が米中関係は米国のセキュリティが第一)との発言を報じています。
これはアメリカが対中貿易に関して、輸出規制をかけることを意味しています。
主に半導体の輸出を抑制し、先進的な半導体の技術が中国に渡らないように規制をする用意があることを示唆しています。
例の中国のものと思われる観測気球(surveillance balloon)をアメリカが撃ち落とし、中国は例によって知らぬ存ぜぬで、両国の関係は悪化しているのはご存知のとおりです。
少し前にもお話しましたが、米中貿易の総量は、しかし、昨年これまでの記録を破りました。経済関係は順調に行っています。
しかし、ここに来てイエレン財務長官が「ナショナルセキュリティnational security米国の安全保障第一よ」と釘をさしたのは、中国への強い牽制であることは間違いありませんね。
この発言は、彼女がジョン・ホプキンス大学で講演したときのもので、但し書きがあります。
それは「完全に両国の経済関係を分離したら、それは破滅的だ(a full separation of our economies would be disastrous) 」というもので、彼女も中国と米国が経済的には不即不離であることはよくわかっているのです。
彼女の発言で注目したいのは、「健全な競争をするならそれは両国にとって利益がある。しかし、もし競争がフェアなものでなければ、持続可能なものにはならない(Both countries can benefit from healthy competition,” Ms. Yellen said. “But healthy economic competition—where both sides benefit—is only sustainable if that competition is fair)」というくだりです。
米中関係に走る緊張
折しも先日4月17日、アメリカの検察当局がニューヨーク市在住の中国系男性2人を、中国の「秘密の警察出先機関」を運営した疑いで逮捕したとの報道がありました。
中国の警察の出先機関がアメリカで活動していたというのです。反中国の言論活動をする米在住の中国人を本国に強制的に送り返していた模様です。
スペインに本部を置く人権活動団体「セーフガード・ディフェンダーズ」が2022年に発表したレポートによれば、こうした海外派出所はすくなくとも53カ国に100カ所以上あり、そこには日本も含まれているとのことです。
日本は俗にスパイ天国と言われていますが、きちんと海外からのこうした主権侵害行為やスパイ活動を取り締まっているのでしょうか。
国防費を増強する前に、こうしたことをしっかりやるべきではないでしょうか。
それにしても、このタイミングで米財務長官が、こうした発言をしたウラには、順調な経済関係とは裏腹に、にわかに両国の関係が緊張感を帯びてきたことが考えられます。
気球破壊、秘密警察の存在、イエレン発言の一連の流れは、台湾有事がそろそろ現実のものになってきている、そういうサインではないでしょうか。
今日も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
じゃあ、また明日お目にかかりましょう。
野呂 一郎
清和大学教授/新潟プロレスアドバイザー
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