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TikTokが「検索で」グーグルを抜く日

この記事を読んであなたが得られるかもしれない利益:TikTok の検索機能がグーグルのそれよりもずっとすごいという現実。TikTok が検索の概念を変えつつあるという現実。中国のテクノロジーがその先進性で民衆を味方につけ始めた、としたら恐ろしいという話。

TikTok のマーケティングは資本主義を超えた?

TikTokに関しては親会社が中国企業で、ユーザー情報がダダ洩れしていることを批判しているのは、読者の皆様ご承知のとおりです。

 しかし、TikTokのやっていること自体は先進的で、技術のレベルも高く、特に特筆すべきは若者文化に寄り添う力が強いというか、ゼネレーションZ世代にシンパシーを感じさせるのがうまい、ということです。

 特にサーチエンジンのレベルは高く、検索機能はグーグルに匹敵するとの評価もあります。

若者はグーグルの代わりにTikTokを使い始めた、という言葉がまことしやかに語られるほどに、検索というグーグルの十八番に、TikTokが肉薄していることは紛れもない事実なのです。

グーグルのシニア・バイスプレジデント、プラブハカー・ラグハバン氏(Prabhakar Raghavan)は、2022年の7月に行われたあるテクノロジーの会議でこう話しています。

 「我々の研究によれば、若者のほぼ40%がランチのレストランを探すときに、グーグルマップスやグーグルサーチではなくて、TikTokもしくはインスタグラムを使っている」。

TikTok でランチを探す。https://qr.quel.jp/pv.php?b=3F9RidH

ニューヨーク・タイムズWeekly版2022年10月2日号(P5)は、(若者が信頼する検索結果を求めてTikTokに流れているYoung people turn to TikTok for search results they trust )とのタイトルで、TikTokがグーグルの牙城である検索という事業領域に侵攻していることを報じています。

 記事はが、私立高校に行きたくて先生に推薦状を書いてもらいたい15歳の女性の例を取り上げています。

 彼女は直接先生に頼むのではなくて、まずTikTokに向かい「先生が書く推薦状 Teacher letter of recommendation」と打ち込んだのです。

そうしたら二本のビデオが見つかり、一つは先生にどうやって推薦状を頼むかの映像、もう一つは実際の推薦状のテンプレートを映した映像が出てきました。

いずれも学校の先生が作ったものでYouTubeやグーグル検索の結果よりもずっとわかりやすい、というのです。

前掲ニューヨーク・タイムズ

 料理のレシピ、見るべき映画、注目企業、近くのバーで注文すべき最新カクテルに至るまで、若者は検索も今やグーグルではなく、TikTokに向かっているのです。

24歳のメディアコーディネーターの女性はこんなことを言っています。

 「TikTokの検索結果って、グーグルほど偏見がないわ。グーグルは自分で選んだウェブサイトと広告によって”最適化”されているわけでしょ。それは偏っているということよ。私はたまには、”違う意見”を聞きたいの」。
 

前掲ニューヨーク・タイムズ

この違う意見というのが、TikTokの検索結果を著しているのは明白です。

さて、では、この現象は何を意味しているんでしょうか。

1. TikTok が近くグーグルを抜いて検索王になる

現状はTikTokがグーグルに肩を並べるところまでは、いっていません。しかし、肉薄しているのは間違いありません。

 記事は最後に、若者と親世代の検索行動の違いをちょっぴり皮肉を利かせて紹介しています。

親たちはグーグルで検索して、何十ページも出てくる検索結果を読まなくてはならない。

でも子供たちは、TikTok検索で一発で一目瞭然の結果検索を出してきます。

 子供たちは言うのです。「ああぁ、TikTok使えば数秒でズバリのやつが出てくるのに」。

検索の概念も変わりつつあります。

 2.TikTokの方が、投稿者に強いインセンティブを与える力を持っている

TikTokに投稿した方が、より高い報酬をもらえる仕組みになっているのです。おそらくYouTubeよりも。

それだけでなく、若者にとってTikTok のほうが他のメディアよりlovable(親しみを感じる)です。それも若者がTikTok に投稿するおおきなインセンティブです。 

また後日解説しますが、これからのマーケティングは感情移入をさせる製品が必要不可欠です。ようするにTikTok は「エモい」のです。    

3.関連性からランダムへ

記事でもあるように、関連性で行う検索は意外性がないため、これからのより創造性が求められる時代にヒントになりにくい可能性があります。

AIはどうしても人間が検索のキーワードを与えるシステムなので、そうなるのです。

大量の情報から何らかの共通項で絞り込むという、従来の検索自体があまり意味をなさない時代が来ています。

検索の時代はもう終わり、時代のワードは人間の感性で見つけるのが主流になる兆しは、たしかにあります。

それならばグーグル検索よりも、TikTok のほうが面白い、そう言えるのではないでしょうか。

4.中国テクノロジーの先進性

TikTok がByteDanceという中国のIT大手の傘下にあることから、TikTok イコール中国政府と見ていいでしょう。

中国はすごいね、グーグルに伍す検索システムというよりも、ある意味それ以上のシステムをつくっちゃった。

それは、もっとやりやすい、わかりやすい、そして人間の感性に寄り添うような仕組みです。

15秒動画がそうでしたが、今回もグーグル検索の間隙をつくような、簡単でわかりやすい検索のシステムを出してきました。

グーグルがあくまで機械的、無機質な感じなのに対して、TikTok はなにやら人間味があるような気がします。

「えーっつ、中国の人たちって縛られてるから、自由な発想ができないはずでしょ?」。そう僕は今、混乱して叫んでいるのです。

でも、中国はTikTok は世界が驚く先進的なことをやっているんですよ。どうなっちゃってるんだろう。

今日も最後まで読んで頂き、ありがとうございました。

では、また明日お目にかかるのを楽しみにしています。

                        野呂 一郎
           清和大学教授/新潟プロレスアドバイザー


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