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シリコンバレー銀行の教訓:先生と生徒の架空実況。

この記事を読んであなたが得られるかもしれない利益:シリコンバレー銀行崩壊の本当の理由。FRB連邦準備委員会が信じられないという、信じられない件。シリコンバレー問題の本質は”カイジ”。トップ画はhttps://qr.quel.jp/pv.php?b=3BGBdcI

SNSが原因じゃない

以下、帰国子女の女子生徒と先生の架空会話です。

先生:なんでシリコンバレー銀行が潰れちゃったんだと思う?

生徒:それはSNSのせいでしょ。銀行が潰れそう的なことを誰かいって、ツイッターで広まっちゃったんでしょ。

それと、デジタルラン(digital run)ってやつよね。

 デジタルバンクラン https://qr.quel.jp/pv.php?b=3pWH7Ut

日本語でいうと”デジタルマネーの取り付け騒ぎ”よ。

預金は電子マネーで預ける時代だから、クリックすればひきだせるわよね。

聞いたけれど1秒間で100万ドル引き出されて、10時間で預金が空になったって。

先生:実はデジタルランでも、SNSでもないんだ。

生徒:どゆうこと?シリコンバレー銀行の経営が悪いって言いたいわけ?

先生:それもある。しかし本当の原因は、FRB(連邦準備委員会)っていうアメリカの中央銀行が傘下の銀行をうまく指導できてない、ってことなんだ。

生徒:アメリカの中央銀行って、日銀より優秀な人が経営してるのに、なんでなの?

先生:シリコンバレー銀行のCEO(最高経営責任者)のグレッグ・ベッカーさん(Greg Becker)が「金利は上がらないから心配しなくていい」ってFRBに言われたから、って言ってるんだ。

生徒:本当にそうなのかしら。

確かにパンデミック前の10年は低金利で、そのおかげでシリコンバレー銀行はずいぶん儲かったらしいわね。

でも、パンデミック、ロシアの戦争で超インフレになったから、FRBは経済を引き締めにかかるはずよね。

各種経済データってやつを、シリコンバレーの上層部は調べなかったのかしら。

先生:そのとおりなんだ。「金利の上がり下がりは心配しなくていい」とは言っておらず、ベッカーさんがFRBの意図をそう解釈したんだと思う。

人間の欲がシリコンバレー崩壊の真因

先生:一番の問題はそこさ。

ずーっと10年間低金利で美味しいビジネスをしてたから、これが続くって、人間どうしても思っちゃうんだよ。

この1年で超インフレになって、FRBも金利を上げてくるに決まっているし、デジタルマネーの時代だから、”取り付け騒ぎ”のリスクだってわかっていたはずなんだ。

そういう意味では経営のミスだ。

共和党の上院議員のティム・スコット氏はこんなことを言ってるよ。

「シリコンバレー銀行が、経済のリアリティ認識がまったくないのに、ショックを受けた。経済データが全部反対を示してるのに、金利下げに賭けていたとは。ベッカー氏のリーダーシップはひどいものだ」。

The Wall Street Journal2023年5月18日 Silicon Valley Bank's failure is a Federal Reserve success (シリコンバレー銀の失敗はFRBの成功)より

生徒:でも、FRBは銀行に指導をしてないの?

先生:FRBはフォワード・ガイダンス(forward guidance前もっての指導)と言って、今後の景気見通しについてアナウンスをしている。

このフォワード・ガイダンスの内容は、FRBの政策、経済見通し、スピーチ、記者会見での質疑応答などだ。

これをシリコンバレー銀のトップ、ベイカーさんはこう受け取ったんだよ。

シリコンバレー銀行CEOベイカーさんhttps://qr.quel.jp/pv.php?b=3OnUJ5a

「金利の上がり下がりのマネジメントはしなくていい。インフレもバブルが消えるように、なくなる。物価超上昇は一時的な現象だ」。

生徒:そうか、じゃあ、銀行って経済の勉強を絶えずやって、経済や景気を見極めて、予測する能力をつけなきゃダメ、ってことね。

先生:そのとおりだ。銀行だけじゃないけどね。

この問題は、だから、SNSの問題でも経営の問題でもない。危機管理の問題であり、それは常に変化を読むということが基本なんだ。

しかし、経営者にとってポジティブな変化、つまり景気がよくなるということなら受け入れやすいんだ。

でも、今回みたいに景気に急ブレーキがかかるような変化は、なかなか受け入れられないのだ。

それは、都合の悪いことは受け入れられない、という人間の性なのかもしれない。

生徒:欲望で理性がなくなっちゃうのね。

カイジの利根川を思い出したわ。

利根川幸雄 https://qr.quel.jp/pv.php?b=3Wq232k

今日もおつきあい頂き、ありがとうございました。

では、また明日お目にかかりましょう。

野呂 一郎
清和大学教授





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