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「アオーレ長井」と「雑誌Number」の奇妙なシンクロニシティを読み解く

この記事を読んで、プロレスファンのあなたが得られるかもしれない利益
ネタバレになるので、今日はちょっと控えます。

アオーレ長井の深謀遠慮

昨日、新潟プロレス・レフリー・アオーレ長井がプロレスラーの安心、安全を、いや命そのものを守っている実際を紹介した。

ファンサービスも。

しかし、考えたのだ、アオーレ長井は今頃笑っているんじゃないか、と。

「しょせん、お前らの考えていることはその程度だな」と。

どうしてそんなことを言うのか。

「ナンバー」と「アオーレ」のシンクロニシティ

僕は勤務先の大学で、スポーツマネジメントも教えているので、スポーツの総合誌「ナンバーNumber」は毎号必ず読んでいる。

プロレス特集号なども出ているが、時折、プロレスを下に見るような記事も載せる。プロレスをいいように利用するんじゃねぇ、と思いつつも、プロレスに、プロレス経済学にヒントがないか、目を凝らしている。

「ナンバー」プロレス特集号

今週号は、と言っても隔週マガジンだが、駅伝特集だった。

一通り読み終リ、今日もプロレス関係の記事はないのか、と腹ただしい思いで最後のページをめくろうとしたら、「プロレスのロープ」という単語が目に飛び込んできた。

https://www.google.com/url?sa=i&url=https%3A%2F%2Faopeblog.hatenablog.com%2Fentry%2F2019%2F11%2F28%2F203000&psig=AOvVaw30q2LSTD9F8nrUC4Tuin0M&ust=1640270604741000&source=images&cd=vfe&ved=2ahUKEwillo-n0vf0AhXa4GEKHfL-BNEQr4kDegQIARBW

プロレスファンは、プロレス単語には一般人の10倍速く反応すると言われている。(ほんとか?)とにかく僕の中のプロレス・センサーはこの単語を見逃さなかったのだ。

昨日アオーレの記事を書いたあとに、偶然にもこのワードを含むこんな記事に出くわしたんだ。

いや、この記事を紹介する前に、言いたい。

世の中に偶然はない。

シンクロニシティという言葉がある。

同時期に現れた、2つの奇妙な出来事。それは一見偶然に見えるが、偶然ではなく2つの関連性を考えさせるために、「神」が起こした超自然的な必然という意味だ。

シンクロニシティについては、僕の過去記事を読んでくれ。

このロープに関する記事と出くわしたのは、アオーレ長井のあの行動をもっと深く読み解け、という神からの挑戦なのだ。偶然なんかじゃない。

プロレスのロープワークの本当の意味

一部引用させてもらう。

リングは千差万別。ロープだけでも多種にわたる。ボクシングは4本でプロレスは3本。同じプロレスでも団体によって、その強度が変わるらしい。「ロープはワイヤーを縒って(よって)つくるのですが、求められる強度が違うので、ボクシングは6㍉、プロレスは12㍉とワイヤーの太さが大きく変わります。同じプロレスでも、レスラーの体格やファイトスタイルによってワイヤーの太さを変えることがあります。」
多彩なロープワークを実現するために、プロレスでは強靭なロープが採用される。素人が投げられると、骨折することさえある。 

(スポーツまるごとHowマッチ 連載第31回 熊崎敬 雑誌ナンバー2022年1月7日号P101)

アオーレがロープに飛んだ本当の意味


この記事を読んで、アオーレ長井がスパナを持ってリングを駆け巡った、本当の理由がわかったのだ。

アオーレのものと思われるスパナ。

それは単にレスラーの命を守るため、だけではなかった。あの一連の行動は、実はもっと奥が深かったのだ。

読者よ、僕の拙い推理はこうだ

アオーレがロープに飛んだのは、もちろん命綱であるロープの具合を確かめるためだった。しかし、もう一つの目的があった。それは、ロープを適切に調整することによって、3人の選手の動きを最大限に美しく、ダイナミックに見せること、である。

筆者の推理

僕らは何気なくプロレスを見ているが、プロレスの一流と二流を分けるのは、実にロープワークなのだ。

ナンバーの記事を思い出してほしい。

多彩なロープワークを実現するために、プロレスでは強靭なロープが採用される。

Numberより

ロープの調節は実は興行全体の調節である

しかし、レスラーのロープワークをダイナミックに、美しく見せることは、戦略的頭脳がないと、実はできない。

戦略的頭脳とは、まず全体を把握して、部分を考える頭の働きのことだ。

アオーレ長井は、まず全体の試合の流れを把握して、どの試合に誰のどういうファイトぶりが、どういうロープワークを要求しているかを把握していた。

第1試合は若手同士で、橋本が関節技オンリーで吉田を攻め立て、ロープワークはほとんど使われなかった。

第二試合はベテラン谷口の、若手にはできない「口のプロレス」だ。

合いの手を入れたり、相手に罵声を浴びせたり、レフリーにささやいたりのベテランのパフォーマンス・ショーという塩梅だったので、ロープワークは必要なかった。

しかし、第3試合以降は、重量級でロープに大きな負荷をかけるレスラー、ロープワークを駆使し、試合を組み立てる選手がでてくる。

前者はGAINA、関本大介、後者はシマ重野、だ。

アオーレのロープチェックは、彼らのパフォーマンスの美しさと効果を最大にし、観客に見せつけるための、合理性だったのだ。

ロープ越しのシマ重野。ロープがあるだけで、映える。

それも興行全体の意味を考え、興行の後半に活躍すべき3選手を引き立てる合理性を踏まえての、ロープ調整という行動だったのだ。

ナンバーの記事は

「同じプロレスでも、レスラーの体格やファイトスタイルによってワイヤーの太さを変えることがあります」

Number

と言っている。

アオーレは、関本、GAINAそしてシマ重野のファイトスタイルを熟知、3人の最大公約数的なロープの締り具合を調節したのである。

実はスピーディで、ロープワークもうまいGAINA

スパナを持ってリングに登場した、アオーレの表情が、真剣そのものだったのは、ロープの張りの具合で、関本、GAINA、シマ重野のパフォーマンスに決定的な影響を与えるからだ。

ロープの張りかげんで、いい試合になるか、ダメな試合になるかが決まる。

それは、常に至近距離で選手に接しているレフリーならではの観察眼と感性と言えるだろう。

しかし、それよりも、なによりも「興行を成功させなくてはならない、お客さんに満足して帰ってもらわないとならない」との使命感であろう。

アオーレがさばいた18日の試合。

ファンは「今日の試合は良かった、重野のフィニッシュ・レールガンドライバーは今年一番だった」などと話しながら会場をあとにした。皆、満足げだ。

ロープワークは科学であり、芸術でもある

しかし、フィニッシュを堪能する前に、見事な美しい、ロープワークがあったことを忘れてはならない。

ロープワークとは、フィニッシュの前奏曲であり、試合をもり立てる名脇役である。

目立たないが、これがないとファンはプロレスを見た気がしないのだ。

UWFの崩壊は結局、ロープを使わないプロレスの限界だったのかもしれない。

https://www.google.com/url?sa=i&url=https%3A%2F%2Fmyprowre.site%2Farchives%2F223&psig=AOvVaw0a-9XJj-333-iOWZWDApM-&ust=1640313822295000&source=images&cd=vfe&ved=0CBcQr4kDahcKEwjIuMq18_j0AhUAAAAAHQAAAAAQAg

ロープワークは奥深く、実は、ファンの目には見えない。

ロープを掴んでのストンピングは、レスラーの身体を安定させる分、
効く、という。

3本のロープのどの1本に、腰のどの部分をどういう強度で当てれば、
ロープの反動を最高に生かしてワザがより強く美しく見えるか、シマ重野は計算しており、アオーレ長井は、それをわかっている。重野の当日のコンディションも頭に入れてロープに触っている、というのだ。

関係者の証言


しかし、ロープを調整する技術は、もっと目に見えない。試合を裁く経験を積み重ねて、身体で覚えるしかない。

プロフェッショナルの矜持

 プロレス興行の成功は、こうした目に見えない努力に支えられている。

アオーレ長井は、今頃この勝手な推理を読んでこう思っているかも、だ。

「フン、やっとわかったか。でも、ちょっと野呂もわかってるじゃないか」。

いや、やっぱり、こんなことは言わないし、思ってもいないな。
新潟人だもの。えらそーにしないよな。

でも、プロレスのレフリーという仕事を、選手の安全を守り、興行を成功に導く「プロフェッショナル」として誇りに思っている、かもしれない。

今日も最後まで読んでくれてありがとう。
アオーレさん、好き勝手に書いてごめんなさい。

                             野呂 一郎
                            清和大学教授
        新潟プロレスアドバイザー/新潟プロレスマガジン編集長

みなさ~ん、新年1月23日、黒埼市民会館。メインは
シマ重野vsGAINAの無差別チャンピオンシップですよぉー。
ぜひ見に来てくださいっつ!アオーレもでますよ!

https://n-p-w.jp/schedule/%e6%96%b0%e6%bd%9f%e5%b8%82%e9%bb%92%e5%9f%bc%e5%b8%82%e6%b0%91%e4%bc%9a%e9%a4%a8%e5%a4%a7%e4%bc%9a-4/



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