アントニオ猪木追悼3:猪木アリという巨大なストーリー
この記事を読んであなたが得られるかもしれない利益:ストーリー・マーケティングとは何か。ツイッター社の幹部がなぜいま日本スポーツ市場を視察に来たのかの理由。猪木vsアリの経済効果を超えた成功分析。トップ図はhttps://qr.quel.jp/pv.php?b=3M2BWJv
ツイッターがスポーツビジネスを加速
ツイッター社が、スポーツビジネスに本腰を入れはじめました。
先週のある夜、ワールドビジネスサテライトという番組を見ていたら、ツイッター社のスポーツマーケティング担当者が、インタビューに応じていました。
ちょうど日本で行われたNBA(全米プロバスケットボール協会)の試合を視察に来ていた、というのです。
ツイッター社は、スポーツ関連の広告収入が近年倍増したことを受けて、本格的なスポーツ関連ビジネスの強化に乗り出したとのこと。
当然試合などのあとに、ファンからの書き込みが殺到し、それを目当てに企業が広告を載せるというビジネスモデルはすでに確立していますが、担当者の次の言葉が、ツイッター社の新たな企みを暗示しているようです。
ストーリーを拡大するとは
ストーリーをelevateしamplifyするとは、どういうことでしょうか。
ストーリーに価値をつけ高次元のさらに価値あるものにして、それをツイッターで爆発的にリツイートする、というイメージでしょうかね。
抽象的な言い回しながらも、僕は彼の言葉が呑み込めました。
僕はこれってプロレスのビジネスモデルじゃないか、と思ったんですよ。
プロレスは、ただ試合をするだけではありません。
試合を含めて、前後のストーリーこそが、プロレスを唯一無二のビジネスにしているのです。
試合前のストーリーとは、なぜその戦いが始まったのかの理由、です。
試合後のストーリーとは、試合の反響、影響です。
この3つのストーリーの組み合わせこそ、プロレスビジネスの真骨頂です。
このストーリーを強化、拡大、拡散させることで、プロレスは独自の価値を作り続け、今日まで繁栄を続けてきたのです。
ストーリー・マーケティングの最高峰としての、猪木vsアリ
この3つのストーリーが信じられない飛翔をし、最大の価値、マネーを生んだのが猪木vsアリの格闘技世界一決定戦でした。
「東洋人で俺に挑戦してくるヤツはいないのか」と、のアリの軽口は、猪木にとってプロレスを馬鹿にしているとしか聞こえませんでした。
「プロレスが舐められてたまるか」。本気で挑戦のアクションを起こしたのが、猪木vsアリのプレリュードでした。
試合は、「世紀の大凡戦」と当初は言われながら、この試合は今や「総合格闘技の原点」と呼ばれるまでに神格化されました。
この試合の反響はいまだ止まず、アントニオ猪木の名声を高め続けています。死後もそしておそらく永遠に。
猪木vsアリこそ、スポーツにおいてストーリーをelevateしamplifyし、付加価値を創造した、最大の成功例ではないでしょうか。
永遠に続く猪木vsアリのストーリー。それがプロレス界に、新日本プロレスもたらし続けている経済的なメリットは計り知れません。
いや、それはマネーに変えられない価値というべきでしょう。
スポーツにおけるストーリーを、スポーツビジネスの核にすると豪語するツイッター社ですが、「猪木vsアリ」を是非参考にしていただきたいものです。
今日も最後まで読んで頂き、ありがとうございました。
では、また明日お目にかかるのを楽しみにしています。
野呂 一郎
清和大学教授/新潟プロレスアドバイザー
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