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3・11の教訓。予期して備えよ

予期して備えよ

明後日は3.11。あれから干支が一廻りしましたが、日本人は政府はこの災害を忘れてしまったのでしょうか。

ウクライナ戦争でおきたエネルギー危機をいいことに、政府は原発路線に再び舵を切ったみたいです。

週刊誌の見出しに「原発にミサイルに被弾したら、日本人は全員死亡」とありました。そうなるででしょうね。

さて、今日は12年前の教訓を忘れないように、賢人たちの考えを皆様と共有したいと思います。
 
これはニューヨークタイムズweekly2023年2月26日号の記事で、ジェアド・ダイヤモンドさん(Jared Diamond)というエッセイストが書いた記事です。

彼の主張を一言で言えば、「災害が起きそうなあらゆる可能性を考えろ(Imagine everything that could go wrong )」、です。

もっと端的に言えば「予期して備えよanticipate and prepare 」ということです。

彼の重要な示唆をまとめてみました。
 

人類はサーズ(SARS重症急性呼吸器症候群)とマーズ(MERS中東呼吸器症候群)の時、同じような災害に見舞われることを予期し、備えるべきだったのだ。

そうすれば、何千万人が死なずにすんだのだ。
 
人間はしょせん災害を予知できない、でも備えることはできる。

川が氾濫したら、水かさの少ないときに堤防をこさえればいい。

山火事が起きたら、これから作る家の建築材は、耐火材を使い、家の周りの藪を刈り、消防署を建築するための資金集めをすべきなのだ。
 
フィンランドを見習え

フィンランドは第二次世界大戦で、輸入を止められて大変な思いをした。

その教訓として、フィンランドは政府の委員会を月に一回開いて、災害対策を話し合うことにしたのだ。

委員会は、毎回、災害が起こりそうな可能性をしらみつぶしにした。

たとえば化学品、燃料、医薬品が足りなくなったらどうするか、電力がなくなったらどうするか、などのシュミレーションをして、対策を練ってきたのだ。
 
何年か前にその委員会は、呼吸器疾患というパンデミックのシナリオがあるかもしれないと気づいた。

そして当時安く手に入ったマスクを大量に購買し、備蓄するよう政府に進言したのだ。

結果、フィンランドは他国に先駆けて、コロナに備えることができたのだ。そしてマスクはそのほかの災害にも、もちろん生きた。
 
災害はモチベーションにもなる

トルコ政府は今回のことで、不幸なことだが、これを繰り返してはならないという、モチベーションを持ったことは間違いない。

他国もこれを他山の石とすべきだ。

地震に備えることは、ほかのあらゆる災害に備えることにつながる。

前掲ニューヨーク・タイムズ ジェアド・ダイヤモンドさん

健全なパラノイア怖がりになれ


「パラノイア」という心理学の言葉があります。これは常に何か悪いことが起きるんじゃないかと過剰な恐怖を抱いている人のことです。

このニューヨーク・タイムズの記事の著者、ダイヤモンドさんは、

我々は建設的なパラノイア(constructive paranoia)にならないとダメだ」

と主張します。

https://qr.quel.jp/pv.php?b=3l3GXIQ

建設的なパラノイアとは、しょっちゅうなにか恐ろしいことが起こるんじゃないかと心配しているけれども、怠りなくそれに備えている人のことです。(パラノイアは、日本では妄想症と訳されているが、原義は恐怖に駆られる人のこと)

でも、今の日本人は「パラノイア」どころか、「喉元過ぎれば熱さを忘れる」ではないでしょうか。

https://qr.quel.jp/pv.php?b=3JqrOdL

それどころか、怖がるべきも怖がりません。

例えば台湾有事って、現実じゃないですか。政治家も含めて誰も真剣に恐れようとしない。

第二次大戦集結時に、ロシアが日ソ不可侵条約を反故にして南下して攻めてきた。また北海道を侵略するおそれはないのか。

北朝鮮が昨年だけで30発も日本に向けてミサイルを発射した。Jアラートなんて噴飯もの。民間人が負傷したらどうするのか。

内閣は今年中に「内閣感染症危機管理統括庁」を発足させるといいます。

でも違うだろ、コロナだけじゃないだろ。総合的な危機管理庁を作るべきだろ。

ガーシーもトルコに行って途中で返ってくるんじゃなくて、フィンランドを視察しろよ。

パラノイア的マーケティングとは

災害は自然災害だけではありません。企業に起こる災害はクライシス(crisis)と呼ばれます。

そうです、スシローやくら寿司で起こっている、不衛生極まるいたずらの数々です。

でも、スシローやくら寿司は、レーンにお寿司を流さない、ガリの箱を置かない、果てはAIでいたずらの監視まで始めました。

これらの企業は、まさしく建設的なパラノイアです。

僕はこれからのマーケティングのあり方は一言で言って「ディフェンシブ」だと思っています。defensive、守りのマーケティングです。

攻めで売るよりも、災害クライシスに備えること、のほうが重要です。

建設的なパラノイアであるためには、ある種の性悪説を持つことです。間違っても、お客様は神様などと思ってはいけません。

カスハラ(カスタマー・ハラスメント 不当な苦情で企業を攻撃する客)も、今回の事件の犯人たちと同じなのです。

社会の潮流はwokeです、つまり男女平等、LGBTQ,サステナブル、反ハラスメントであり、企業はいやおうなしにこれを守ることが、ディフェンシブの根本です。

それが正しいとか、正しくないとかはまた別問題で、世界の潮流を理解することが、ディフェンシブ・マーケティングの第一歩なのです。

今日も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

また明日お目にかかりましょう。

野呂 一郎
清和大学教授/新潟プロレスアドバイザー
 
 

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