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エンロン事件はまた起こる

この記事を読んで読んであなたが得るかもしれない利益:エンロン事件にみる会計事務所と企業の関係性の闇。資本主義というまやかし。数字のトリックを見破ることができない検察、司法当局。金がすべてという資本主義の原理。

資本主義の闇

エンロン事件とは20年前におこった、世界最大のエネルギー企業エンロンが、会計事務所と組んで不正な会計処理を行ったことで起訴された問題です。

https://www.google.com/url?sa=i&url=https%3A%2F%2Fblog.goo.ne.jp%2Fmomonngamomo%2Fe%2F6c778e2c32f686abe22c0772f15b1046&psig=AOvVaw0QujkgfIh_TSUdYe89Amip&ust=1639843946410000&source=images&cd=vfe&ved=2ahUKEwiPpcnwnOv0AhXaMt4KHewZA-kQr4kDegUIARC2AQ

BusinessWeek2021年12月6日号の特集は、「エンロン事件はまた起こるよ、なぜならば、世の中金で動いているからだ」、という内容でした。かいつまんで記事の内容をお話ししましょう。

アンダーセンという会計会社はエンロンの監査を担当していたのですが、要するに数字をごまかしていたんですね、それをSEC(Security Exchange Commission)に見咎められて、有罪になり、そしてそれがもとで破綻したのです。

https://www.google.com/url?sa=i&url=http%3A%2F%2Fyamaguchi-law-office.way-nifty.com%2Fweblog%2F2015%2F08%2Fpost-4aaa.html&psig=AOvVaw065931ZkJHbqmA9MtdRNZF&ust=1639844183446000&source=images&cd=vfe&ved=2ahUKEwiW5czhnev0AhXQSfUHHYBPBugQr4kDegQIARBe

しかし、2005年に最高裁判決でこれがひっくり返ったんです。それ以来当局はいま、巨大会計事務所を追及するのに及び腰だというんです。

ある関係者は「奴らは大きすぎるからつぶせないだろう、って顔をしている」とぼやきます。

それは、会計事務所は何千何万のクライアントを抱え、有罪にでもしたら、ドミノ式にそれだけの企業が一蓮托生として罰せられ社会が混乱するから結局、会計事務所の悪を告発できない、という意味です。

そして今回有罪判決が覆ったので、また会計事務所と企業の関係が復活してしまいました。

それはカネが介在する、非常に危ない、いびつな会計事務所と企業の関係が復活した、ということです。

資本主義ではカネに誰も抵抗できない

エンロンは会計事務所アンダーセンに監査だけじゃなく、コンサルティングも込みの価格で週100万ドル(約1億2000万円)も払っていたんですよ。

120万円じゃないんですよ、1億2千万円ですよ。

エンロンが起訴されたのは、この巨額の顧問料の見返りに、決算数字の書き換えを指南していたからです。

BusinessWeekの記事は「アンダーセンはエンロンからレバレッジをもらっていた」と書いてあります。

レバレッジとは他者に影響を与えて、自分がほしいものをもらうチカラのことです。

つまりアンダーセンという会計事務所は、エンロンから「ワイロ」をもらっていたということです。

エンロンの教訓は会計事務所とクライアント企業が、お金を通じてなあなあ、ズブズブの関係に陥りやすいことへの問題提起でした。

しかし、その教訓がなくなってしまった、そうBusinessWeekは嘆くのです。

司直が会計監査を追及できない理由

なぜ、最高裁で判断が覆ったのでしょうか。

僕が想像するに会計のトリック、いや数字操作、いや会計の記録というものはいろいろ言い逃れができる、高度にテクニカルなものなので、司法がなかなか反証できない、というがあるのではないでしょうか。

アンダーセンはSECの捜査の前に、document retention policy (文書保存に関する内規)を変更し、関連書類をすべてシュレッダーにかけ(BusinessWeekの報道)といわれています。

だから、反証はさらに難しくなったと予想されます。

先に述べた、大きすぎて潰せない(too big to fail)というのもあったと思います。

BusinessWeekは、「エンロン事件はまた起こる」、と警告を鳴らしていますが、それはそれは資本主義に対する警鐘です。

資本主義とは拝金主義です。

カネがすべての取引を決める社会のことです。

https://www.google.com/url?sa=i&url=http%3A%2F%2Fkaijimatome.seesaa.net%2Farticle%2F442184370.html&psig=AOvVaw1DI4mdQNiONp6PZXQsyuHy&ust=1639844390425000&source=images&cd=vfe&ved=2ahUKEwjs4qXEnuv0AhUbE4gKHXv-CfUQr4kDegUIARDnAQ

あなたの企業が週に1億円を監査法人に支払っているとしましょう。

その監査法人は、あなたの会社から「数字を改ざんしてくれないか」と頼まれたら、どうするでしょう。

「しょうがないですね」というのが資本主義なのです。

カネがすべての世の中、それを資本主義というのです。

北京オリンピックを外交的ボイコットすると息巻く、
米国。

でも中国を専横主義国家、とバカにできるのでしょうか。

存在感を強める会計監査法人

ビッグ4といわれている会計事務所デロイト(Delittte)、アーンスト&ヤング(Earnst &Young)、KPMG、そしてPwCは大企業の監査法人として、いまだ健在です。

そして彼らのビジネスをますます隆盛にしているのが、アンダーセンもやっていた、監査プラスコンサルティングという二重においしいビジネスモデルを確立していることです。

彼らは監査を通じて、企業のオペレーションの細部までに通じるようになり、必然的にコンサルティングも請け負うことになるのです。

コンサルティングの成否は、経営技術よりもどれだけ実情を知っているかが重要だからです。

会計事務所は、コロナでますますオンラインを使って、海外クライアントの取引を増やしています。

タックスヘイブン(税金逃れ)を使っている疑いもありますが、これも税金Gメン、司直が捜査困難です。

エンロンの教訓は遠く、またぞろ会計事務所が復活です。

今日も最後まで読んでくれてありがとうございました。
また明日。

                              野呂一郎
                清和大学教授/新潟プロレスアドバイザー



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