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食中毒は、企業文化を変えないとまた起きる。

この記事を読んであなたが得られるかもしれない利益:今回の食中毒事件に学ぶ、企業のリスクマネジメント。究極の解決は企業文化にあり。よい企業文化とはよき価値観のこと。AIに頼りすぎると、価値観の共有が疎かになる論。

全プロセスを見える化せよ

今回の弁当食中毒事件で気になるのは、原因解明が遅れていることです。

これは食材準備から、お客様の口に入るまでのプロセスが、可視化見える化されていないことが原因です。

あらゆる製造プロセスで、監視カメラを回していれば、原因はすぐにわかったはずです。

品質責任者が、各製造プロセスにいて、目視と同時に室温、湿度等を記録し、このプロセスに問題なければ次のプロセスに移行する、まっとうな企業であれば、やっているはずです。

その上で各プロセスを中央衛生監視ルームでチェック、何か不適合があれば、製造をストップするようなしくみが必要です。

原因究明にこれだけ時間をかかっているのは、こうした一貫した衛生管理ができてないことを示しています。

企業文化の重要性

しかし、水も漏らさぬリスク管理体制を敷いたところで、事故は防げません。

なぜならば、システム(自動化、機械化、AI化)には、必ず不具合が発生するからです。

問題はそのイレギュラーを発見し、バックアップできる人材がいるかどうか、です。

その鍵を握るのが、企業文化です。

企業文化とは、社員一人ひとりが理解して、身体に染み付いている企業の価値観のことです。

よき企業行動は、はっきりしています。

食品企業であれば、食の安心安全を何よりも大事にする、という信念と行動です。

その他、図解するとこうなります。

野呂 組織論講義より

事故を起こさない企業の条件

食中毒はなぜ起こったのでしょう。

僕はこう考えるのです。

あの企業は創業100数十年で、今まで成功してきたのは、立派な企業文化があったからだと思うんですよ。

しかし、昨今のコロナ禍、それに続く戦争禍による原材料、エネルギーの高騰、人材不足で、企業文化が維持できなくなったのです。

えっ、そんなんじゃねえよ、って?

「そもそも、安心安全を最優先にするという企業文化がなかったからなんだよ」とおっしゃるのですか?

人手不足で、コロナでへたるような価値観は、企業文化じゃないとおっしゃるのですね。

おっしゃるとおり、かもしれません。

企業文化は、仰せのとおり、しっかり、企業という土壌に根付いてないといけないのです。

企業文化とは価値観の共有のこと

その3つの根本は以下です。

野呂大学組織論講義より

リスクマネジメントの問題に立ち返ると、絶対に食中毒がおこらない企業は、「食の安心安全」という価値観が、何をさておいても重要だという認識が、以上のように、全社員によってしっかり共有されている組織にほかなりません。

そういう組織は、誰かが、異常を察知し、事故が起こらないようにします。

共有された正しい価値観よき企業文化がなければ、どんなに食品事故を防ぐ手立てをとっても、事故は防げないでしょう。

何でも機械やコンピューター、AIに任せる時代ですが、その油断こそが命取りなのです。

いくら最新のテクノロジーを導入しても、従業員の意識が変わらない限り、企業の業績はちっとも上がらないし、事故もなくならないのです。

野呂 一郎
清和大学教授



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