ニューヨーク・タイムズが今年を予言?AIと人間の危うい未来。
この記事を読んで、あなたが得られるかも知れない利益:最近、ニューヨーク・タイムズが無断で記事を学習させたとしてAIプロバイダーを訴えた件。AIの危険性について、同紙は、紙面でもAI総本山とも言うべき、オープンAIをメッタ斬りしています。その背後にあるものは何か、探りたいと思います。
オープンAIをバカにするニューヨーク・タイムズ
皆様、あけましておめでとうございます。
本年もなにとぞよろしくお願いいたします。
さて、あけまして、だから、オープン、オープンといえば「オープンAI」。
そんなことで強引にオープンAIのお話をしましょう。
CEOのサム・アルトマン氏が解任されたと思ったら、また元のサヤに戻り、大山鳴動して鼠一匹といったお騒がせに終わりました。
日本も、欧米メディアの報道も、何か隔靴掻痒というか、はれものに触るような具合でした。
しかし、その中でニューヨーク・タイムズだけは、オープンAIの騒動を一刀両断にしているんです。
紙面のタイトルからして、ひどいんです。
もっとひどいのは、冒頭のオープンAIを宇宙人に例えたこのくだりです。
皆さんはトワイライトゾーンという映画をご覧になったことがありますか。
宇宙人登場のシーンがあって、地球代表とコミュニケーションを交わすんですが、地球人は宇宙人たちが「人類への奉仕To Serve Man」を約束してくれたと信じてたんです。
でもフタを開けたら、宇宙人達のよこした文書は「料理本Cook Book」で、全人類の肉を料理して食べてしまう計画が書いてあった、というのです。
AIは人類の敵なのか
ニューヨーク・タイムズが、この念入りな例え話で表現したかったことは、オープンAIのボス、アルトマンさんが「嘘つき宇宙人」「期待させといて、平気で裏切る卑劣漢」「実は人類の敵」だということです(笑)。
その後も、記事はアルトマンさんと、彼がトップのオープンAI、そしてAIそのものに対して、ネガティブのオンパレードです。
なぜだかイーロン・マスクを持ち上げるニューヨーク・タイムズ
あと、こんな記述が気になるんですよ。
・イーロン・マスクは、ならず者のAIを取り締まることに熱心だった
・人間の価値観を守り、AIの悪影響を抑えるのがマスク氏のスタンス、でもそれでオープンAIの現職と仲違いした
・オープンAIの幹部から、マスク氏は「間抜け」と言われていた
こんなことも書いています。
AIの父と呼ばれるグーグルのジェオフリー・ヒントン氏(Geoffrey Hinton)は、名物番組シックスティ・ミニッツでこんな発言をしています。
今年はAI大混乱の年になる
さて、皆様もニューヨーク・タイムズが何を言いたいのか、わかってきたのではないでしょうか。
結局我々は、AIの周辺で何が起きているかなんて、技術的なことはわからないのです。
そして、企業周辺の人間模様も、わかっていません。
しかし、ニューヨーク・タイムズは様々な取材によって、いろんなことを知っています。
それは、
AIという魔界は人間のエゴとその葛藤と欲望が渦巻くところで、アルトマン解任騒動は、そのバカげた子供じみた闘争が表にでただけで、でも世間はただ呆れているだけしかできない、ということなのです。
そして、
生成AIの正体ってのは、どこまで行っても「人類のこれまでの叡智をコピーした」だけの存在であって、世界をまともな方向には連れて行かない、ってことなのです。
いやいや、今回は僕のAI論じゃなく、ニューヨーク・タイムズのそれですからね。
何となく、僕もニューヨーク・タイムズの言いたいことがわかってきましたよ。
これって、ニューヨーク・タイムズの今年の予言であり、人類への警告じゃないのかなあ。
最後また「ムー」になっちゃったか。
野呂 一郎
清和大学教授
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