学校行かないのは、いま、正しい選択なのか?
この記事を読んで高校生のキミが得られるかも知れない利益:コロナで学校行かなくていいって思っちゃったアメリカの子どもたち。でも、それはもっと前スマホが出てくる頃に。に始まってた。でも、教育は限界があるって。
アメリカの教育が危機だ
アブセンティズム(absenteeism 理由なき欠勤、欠席)という言葉が、アメリカの教育界のトレンドワードになっているよ。
要するに学校の無断欠席が、どんどん増えているんだ。
アブセンティズムは定義があり、慢性的に学校を休むことであり、1年のスクールイヤーで180日出校日があるんだけれど、その10%以上、もしくは3.5週間を理由なく欠席している状態を指すんだ。
アメリカでは2021年~22年のスクールイヤーを見てみると、28%の子どもたちがアブセンティズムにあたるという。
これはパンデミック直前のスクールイヤーに比べて、15%もアップしているんだ。
キミは、「いいじゃんそんなの。コロナで学校休んだら、学校なんて意味ないじゃん、ってアメリカの子供達は思ったんじゃないの。アメリカ人は正直だから」というかもしれないね。
でも、それはあたっているんだ。
オンライン授業は失敗
BusinessWeek2023年10月9日号は、社説でSchool need to get chronically absent students back to class(学校は慢性的無断欠席の生徒を早くクラスに戻せ)という主張を展開して、こんなことを言っているよ。
これは、ある意味、リモート授業が失敗だったことを示しているのさ。
リアルな授業をやって、生徒はリアルに出席してはじめて、学校の本来の働きができる、BusinessWeekはそう言いたいのだ。
BusinessWeekは数字を出して、学校に行かない生徒は学力が劣ることを示している。
ホワイトハウス直属のCouncil of Economic Advisersによれば、2022年の全米教育進歩アセスメント(National Assessment of Educational Progress )という全国規模の試験で、小学4年生の読解力が前年度比27%、算数は45%下がったという。
学校に行かない生徒が増えたせいだ、というのだ。
学校に来ない生徒は、特に都会の公立学校で顕著だ。
ニューヨークのアブセンティズムは40%を超えるし、ロスアンゼルス、シカゴに至っては77%だ。
豊かな田舎の地方も、無断不登校が急激に増えている。
BusinessWeekは、慢性的な不登校がハイスクールでの落第の原因であるとし、生涯もらえる賃金の額が減り、犯罪も増えると数字で訴える。
BusinessWeekってさ、企業の味方であり、経済至上主義なんだよ。
不登校が、経済にダメージ与えるから、一刻も早く生徒を学校に戻せ、というわけだ。
スマホが学校を遠ざけた?
しかし、BusinessWeekは学校におけるアブセンティズムは、コロナの前から始まっていたと主張する。
学校に行かない生徒が増えたのは、スマホの所有率が爆発したことと、SNSの台頭とリンクしているというのだ。
大学の教師として、これはわかる気がするな。
正直スマホにはお手上げだもの。
僕は密かに、面白い講義をやってると思っているよ。
でも、スマホにはかなうわけないじゃないか。
だってスマホは、キミが主役の舞台なんだぜ。
アプリとやらで、キミのスキな情報がリアルタイムで入ってくる。
彼女からラインだの、インスタの更新などがひっきりなしに届く。
SNSをやっていれば、知らない人から「スキ」がどんどん届く。
スマホはもはや生活の一部、ではなくて、キミの肉体の一部だ。
そんな必需品に、たかが一教師のささやかな自負がかなうわけないだろ?
結論
学校行く行かないと、リアルな授業がいいか、オンライン授業がいいか、という論争の根っこは同じだ。
BusinessWeekはキミ達に無理矢理でも学校に行かせないと、バカになって国が滅びると主張する。
しかし、キミ達Z世代にとっては、とっくに学校の無意味さなんかはわかっていて、スマホの時代に学校はいらないと思っている。
時代は、オプションの時代になった。
オプションつまりなんでも、キミが主体的に選べる時代ってことだ。
でも、いわゆるお勉強に関して、学校に代わるコンテンツは、ないよ。
学校に行かない気持ちはわかるし、今の教育に不満なのはわかる、そしてスマホがキミのその気持に火をつけちまった。
でもねえ、キミ達も妥協することが必要なんじゃないか。
つまらないけれども、スマホと比べないでくれよ。
YouTube大学のほうが面白いかも知れない、でも、気の合う先生に質問できるなら、高校の、大学の授業も捨てたもんじゃないよ。
無理なんだって、スマホやSNSと比べることは。
あんなのがでてきて、こっちは迷惑してんだから(笑)
僕らしくないことを言うようだけれど、アンシャンレジーム(旧体制)というオプションを選ぶことは、今の時代先進的なことと思うけどね。
野呂 一郎
清和大学教授
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