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新時代の板前は”戦略的にしゃべれる”板前
この記事を読んであなたが得られるかもしれない利益:カスタマー・タッチポイントの正しい使い方。現代における新しい”板前”の条件。従業員教育のむずかしさ、強要かインセンティブか。
カスタマー・タッチポイントは諸刃の刃
昨日、新しいマーケティングでは、カスタマー・タッチポイントが最も重要で、そこでお客と情報のやり取りをすることで、会社の命運が決まる、と申しあげました。
大人の皆さんも、自分から話しかけよ、そうすれば、製品やサービスや会社に関する有益な情報が得られる、と言いました。
そしてお客から話しかけられたらそれは千載一遇のチャンス、お客さんが喜ぶ製品やサービスに関しての情報を提供しろ、と言いました。
もう一つあります。
カスタマータッチポイントで情報のやり取り、コミュニケーションを行うことで、お客さんとの関係を構築、つまりお客さんと仲良くなる、ファンになってもらう可能性が生まれることです。
ファンとクレーマーを区別せよ
しかし、これを正しくやる必要があります。
僕と八百屋のおじさんが、情報のやり取りをしたところで、毎回おじさんの果物&野菜の収穫論を10分も聞かされたら、嫌になってしまいますよね。
八百屋のおじさんにしても、あれが美味しい、これがまずいという僕の感想も、的外れだったら、ありがたい情報とは言えないわけです。
また、日本の場合は、えてして喋ってくるお客さんは、クレーマーの要素を持っていることが多いのです。
基本的には、カスタマータッチポイントは、双方にとっての有益な情報のやり取りと位置づけていいと思います。
しかし、お客さんはコントロールできないから仕方がないけれど、ビジネス側はコミュニケーション、表現を適切なものに、経営学で言うと「戦略的」にしなくてはなりません。
カスタマー・タッチポイントはお客との真剣勝負の場
具体的には、1.伝えるべき情報と2.そのやり方を戦略的にすることです。
1.お客に与える情報は何か
基本的に、お客さんのほしい情報を与えますが、臨機応変に対応しましょう。
レシピを教えろなどという客もいますが、月額10万以上お金を落とすお客さんでなければ、教えるべきではないでしょう。
店や企業の秘密などもダメです。
2.戦略的な伝え方とは
まず笑顔で、相手に丁寧に向き合うことです。時間がなければ笑顔だけで忙しそうにすれば、それ以上お客はかまってきません。情報提供は簡潔にします。
さりげなく、関連商品の情報も出しましょう。
大事なことは、お客の本質を見抜き、それにあった情報を提供して、ファンにしてしまうことです。
例えば、お寿司屋の客が、「このお通し、化調つかってないね、すっきりして後味でいいや」と言ったとします。
あなたが板前ならば、「ははぁ、この客は無添加主義で、身体にいいものしか食べないんだな」と気づきます。
その客が
「キンメダイの握りがうまかった」
![](https://assets.st-note.com/img/1644392736591-2o1rS2tFPh.png)
とフィードバックをしてきました。その時あなたはこう返すでしょう。
「お客さん、ウチのキンメは水銀が市販品の1%なんです。美味しいばかりか、安心して召し上がっていただけますよ」。
客の本質を読んで、こうした形で情報提供ができれば、間違いなくファンを作ることができるでしょう。
この板前は、魚の水銀汚染という社会問題を常日頃、勉強し、今の世の中は自然食、中でも化学添加物を嫌がる人たちが一定以上いる、という知識を持っているわけです。
大事なことは、企業で働くあらゆる人材が、常に勉強していることです。
新時代の板前は”しゃべる板前”
お客に、「これうまいね」、とせっかくタッチポイントをスタートしてもらっているのに、「ありがとうございます」しか言えない板前が多すぎます。
魚の目利きと包丁さばきが上手ければいい、そういう板前像はもう過去のものです。
![](https://assets.st-note.com/img/1644392959526-7zqSy37PlJ.png)
「違うっ!」。
僕はいつもそう思うんです。
ありがとう、っていい言葉じゃない、言葉を日頃言わないから、反射的にありがとうしか出てこないんです。
だから、高校生にも、皆さんにも「しゃべれ」というんですよ。
板前だってね、いまは、「口数が少ない頑固職人」じゃダメなんですよ。
今は料理専門学校でやってないのかな、「板前コミュニケーション入門」ってコース。
相手を判断する、そして、自分のファンにするコミュニケーション能力を持たないとダメな時代なんです。
それには、日々の勉強が必要なんですよ。
でもねぇ、これがむずかしいんですよ。
経営者はこれを強要できないからです。
もちろん、研修なんかでその重要性を叩き込むことはできますよ。
でもそもそも、お客とのコミュニケーションが嫌いな人もいますし、苦手な人もいます。
そして「お前らいつも新聞や雑誌を読んだり、映画も見ろよ」と言ったところで、個人のライフスタイルにまで立ち入ることはできません。
どうするか?
インセンティブを与えることしかないかなあ。
つまり、お客を喜ばせたら、1万円社長賞を出す、みたいな。
さて、タッチポイントで、正しい情報を、正しいやり方でお客に伝え、ファンにしろ、と申し上げました。
現代は、インターネットであらゆる情報がとれるから、お前のいう情報提供なんて的はずれだよ、そういう読者の方もおられるでしょう。
しかし、僕に言わせれば、本当にほしい情報がない時代なのです。
ちょっと長くなりますので、また明日お話しますね。
今日も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
では、また明日会いましょう。
野呂 一郎
清和大学教授/新潟プロレスアドバイザー
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