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トヨタと日産にみる「戦略とは世間とライバルをだますこと」。

この記事を読んであなたが得られるかもしれない利益:ビジネスにも空気のようなものがあり、かしこい企業はそれを読むという事実。”戦略的沈黙”とは何か。円安で実は企業はダメージを受けてない、受けたふりをしているだけだ、という一面の事実。

円安で大変だけれど

1ドルが130円を超え、輸入品の値上がりが、日本の消費者を直撃しています。

https://www.youtube.com/watch?v=jkrUur_ViRc

しかし、円安は輸出産業にとっては、プラスです。

いままで1ドル100円で売ってたものが、130円で売れるんですから、それだけで利益は3割増しですよね。

今日僕が指摘したいのは、円安で日本の自動車メーカーが頑張っている、ということじゃないんです。

これは邪推であり、戦略論でもあるんですが、僕が言いたいのは

「企業は、儲かっているときはなるべく儲かってないようなていを取るべきだ、それは立派な、いや有効な戦略である、ということです。

筆者

ありていに言ってしまえば、戦略とは世間と競争相手をだますこと、ということです。

大変なふりをすることの大事さ

The Wall Street Journalオンライン2022年5月12日号は、「日産とトヨタはGMやフォードより低いハードルを掲げているNissan and Toyota Set the Bar Lower Than GM and Ford」との見出しで、日米自動車メーカーの動向をレポートしています。

しかし、サブタイトルにあるJapanese car makers could perform better than U.S. peers amid high gas prices and affordability concerns(日本の車メーカーはガソリンや原材料の欠乏のさなか、アメリカの競争相手よりも上手くやっている)がとても意味深です。

https://response.jp/article/2019/03/08/319896.html

僕はこれは非常にうまい皮肉と言うか、意地悪な表現だとも感じてるんです。

こう読めるんですよ、2つの見出しはこう読める。

「日本のメーカーの儲かってないふりに騙されるな、奴らはガソリンが、原材料が上がっても、屁でもねえんだ。」

筆者の解釈


実はトヨタも日産も、アメリカメディアに向けては「大変だ、大変だ」と言っているんです。

たとえば、日産は次年度の営業利益の予測を2500億円としています。

しかし、ファクトセット(FactSet)という分析会社の予測は、3160億円です。もっと儲かると見ているわけです。

そして、両者とも「ガソリン代の値上げ、原材料のもろもろの値上げで逆風が吹いて大変だ」と言っています。

でも考えてみれば、それはアメリカの車メーカーも同じです。

日米メーカーの正反対の行動

しかし、同じ逆風でも、日米メーカーの企業行動は違います。

フォードやGMははっきり「この痛みは値上げで相殺する」と言っています。

しかし、日本のメーカーは、値上げについては何も話しません。

値上げなんかするつもりはないんです。

何故ならば逆風どころか、神風が吹いているからです。

日本のカーメーカーに吹く神風

なぜ、日本のメーカーはアグレッシブな値上げをしないですむのか、3つの理由カミカゼがあります。

https://gameranbu.jp/kancolle/d0694e9eb52f5494c8c5

カミカゼ1.円安

アメリカ連邦準備委員会(米中央銀行)は、日本(日銀)よりもずっと早く利上げに踏み切った結果、円が売られドルが買われ円安になりました。輸出企業にとっては特需のようなものです。

前傾紙

カミカゼ2.低燃費小型車とSUVの人気。

ここ20年の車の売れ行きをレビューしてみましょう。
2004年から2006年にかけて、消費者は燃費のいいトヨタのプリウスみたいな車に飛びつきました。

しかし、アメリカ人の大型車好きは、健在でした。

ここ数年ガソリンと電気両方で動くハイブリッド車、小型のSUV(Sports Utility Vehicleオフロード性能などを高めた乗用車)などの、日本お家芸とも言える車種が人気です。

特に今のガソリン事情では、燃費のいい日本製の小型車がウケています。

サプライチェーンが正常になれば、日本車ブームが来るかもです。

前傾紙

カミカゼ3.パーツを日本から取り寄せる有利

日本のメーカーは、アメリカの工場でクルマを完成させるわけですが、パーツは日本から取り寄せているのです。

当然そこで、利益を確保しながらコストを節約できるわけです。

前傾紙

記事は、最後に皮肉めいた調子でこう結びます。

「日本のメーカーはやけに低いハードルを設定している。(来年度利益予想がつつましすぎるということ)。

でもそんなの本気にしちゃダメだ。

日本の言うようにそんなにうまくいかないかもしれない。

その時はアメリカのメーカーのほうがもっとうまくいかないに決まってる」

前傾紙より。筆者の解釈含む

戦略的サイレンスの重要さ

さて、いかがだったでしょうか。

申し上げたとおり、今日のポイントは

「戦略的沈黙」です。

僕が思うには、アメリカにも「空気」みたいなものが存在するんですよ。
企業はそれを読んで、行動する必要があります。

筆者の生活実感

ガソリン代が激しく上がって、部品が足りずにクルマの供給が滞っている。

クルマこそ、アメリカのアイデンティティとも呼べるなかで、クルマ産業の危機。

そんな中で大きな声では言えない有利さを利用して、外様の日本メーカーだけが漁夫の利を得る。

現実はこんなところですが、日本のメーカーは

「だからこそ、こんな時に、はしゃいではいけない」

と心得ているんですね。

これこそ日本的Silence is gold (沈黙は金)、なのです。

https://usable-idioms.com/2344

今日も最後まで読んで頂き、ありがとうございました。

では、また明日お目にかかるのを楽しみにしています。
 
                             野呂 一郎
               清和大学教授/新潟プロレスアドバイザー



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