石油王になりたい(2020-2-22)

働きたくない、これは多くの人が持つ願いであり、普遍的な欲望の一つだと思う。しかし、この欲望は大っぴらに主張していると、真面目な大人たちからは眉をひそめられる類いのものである。

僕は中学生の頃から働きたくないと思っていた。中学生の時の夢は高等遊民だし、高校生の頃の夢は石油王だった。大学生になった今でさえ働きたくないという思いは全く変わっていない。

人間はなぜ働くのか。多くの場合、生きるためである。生きるにはパンが必要で、パンを買うには金銭が必要で、金銭を得るには働かなければならない。無論、生きるために働く必要のない程経済的に余裕のある人々もいる。しかし、そういった人は割合としてはわずかであり、多くの人はパンを得るために働かざるを得ない。

僕の考えでは、極めて余裕のあるわずかな人々を除いた大多数の人にとっての労働のインセンティブは賃金である。賃金があるので働く、賃金がなければ働かない。当たり前のことのようにも思える。

しかし、社会の良識ある大人に言わせれば、労働のインセンティブは賃金だけではないというのである。曰く、”やりがい”や”成長”、”自己実現”などが労働のインセンティブであり、明け透けに賃金の話をするのは品が無く、時には悪とさえされるらしい。

これを見て労働者の賃金を節約するためのプロパガンダだと感じる人は恐らく性格が悪い。人格の優れた人は社会に対してそのような穿った見方をしない。我々はもっと素直な心を持つべきである。


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