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エンジンオイルとベースオイルの種類

エンジンオイルを選ぶ際の基準として、粘度と共に重要なのがベースオイルである。エンジンオイルには大きく分けて3つの種類があり、それぞれベースオイルの組合せによって分けれられている。

ベースオイルとは、グループⅠ~Ⅴに分けられており、原油を常圧で蒸留したものをろ過し、不純物を取り除いたもの(グループⅠ~Ⅱ)を鉱物油。蒸留した原油を一度分解し、ベースオイルとして最適な形に精製しなおしたもの(グループⅣ~Ⅴ)を化学合成油と呼んでいる。高度水素分解してから生成しなおしたグループⅢについては、以前は鉱物油扱いであったが、現在では化学合成油と呼んでいる。

このベースオイルと添加剤の組合せによって、エンジンオイルは
1.100%化学合成油(フルシンセティック)
2.鉱物油(ミネラル)
3.部分合成油(セミシンセティック)
の3つに分類され、販売されている。

1.化学合成油
 グループⅢ~Ⅴのベースオイルを使用して、添加剤を加えたものがフルシンセティックオイルになる。PAOやエステル系はベースオイルが高価なため、価格も高騰してしまうが、エンジンオイルとして最適な形で生成されたベースオイルのため、耐酸化性能や潤滑性能に優れる。また温度による粘度変化が少なく、薄い油膜でも高い緩衝、潤滑性能を保てる。反面、鉱物油と比べると熱が抜けにくいことや、ベースオイルの粘度が弱いため、増粘剤としての添加剤を多く含むこと、また添加剤の性能によって様々なオイルが生成されるため、性能に差があるということが挙げられる。また、PAOなどのベースオイルは場合によってはオイルシール等との相性が悪く、稀にオイル漏れの原因となってしまうこともるようです。

2.鉱物油
 グループⅠの鉱物油をベースオイルに使用して作られたオイルになる。ベースオイルが安価なため、価格も手ごろである。蒸留後、大きな不純物は取り除かれているが、ベースオイルが天然素材であり、分子の大きさが不均等なため、空気を含みやすく、酸化しやすいといったことや、温度による粘度変化が大きいといったことがあります。ただ、利点もあり、粒子が大きいことも影響して、摩耗によりクリアランスが広くなってしまった旧車などには、相性がいいことや、ベースオイルの粘度が高いため、添加剤も少なく、オイルシールなど、エンジンに悪影響を与えるような成分が含まれないという部分もあります。

3.部分合成油
 化学合成油であるPAOやエステルを鉱物油の中にブレンドしたオイル。化学合成油、鉱物油の双方の利点を適度に保ちながら、価格を抑えることができている。化学合成油との境がわかりにくく、化学合成油と書かれていることも多い。

「ロータリーには鉱物油」という言葉を聞いたことがありますが、マツダのロータリー専用オイル「シンレネシス」はPAOベースの化学合成油であり、必ずそうとも限らないようです。色々な説があり、どれが正しいのかはよくわかりませんが、次回はその内容について少し触れたいと思います。