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君に似合うのは土曜日だよ。

月と書く

紙幣が新しくなった7月。2024年の。
自分の明日がどうなるのかまったくわからない7月。2024年だ。
先月末で、勤めていた会社を辞めて独立。静かな日常。
静かすぎる。
電話もあまり鳴らない。
一日のほとんどを、パソコンを眺めることで流れてゆく。
気まぐれに本を持ち、紙に書かれた活字を追う。
すぐれた本はほんとうに素晴らしいと思う。
物語もいいけれど僕は短歌や俳句も好きだ。
この短い詩型に凝縮された”物語”を、想像とも妄想ともつかない思考の中で想うとき、果てしない世界が拡がってゆくのがわかる。
それは自分の手に負えない力でぐんぐん拡がってゆく。物理的にまさに、リアルに拡がってゆく。
短い詩型は大体一行だけれども、そのシンプルさに油断してはいけないといつも感じる。
この一行に込められた命のほとばしりみたいなものに思いを馳せるとき、僕はしばしば途方に暮れてしまうのだった。
そしてまた思う。
一冊の素晴らしい歌集や句集に出会ったときの僥倖と、その日があたかも土曜日であるかのような安堵が心の中を満たす感触を。
そう、この俳人を知ったのも土曜日だった。
土曜のお昼前にやっているラジオ番組でゲストに出ていた彼女を知って図書館から借りてきた本だった。


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