追悼 高橋幸宏~サディスティック・ミカ・バンド
最近は、有名人のご逝去のニュースが特に多いような気がします。
つい先日、ジェフ・ベック氏が亡くなったばかりなのに、今度は高橋幸宏さん。
本来ならYMOのアルバムをもって追悼としたい所ですが、YMOのアルバムは持っていないので、サディスティック・ミカ・バンドのアルバムでもって追悼の気持ちをここに表したいと思います。
『サディスティック・ミカ・バンド』1973年
メンバー:加藤和彦・ミカ・高橋幸宏・小原礼・高中正義
ミカバンドといえば、どうしてもこのアルバムの印象が一番強いですね。
一番よく聴いたアルバムでもあります。
なぜなら、1曲目「ダンスはスンダ」とラスト2曲のブギ・メドレーは、何を隠そう大学1年の時に組んでいたバンド(私はギター担当)で、メドレー形式で演奏させていただきました。この時は、ラストに「ダンスは~」をもってきました。
特に「ダンスは~」は、スピード感に苦労いたしました。
そしてこのアルバム、どうしても加藤さんの色が濃くなってしまうのは仕方がない所ではありますが、この時代にこんなロック、今聴いても十分に楽しめるロックをやっていたことには驚嘆します。
ちなみにこのアルバムが発売された1973年の日本では次のような曲が流行っていました。
年間ランキング
1位 宮史郎とぴんからトリオ:「女のみち」
2位 宮史郎とぴんからトリオ:「女のねがい」
3位 GARO:「学生街の喫茶店」
4位 ちあきなおみ:「喝采」
5位 沢田研二:「危険なふたり」
6位 かぐや姫:「神田川」
7位 チューリップ:「心の旅」
8位 天地真理:「恋する夏の日」
ぴんからトリオに天地真理ですよ。
それでは簡単に曲紹介を。
「ダンスはスンダ」・・・典型的なロックンロール・ナンバーですね。このスピード感が、だじゃれのくだらなさと相殺することによって良い効果を生み出しています。
ちょっと飛ばして6曲目の「空の果てに腰かけて」。ゲスト参加の今井裕氏のキーボードソロは、時代を感じさせません。沢山のフュージョン系の洋楽を聴いてきた人じゃないと弾けないメロディーだと思います。
それを日本のロック・バンドに取り入れるという発想が素晴らしいと思います。
8曲目9曲目で聴かれるようなギターリフは、当時の日本人は誰もやってなかったでしょう。洋楽のロックにも引けを取らないものだと思われます。
そしてやってきました「ピクニック・ブギ」「サイクリング・ブギ」のブギウギメドレーです。これは正しいブギウギなのかは、私はわかりませんが、ここで初めてミカさんの登場となります。
高中氏もここでは大きくフューチャーされています。
『黒船』(1974年)
日本人ロック史上最高傑作ともいわれているアルバムです。
1曲目と2曲目は、それまで日本では無かったような雰囲気の曲です。
「タイムマシンにお願い」は今でも人気のある曲ですね。
黒船(嘉永六年六月二日)は、フュージョン・ロックな曲で、9/8拍子という変態的リズムが特徴的です。
ちょっと意味が分かりかねますが、さすがの幸宏さんもリズム取るのに苦労したようです。
「黒船(嘉永六年六月四日)」は、いまだに高中さんのコンサートでは人気がある曲で、アンコールなどでよく演奏されています。かくいう私もこの曲はコピーしました。
そしてこのアルバムで一番の目玉ではないでしょうか「どんたく」です。
日本のお祭りをロックサウンドで歌うという所が斬新さを感じます。
普通の日本人の感覚なら、演歌にもっていかれるところです。
「塀までひとっとび」は、幸宏さんのドラムが大活躍しています。のちに、「SUKI SUKI SUKI (塀までひとっとび)」というタイトルで、シングルカットされました。
「颱風歌」は、ストレートなロックナンバーですね。
「さようなら」は、加藤和彦氏のたった一人の世界観を表しているようで、とても寂しい印象を受けます。
その後、1989年に再結成された際に発表された『天晴』は、作品によって各個人の個性が強く出すぎているような気がしますし、なぜ桐島かれんなのかもよくわからない、中途半端な作品だと感じます。
木村カエラを迎えて再々結成した2006年の『ナルキッソス』は、前作に反してまとまりがあり、アルバム全体に漂うグルーブ感が感じられて、私はとても好きなアルバムです。このアルバムはゴールドディスクにも認定されているようです。
加藤さんも幸宏さんもいなくなったサディスティック・ミカ・バンド。もう2度と再結成されることは無いんだと思うととても寂しいですね。
きっと今頃は天国でセッションしているのでしょう。
最後までお読みくださった方々に感謝申し上げますとともに、幸宏さんの冥福を心よりお祈りいたします。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?