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最好映画。221 「マッドマックス 怒りのデス・ロード」2015年。

2015年。コミコンで発表された折りにも、あの写真が本当に撮影されたものか、どうせ合成バリバリの今のマッドマックスでしょ、くらいにしか思ってなかったんです。劇場に見に行ってぶっ飛ばされました。開巻して2分、インターセプターが横転する絵を見るまでは。なんてこった!ほんとにやってるよ!この人たち!!って爆上がりです(⌒▽⌒)あれを合成でできるわけがない。今の目で見ても狂ってるとしか思えない絵の連続です。「マッドマックス2」が「北斗の拳」のビジュアル的祖先という事実を幾度となく話してきた身としては、ついに!ついに!その証明ができた瞬間です。これです、このポストアポカリプス世界に君臨する「マッドマックス」の実伝説。お話は征服者イモータン・ジョーの世界から解き放たれようとしている女戦士たちの物語。マックス・ロカタンスキーが、逃亡の果てに出会う新しい追撃者は、容赦なくマックスを捕らえ「A級輸血袋」として、ウォーボーイズの倉庫に設えます。新しいガソリンを得るために旅立つフュリオサの部隊が道から逸れた時、マッドマックスの新しい物語が始まります。マックスは添え物なんです笑。前作から32年を経て、主役が添え物っていうだけでも痛快なのに、よりパワーアップされた世界観、説明のほとんどない、戦士たちの世界。ウォーボーイズとウォータンクって言葉すら、数回しか出てこない不親切な映画なのに、爆上がり以外の何者でもないカタルシスが連続します。セリフもほとんどなく、ビジュアルと小道具と音楽だけで持っていかれる2時間。最初に観た時は、ものすごく早回しに見せられた気がして、もったいない!もっと堪能したい!3時間あっても観るよ!って思っていたんです。何度か観ているうちに、誤魔化すための技じゃなくて、少しでも早く、少しでも多く情報を詰め込むためのテクニックだったんだとわかってきます。今年出版された「マッドマックス 怒りのデス・ロード 口述記録集」を読めば、132日にわたる撮影という戦いの中で、全てのチームが戦っていたのかがわかります。撮影チームがいかにたくさんの素材を得るために撮影監督自らもカメラを担いでいたとか、ウォーボーイズを構成するスタントチームがイモータン・ジョーを崇めるワークショップを行っていたとか、女性チームのために特別なワークショップが開かれていたとか、カスタムメイドの小道具を製作するために世界中から鉄のアーティストが呼ばれたとか、ポールの振り子から攻撃するウォーボーイズをCGにしないためにスタントチームの棟梁、ガイ・ノリスが半年試行錯誤したとか、ワーナー・ブラザースが政治戦略で最初と最後のシーンを撮影中止にしたり撮り直させたとか、助監督がいい写真のために勝手に撮影部隊を動かしたとか、3500カットの絵コンテありきで台本が存在しなかったとか、現代の奇跡としか言いようのない映画作りだったことがわかって痛快です。監督のジョージ・ミラーは御年70歳(今年78歳)にして、この壮大なプロジェクトを成し遂げ、2024年には同じ世界の新作を出そうというんだから、歳は関係ないんだなってほんとに思います。「マッドマックス 怒りのデス・ロード 口述記録集」のおかげで2回観なおしました笑。今からでも遅くないです。2024年の「フュリオサ」前には追いついてくださいね!


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