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最好映画。 057 「乱」 1985年。

映画って、時間が経ったり観た本数が増えたり、自分が歳を取ったりすると観え方が変わってしまうことがあります。これがまさにそれ。1985年と言えば、中学生で「なんだこの仰々しい長い時代劇は・・」と辟易として全く良い印象がなかったんですが、20歳過ぎに「用心棒」にハマって、過去に遡り「姿三四郎」まで行って戻って、再見したら、「こんなにスゴい映画ってあるのか・・」になってました。この映画のスゴさはその積み重ねの頂点にある、という所に尽きると思います。ほぼアップのない画面構成(多分、テレビでは誰だかわからない)、豪華絢爛と言うしかない衣装、敵味方を一目で分からせた上で合戦のどちらが有利でどちらがうまいのかを即座にわからせるカット繋ぎ、荘厳なセットに、奇跡としか言いようのないロケーション。どこかで聞いたことのある話( 「リア王」と「三本の矢」)を色々紡ぎながらも、オリジナル足り得ているのは、黒澤明翁だからとしか思えません。こんな日本映画があるんだから、自分は違うことやんなきゃなwと社会人なりたての頃は身勝手に思っていました。昨日再見して、やはりそのスゴさを改めて実感した次第。 実際には成績も災いしてか評価が高いのは外国ばかりと言う感じですが、達観した映画。20年ほど前、憧れの黒澤フィルムスタジオをL字で借りて撮影した仕事は一人で盛り上がってました。外国のフィルムクルーに帽子やTシャツを買ってゆくとホントに喜んでもらえます。豪州のディレクターに言われた「アンタは原語で「乱」が観られて本当に幸せモンだよ」って言葉、今でも思い出します。 黒澤明コーナーに絶対にあります。 太郎が合戦を始めるまでかなりしんどいですが、観て頂きたい映画です。


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