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LUUPに乗って見えてきたラストワンマイルが拡がる都市の未来

今回の話題は、超小型モビリティについてです。マイカーを持っていない人間で、今のところ車を買う予定が無い筆者としては、自動車ではない手軽なモビリティシェアサービスについて関心がありました。

そこで今回、最近話題の電動キックボードシェアサービスのLUUPに乗ってみました。新宿区・渋谷区等で実証実験が始まったということで、そのレポートになります。

実証実験についての詳細はこちらのマイクロモビリティ推進協議会のリリースをどうぞ。

上記のリリースから引用させていただく図になります。今回の実証実験の電動キックボードシェアサービスは、速度や走行場所等を制限する形で特別に認可された上で実施されるもののようです。

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提供エリアとポート数について

Luupの実証実験の実施エリアは、東京都渋谷区、新宿区、品川区、世田谷区、港区、目黒区、大阪府大阪市、と記載があります。

じゃあ、一体どれくらいのポートがあるのかというと・・・渋谷・新宿・目黒・港区では・・・

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この赤いマークが、電動キックボードが設置されているポートで、緑は電動アシスト付き自転車が設置されているポートです。かなり多いですね。

ターミナルや山手線の駅付近だけではなく、そこから電車や地下鉄で2,3駅の周辺にも多く設置されています。

レポートの前に、特徴をいくつかまとめました。

特徴①:好きなポートで借りて、好きなポートで返すことができる。

これはとても重要で、移動の自由がとても広がります。ポート数の多さが加わることで、周遊も増加するものと思います。

特徴②:一つのアプリで自転車と電動キックボードの二つのサービスが利用できる。

まずは電動キックボードまでAポートからBポートまで行って、そこのポートで自転車に乗り換えて目的地を巡る、という利用も可能です。電動キックボードでは侵入できないが、自転車は侵入できるエリアもあったりするので、二つの異なるモビリティをシームレスに1つのアプリで利用できるサービスはいいなと思います。

特徴③:当たり前なのですが、疲れにくい。

アクセルボタンを押すと、電気の力で加速します。アシストではなく、完全に電動で前に進みます。

特徴④:利用、返却、支払は全てアプリで実施。

今時当たり前かもしれませんが、Luupには店舗や店員はいません。ポートには、車両と宣伝用ののぼりがあるくらいです。アプリを進めていけば、使い方は分かりますので、スマホで調べることになれた若い世代には抵抗感はないのではないでしょうか。(アプリでの案内はとても丁寧に感じました。いざというときのコールセンターもあります。)

今回の試乗ルート

乗車日は、6/12(土)の午後になります。
今回3回のルートを試乗しました。
①新宿 → 渋谷          :電動キックボード利用
②渋谷 → 参宮橋付近       :電動アシスト自転車利用
③参宮橋付近 → 新宿センタービル :電動キックボード利用

地図にすると①②③はこんな感じです。

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「自転車より時間かかってるのでは」、というご指摘あるかもしれませんが、初めてということもあり、①は慎重に安全なルートを探しながら進みましたし、③は車両の少ない西新宿エリアの同じところをぐるぐる回ったり、通行制限ルートを徒歩でトボトボ歩いたりしていました。

ポートの表示について

地図の赤いマークをクリックすると、該当のポートの詳細が表示されます。
利用可能台数、充電具合、周囲の写真が表示されますので、借りるかどうかや、ポート探索時の参考にすることができます。

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Luupのポートは、細い路地に面した住宅地のマンションに設置されていることも多く、地図は拡大して探すことをお勧めします。ポートによっては見つけにくいところもあります。

車両の紹介

外観はこんな感じ。折りたたむ機能はなさそうでした。
ナンバープレート付きです。

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利用中は、バッテリー充電度速度が表示されます。スマホホルダーにスマホを付けて、アプリを起動しながら走行する形です。

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アプリに地図が表示され、目的地、ポート、現在地が分かるようになってます。走行中は安全のためスマホを見てはいけませんので、停車時に位置をチェックします。音声でのナビ等に対応してくれたら、いいのになと思いました。

ミラーは、右側だけあります。
立ちこぎしていると、ミラーが目線よりかなり下の方にあったため、後方確認のためには全く使えなかったです。座ると位置や角度は固定されているようでした。実証実験のために取ってつけたような感じはしました。

右ハンドルのところに、「Push&Go」と書いたアクセルボタンがあります。ここを押すと加速します。

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前方には、ライト充電バッテリーが付いていました。ライトは常時点灯させるタイプなのでしょうか。スイッチのようなものは見当たりませんでした。Luupへの給電は、この黒い充電バッテリーで行われているようです。Luupは、EVカーシェアみたいな、充電ステーションは併設されてません。利用者が給電させることはありません。サービス提供者側が、サービス利用が少ない夜間などで、都度充電・交換していると思われます。(大変そう・・・)

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左ハンドル手前に、ウインカーがあります。
左右にスイッチすることで、ウインカーが光ります。ウインカーを消すのも手動で真ん中に戻す必要あり。自動車のようにはいきません。忘れることもありました。

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ウインカーはこんな感じです。動画です。
ハンドルと後方部分が光ります。


スマホケースの下部にクラクションがあります。
自動車並みの音量がでます。ウインカーの場所に近いので、2,3回誤操作で鳴らしてしまいました。

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右ハンドルの付けねにQRコードが貼ってます。アプリを立ち上げて、QRコードを読み込むか、記載の5桁のIDを入力すると、鍵が開錠されて利用できるようになります。

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利用開始前にすること

乗車前に以下のことを事前にする必要があります。

1.クレジットカードの登録
支払いはクレジットカードのみになりますので必須です。

2.免許証のアップロード
こちらも必須になります。今回、免許証のアップロードをせずにポートまで行ったのですが、現地でアップロードしてすぐに利用ができました。カーシェアの時の審査に比べて早くてびっくりしたのですが、ありがたかったです。

3.確認テストの受講
初回利用開始前に、10問ほどの〇×二択式の試験を受けます。電動キックボードの交通ルールについてです。

当日の持ち物

1.免許証
普通自動車、二輪自動車の免許が必要です。原付自転車の免許はダメみたいです。

2.スマホ
アプリで開錠や返却をするので必須。充電には気を付けましょう。

3.ヘルメット
本実証実験において、ヘルメットの着用は任意なのですが、推奨とのこと。安全のために自転車用のヘルメットを着用して乗車しました。ヘルメットは目立つので注意喚起にもいいと思います。

4.リュック
荷物かごはありません。両手がふさがれるような装備はNGです。ハンドルにカバンや買い物袋をかけるのも危ないのでダメだと思います。

乗車の感想や気づいた点(よかったところ)

1.気持ちいい
時速は15km以下しか速度がでないので、自転車を思いっきりこぐよりも遅いのですが、電動の加速感や、こがずに走行ってのは気持ちいいです。

2.疲れにくい
終始立っているので疲れがゼロかというと嘘ですが、自転車や徒歩に比べて断然疲れないです。結構急な坂道でもゆっくりになりますが登ることが可能です。

3.ラストワンマイルが広がる
時速15kmは、徒歩の約3~4倍のスピードです。かかる時間も短縮され、移動の疲れも軽減されるので、確実に移動範囲は広がります。今まで駅周辺の徒歩10分までしか行っていなかったような人たちが、Luupを使うことで、駅から離れた不便なエリアにも足を運ぶことも十分に考えられると感じました。

4.運転操作は簡単
乗ってみればわかりますが、操作は簡単です。車体も安定していて、走行時ふらつくこともありませんでした。ただ、停車時は車両から降りないとふらつきます。

5.アプリでの顧客体験について
これは別の機会に触れたいと思いますが、アプリの体験が良いと感じました。このLuupというサービス、シェアサイクル等とも共通しそうなオペレーションの課題を何とか軽減するために、利用者に負担やお願いを強いている場面があるのですが、アプリをいじってるとそんなに面倒に感じないのが良くできていると感ました。

例えば、ポートの返却時、ポートの緑枠線内に車両を収めたところを写真撮影をしてアップロードする必要があります。これは、ポート内の車両の配置が乱雑にならないように、設置先のマンションオーナーや土地所有者のクレームにもならないようにするための施策と思われますが、私は利用者として迷うことなくスムーズにできました。

あと、充電が少ない車両を利用しようとすると、警告が事前に出て、他の車両を推奨されます。こういうところも工夫を感じました。充電切れは、結果的にサポートの負荷(コールセンター対応や回収の手配)に乗ってきますし。

このサービス、顧客体験の向上、オペレーションの低減、コスト抑制の3つをうまく達成する仕掛けが実装されている感じがしました。

悪かったところ、課題と感じたところ

1.車道で走るにはスピードが足らない。
自転車よりも最高速度はでません。自転車専用レーンが無い車道は走るのに度胸がいります。

2.歩道は走れない。
現状電動キックボードは歩道は走れません。自転車はスイスイ走ってます。交通量の多い車道が気楽に走れないので、歩道を走りたくなるシーンが多々ありました。

3.充電が少ない車両が多い。
渋谷エリアの車両は、充電が少ない車両だらけでした。
今回、②で自転車を利用している理由は、渋谷近くに充電された車両が無かったからです。急な需要にメンテナンスが追い付いていないのかな、と感じました。メンテナンス中とアプリ上で書かれた車両も結構ありました。

4.ポートが見つけにくい。
見晴らしの良いビル下などに設置されていることは少なく、多くがマンションの隅っこにポートが設置されています。細い路地に面しているところもあり、地図を見てもなかなか見つからなかったり、道を間違えることもしばしば。

5.アクセルボタンを押す指が痛くなる
自動車ほど、加速が維持されません。早く減速していくので、都度アクセルボタンを指で押す必要があります。面倒なので押しっぱなしにするのですが、そうすると指が段々痛くなってきます。もう少しソフトにしてほしいところ。

6.安全性に対する意識の問題
操作が簡単で自転車以下の最高速度のため、車両という意識が薄れてくる危険があるなという印象です。今後、意識の低い利用者が、ルールを無視して交通事故を起こすことが増えそうだな、と感じました。

7.路面の悪いところは振動は結構来る
衝撃吸収装置的なものが車両にあるのかわかりませんが、デコボコ道には弱いです。結構振動が体に伝わります。



最後に

課題はあるものの、既存の公共交通機関では補えない移動の拡張を実現してくれるモビリティだと感じましたし、久しぶりに移動自体が楽しいと思えました。

最近、テレワークの影響で、すっかり東京都内に行くことがなくなりましたが、目的が無くても移動自体が楽しい、あるいは移動の結果、何か新しい出会いや目的が生まれる、ということがこのサービスを通じて生まれることに期待したいと思います。

長くなってしまいましたが、最後まで読んでいただきありがとうございます。またLuupについては記事にしようと思いますので、よろしくお願いいたします。

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