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2024.8.8CROWN POP LAST LIVE「僕らのうた」

CROWN POP LAST LIVE「僕らのうた」が終わった。
すべてが終わり周囲の人が出口へと歩みを進めるのを眺めながら、手すりにもたれかかりつつ胸に去来する思いを眺めてみれば、それは 悔しさ ではなかっただろうかと思う。

セットリスト
1.Change the world!
2.airight!
3.青春bicycle
MC
4.真っ白片思い
5.僕らの証
6.手のひらに青空
7.CROWN POPスペシャルメドレー
VTR
8.Snowy*Shiny*day
9.Cheerful Butterfly
10.Real × LIVE
11.To Do
MC
12.POPPER TIME
13.キミリプホリック
14.君色ロード
(アンコール)
ec1.君にThank You!!
ec2.応援SONG
MC
ec3.僕らの夢
ec4.夏キラリ☆

悔しさ
別にライブの出来映えに悔しさを覚えたわけじゃない。ライブは最高だった。最後の「夏キラリ☆」を終え、紗幕が降り、メンバーから最後のメッセージがそこに映し出された後も拍手が鳴り止まず、会場の照明がつくころには拍手が「アンコール」の声に。

それは決して行儀のよい行為ではないのだろう。けれど退場を促すアナウンスが何度流れても「アンコール」の声は鳴り止まない。会場スタッフがステージ上の片付けを始めても、まだ「アンコール」の声は続く。最後に一瞬でも感謝を、拍手をメンバーに届けたい。何分続いたのだろう。
結局、退出を強く求める会場スタッフに押され、メンバーが姿を現すことなくその声は止んだけれど、きっと想いは届いたのだろうと、そう思いたい。

そして、悔しさは、別にWアンコールに応えてもらえなかったから、でもない。

繰り返しになるがライブは最高だった。
「Change the world!」から始まり、前半を一気に駆け抜けた疾走感は爽快だった。それぞれの人柄があふれる自己紹介MCはいつもの通り、かわいくさわやかだった。
「真っ白片思い」の切ないかわいらしさ、「僕らの証」のやさしい力強さ、「手のひらに青空」の心豊かな情感は、ファンに寄り添い続けたCROWN POPらしく親近感あふれる展開だった。

スペシャルメドレーでは、この日のセットリストに組み込まれなかった楽曲群27曲をかなり変則的につないでみせた。
無理のある曲のつなぎ、本来担当ではないパート、唐突感のある歌の導入など、これまでその曲を歌ってきたパフォーマンスとはかなり違う部分があったとは思うけれど、このメドレーを完璧に美しく、楽しく、かわいく披露してくれた。いったい今日のためにどれだけのレッスン・リハーサルを重ねてきたのだろうか。

CROWN POPの5人はいつも舞台裏での努力を語ることを良しとはしてこなかった。まるで、できて当然と言わんばかりにステージ上で美しいパフォーマンスを披露してみせる。けれど、自分たちのほぼすべての楽曲を最後に表舞台に出してやりたい、ファンに届けたいという愛情を実現するために作られたこのメドレーを完璧に披露するには、かなりの努力があっただろうことは想像に難くない。
もちろんこの曲がメドレーに入ってしまったのかという残念感はファン個々にあるだろうと思う。特に「LIFE」なんかは自分も含め、そう感じた人は多かっただろう(個人的には「光るラムネ」もフルで見たかったですね。「スケジュール帳やめたの」も。でも「スケジュール帳」はあいたんのソロがしっかりテレ朝チャンネルを録画したものにも残せたのでうれしい)。
けれど、そんな好みのあれこれを超越し、CROWN POPが披露してくれた27曲14分09秒のスペシャルメドレーは、心のこもった最高のものだった。

メドレーで歌われた楽曲群はこちら(歌唱順)

メドレー以降の展開も素晴らしかった。
黒衣装に身を包んだ「かっこいいブロック」(by みぃあ)は、その言葉のとおり、ひたすらかっこよかった。「Real×LIVE」から「To Do」の流れは、「かっこいい」をも内包してみせる#クラポかわいい の真骨頂だったと言っても過言ではないはずだ。

本編最後のブロックでも、客席とともに笑い、5人全員が会場内のすべてに目を配り、笑みを届け、Zepp Shinjuku全体を一つにまとめあげた。一人ひとりに心を届けるCROWN POPらしいパフォーマンスだった。
「君色ロード」にはメンバー一人ひとりからメッセージめいた言葉も入り、その情感はさらに高まる。CROWN POPの5人が心をこめて綴った詞(ことば)が、やわらかなベールをまとって我々の心に届く。そのステージが最高じゃないわけがない。

アンコールはセンキューライブで必ず最後に歌われてきた「君にThank You!!」から。曲の最後では客席側に背を向け、ペンライトを振るパフォーマンス。それは決してその見た目のとおり「背を向けている」のではなく、我々と同じ方向を見て、「ありがとう」という同じ思いを胸に抱き、これからもずっと一緒にいようという5人からのメッセージではなかったか。

「応援SONG」で人生讃歌を届けてくれた後、この日限りの真っ白な衣装に身を包んだメンバーと観客の記念撮影があり、そしてメンバー一人ひとりからポッパーへ宛てた手紙が朗読される。

りなてぃーが口にする一言目から泣かずにいられようはずがない。どれだけ我慢しようと思っても、ぼろぼろぼろぼろ涙があふれてくる。いぶいぶの手紙も、さほるんの手紙も、あいたんの手紙も、みぃあの手紙も。
時間をかけて、ファンのことを思いながらていねいにしたためてくれたのであろう言の葉たちが、一つひとつやさしさの風となってこちらへ届く。

なんと美しい5人なのだろう。

あらためてそう思わせられるメッセージ。お礼を言わなければならないのはいつだってこちらなのに、クラポの5人はどんなときもファンを思い、目線を合わせ、歩みを合わせ、そして隣を歩かせてもらっている我々に「ありがとう」と語りかけてくる。
CROWN POPのおかげでどれほど幸せな時間を過ごすことができたか。などれだけ繰り返したって、伝え足りることはない。
こちらこそ本当に「ありがとう」なのに。

手紙のあたたかさをさらに増幅するように、最後の最後に届けられた新曲「僕らの夢」が初披露される。

「僕らの夢」と書いて「僕らのうた」。

言うまでもなく「僕らの証」を受けて作られた楽曲で、作詞・作曲・編曲は同じ面々であることからもそれは明らかだ。

「僕ら」
「CROWN POPとポッパー」

CROWN POPのメンバー5人の想いが取り入れられたという世界は、これからも「僕ら」でありつづけると夢を歌う。
「グループが解散してもずっとつながっているよ」なんていうのは、ありきたりで陳腐な絵空事だ。一種の社交辞令に過ぎない。そう考えることだってできるかもしれない。

しかしCROWN POPの場合は違う。彼女たちがこれまで積み重ね、伝え続けてきてくれた想い。そのやさしさ、あたたかさを我々は知っている。知識としてではなく、感覚・感情として言葉を超えて理解しているからこそ、これからも「僕ら」でありつづけることを、わずかたりとも疑うことなく、すべて信じることができる。それがCROWN POPと我々の絆であり、「僕らの証」である。

最後の最後はしんみりと終わりたくなというメンバーの思いもあったのだろう。会場一体となって全力で盛り上がる「夏キラリ☆」
ポストCROWN POP時代に向けて、メンバーが、ポッパーが「扉 開ける」ことを祝福するかのように、りなてぃーの、いぶいぶの、さほるんの、あいたんの、みぃあの笑顔が弾ける。
CROWN POPと一緒に歩めたことは、これからもずっと誇りだし、喜びだし、そして希望でもある。グループはなくなりこそすれ、ともに歩んだ思い出や記憶、想いはいつまでだって胸に残る。今日のライブ「僕らのうた」は、そんな思いを新たにしてくれた、それほど素晴らしいライブだった。

そして、悔しさ である。
冒頭に記した、悔しさ。

それはCROWN POPを失う悔しさに他ならない。

アンコール中の手紙でみぃあちゃんが涙ながらに話した

ポッパーさんにも「ここがあなたの居場所だよ」って話したのに、自分の力が足りなくて、みんなの居場所を守れなかったこと、すごく悔しいです。

という言葉。ポッパーの誰ひとり、納得する者はいないだろう。
みぃあの力不足などであろうはずがない。もちろん他の4人の、CROWN POPの力不足なんかでもない。

CROWN POPを運営していく上で何があったのかは我々は知らない。
昨年11月から所属レーベル主催のイベントがなくなり、担当者はいっさい姿を見せなくなり、クラポ関連だけではなくレーベル所属の他グループも軒並み活動休止、解散していること、今年に入りレーベルからの情報発信が(他グループを含め)一切なくなったことは事実として知っている。

それが今回の解散と関係があるのか、ないのかはわからない。我々に正式に伝えられたのは、3月6日に出された解散リリースの

今後のグループ活動についてメンバーとスタッフで幾度も話し合いを重ねた結果、運営として現状の様々な状況を踏まえ、解散する決断を致しました。

という文章だけだ。
「現状の様々な状況を踏まえ、解散する決断を致しました。」

正直、何もわからない。これで納得しろと言われるのは厳しい。

もちろん自分も社会人として30年ほどの時間を過ごしているので、関係者の思いを離れてビジネスがどうにもならなくなることがあるのは知っている。それは継続の意志があるないの話でもなく、また経営やマネジメントの巧拙ばかりでもなく、時としてどうにも避けようのないアクシデントが重なって、望まぬ決断を下さねばならないことがあることはよく知っている。

しかし、だ。

CROWN POPというこれほどのグループが活動を継続できなくなる。
どこかに「仕方ない」と決断を下した責任者がいるのだろう。どこかにその原因となった事象を起こした者がいるのだろう。

それらの人たちの中には、今日、Zepp Shinjuku へ足を運び「僕らのうた」を見た者もいるだろう。

どうだ。お前がつぶしたグループは
これほどのパフォーマンスをするグループなんだぞ
これほどファンを熱くするグループなんだぞ
これほど美しい人柄に満ちたグループなんだぞ
これほど慕われるメンバーがそろったグループなんだぞ
これほど多くの人を熱く、美しく、やさしく魅了するグループなんだぞ

メンバーの力不足などでは絶対にない。
これほどのグループがなんらかの理由でこのような憂き目に合うこと、それを招いた者が(少なくとも表向きには)何も発信することもなく、頭を垂れるでもなく、のうのうとしているように感じられること。

そのことが途方もなく悔しい。

CROWN POPは唯一無二のグループだ。
かわいいは言うまでもないけれど、美しく、かっこよく、やさしさにあふれ、あたたかさに満ち、こぼれるほどの愛を湛えたグループだ。

「好き」と「かわいい」をNGワードにしたら持ち曲がなくなりそうなアイドルグループが跋扈する中、CROWN POPが描く多様でいて、それでいながら #クラポかわいい にすべてを内包してみせる世界は、CROWN POPにしか創り出せない世界だった。

もうこの世にCROWN POPはない。
けれど彼女たちと我々は「僕ら」でありつづける。

どうだ!という誇らしさと、なぜ……という悔しさの中で、CROWN POPのLAST LIVEは幕を下ろした。

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