通勤電車

私は長らく会社勤めをしていました。
入社した頃は地方勤務が多く北は山形から南は神奈川まで、所謂転勤族でした。
入社からウン10年、やっと東京勤務になりました(とは、言っても名古屋生まれ。笑笑)
今からお話しするこの通勤電車は、電車内でおこった数々の出来事を赤裸々に記した、ノンフィクションドキュメンタリーです。本当にあった事実だけを詳細に書き記しています。
ま、ちょっとは‥。(笑笑) ほんとだよ。

1 何処へ⁉︎
東京勤務になり、初めて通勤電車に乗る事になりました。最寄駅のK駅からT線でA駅までの片道50分位の行程です。
「まぁ、1時間位なら楽勝だよね」
私は完全になめていました。東京の通勤電車地獄を、知らなかったのです。
K駅のホームで電車を待っていました。確かに電車に乗るために多少の列はありました。
私は何の気なしに電車に乗り込み、向こう側のドアと入って来たドアの真ん中辺りにボーっと立っていました。
「勤務初日か?上司はどんな人かな?」
ちょっとウキウキしていました。
そうこうしているうちに、電車内の人はどんどん増え続け身動きが取れなくなって来ました。
次の駅で停車した時に大量の人が雪崩の様に飛び込んで来たのです。
「ああっ!」
と思った瞬間、人の波に押され、体は押された方向に、足は現在地に留まっていたので体が半分浮いた様な状態になり、何と片方の靴が脱げてしまったのです。
体は奥の方へ押され私の靴はと言うと、人混みの中に消えてしまったのです。
「ああ!私の靴は!靴は!何処へ!」
と言ったかどうか記憶にありませんが、その日はさんざんでした。A駅に着いて会社のビルを間違えてしまい(同じ名前のビルが2つ)上司からは初日から遅刻とは何事だと言われ、その時初めて東京の恐ろしさを知ったのです。
通勤電車は嫌だ!似たようなビルが多過ぎる!
次の日から私は会社に行きたくなくなりました。

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