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ヒマラヤを歩いた時の話 その2

ヒマラヤの奥地を、6、7000m級の山々を眺めながら、村々を渡り歩くトレッキング。そんな冒険心くすぐられる言葉に導かれ、ネパールのヒマラヤでアンナプルナ・サーキット・トレックを歩いた時の話(その2)。

DAY3:アッパー・ピサン→マナン

この日も早朝に出発した。ロッジでチャイだけもらって朝食を食べなかった。まだ太陽が山の陰に隠れている間に出発した。道は山の中腹を歩く道だった。谷を見下ろせ、対面の山も見渡せた。

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やがて道が急になる。一気に山を登るようだ。道はつづらおりとなっていた。ザックの重みを感じながらゆっくりと足を進める。山陰から現れた太陽に照らされ急に体が暑くなった。もうすぐ次の集落にたどり着く。

ギャルという村に着いた。村の入口のすぐ横にパゴダがあって谷を見下ろせるようになっていたのでそこで休憩した。眼下には今歩いてきた道を登って来るハイカーがいた。休憩もほどほどにして再び歩き始める。

しばらく山の中腹を緩やかに登ったり下ったりする道が続いていた。村をいくつか通り過ぎた。視界にはいつも谷向こうの山々が見渡せた。

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やがてメインロードに合流した。道は広く緩やかだった。途中チェックポイントで許可証を見せ、マナンという村に着いた。

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マナンはこのルートの中では大きい村で、多くのハイカーがこの村で高度順応のために2泊する。そのため、たくさんのロッジやカフェがあった。僕もここで2泊するつもりだった。村にはたくさんのハイカーがいた。僕はいくつかロッジを見て、良さげなロッジにチェックインした。午後はのんびりと村を散策したり、屋上でぼーっとしたりしていた。

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夜ロッジの食堂で夕食を注文し待っていると、地元の人たちがストーブを囲んで楽しげに話していた。彼らは何か飲んでいた。聞いて見ると「アラ」と呼ばれる地酒らしい。僕も一杯注文し、ストーブの側で彼らに混じってアラを飲んだ。

彼らの顔立ちが日本人に似ているためか妙に親近感がわく。アラも焼酎のようで、まるでどこか日本の田舎にいるような気分になった。ハイカーはほぼ欧米人だが、正直地元の人たちに囲まれた方が安心感がわいた。何日も一人で黙々と歩き続けている僕には安らぎのひとときだった。

DAY4:マナンにもう一泊

この日は高度順応のためにマナンにもう一泊した。午前中は村を散策した。どこからかお経が聞こえて来たのでその声の方へ行って見ると、お寺に大勢の人が集まっていた。たくさんのえんじ色の袈裟を着たお坊さんと地元の人と観光客だった。お坊さんはパゴダの方に向かってお経を唱えていた。パゴダの白が真っ青な空に映えて美しかった。

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その後村から谷を降りて、川の対岸のビューポイントまで行ってみた。綺麗な水色の湖がよく見えた。対岸のマナンの村もよく見えた。

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村に戻り遅めの昼食をカフェで食べた。おいしそうなパンが並んでいた。僕はアップルパイとコーヒーを注文した。まるで街中のカフェのようだ。ヒマラヤの奥地だとは思えなかった。

DAY5: マナン→ティリチョ・ベース・キャンプ

マナンからは道が二手に別れていた。メインの道とティリチョ湖へのサイドトリップの道だ。僕はティリチョ湖へサイドトリップすることにした。

昨日までとは打って変わって、空は雲で覆われどんよりとしていた。寒かった。ずっと渓谷の道だった。いくつか村を通過した。

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次第に道は細くなっていった。かなり崖ギリギリのところもあり、一歩間違えば滑落するような道だった。慎重に前へ進んでいく。

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やがてティリチョ・ベース・キャンプにたどり着いた。背後には切り立った山がそびえていたが、頂上は雲で見えなかった。いくつかロッジがあったので、大きなドミトリーのあるロッジにチェックインした。かなり多くのハイカーが泊まっているようだった。ほとんどが欧米人だった。

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DAY6:ティリチョ・ベース・キャンプ→ヤク・カルカ

雪が降っていた。これではさらに高いところにあるティリチョ湖へ行くのは危険だった。そもそもこの天気では湖すら見えないだろう。僕はしばらくロビーから外を眺め天候が回復するのを待っていた。数人のハイカーが雪の中先へ進んで行くのが見えた。

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結局この日天候が回復する見込みはなかった。もう一泊することもできたが、周りには何もなくやることがなかった。そもそも明日天気がいいとは限らない。僕はこの日のうちにメイントラックに戻ることにした。

雪が降る中歩き出した。途中までは昨日歩いた道だった。途中マナリーではなく先の村までの道を歩き出した。次第に雪が強くなって来た。視界も悪かった。そして、とても寒かった。まるで苦行のようだった。

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正直かなり歩くのがきつかった。それでも歩き続け、やがてメイントラックへ戻った。僕は先の村の方へ向かった。早く村に着け、と自分に言い聞かせた。

ヤク・カルカの村に着いた。割と大きな村だった。僕は目についたロッジに入り、空いている部屋があるか聞いた。部屋はあるようだったのでそこに泊まることにした。僕はかなり疲れていたので少しベッドに横になった。

夜食ロッジでトゥクパ(ネパール/チベットスープ麺)を食べた。温かいスープでからだがとても温まった。

(歩いた時期:2019年11月上旬)

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