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イスタンブールで街歩き、食べ歩き

アジアとヨーロッパが混じり合うイスタンブール。歩いても歩き尽くせない、食べても食べ尽くせない、旅人の心と腹を満たす街。そんなイスタンブールへの旅の話。

イスタンブールへ

カイセリからの夜行バスがイスタンブールに着いたのは夜明け前だった。バスターミナルから別のバスに乗り継いでトラムに乗った。まだ夜は明けてないというのにたくさんの人が乗っていた。おそらく皆出勤しているのだろう。

僕はスルタンアフメットという駅で降りた。多くの人がここで降りていった。僕は予約しておいた宿へ向かった。この時間にチェックインできるとは思っていなかったが、せめて荷物だけでも置かせてもらいたいと思っていた。

駅のすぐ横には公園があった。グーグルマップに従い、僕はその公園へと入っていった。どうやら宿は公園の向こう側にあるらしい。多くの人が公園を歩いていた。それは散歩というよりは、足早に職場に向かっているようだった。

次第に空が明るくなり始めた。ふと視界に大きな建物が目に入った。モスクだった。ライトアップされ、薄暗闇の中美しく浮き上がっていた。これが有名なアヤソフィア(実際にはモスクではなく博物館)だった。

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今度は反対側に目をやると違うモスクがあった。アヤソフィアほどではないが、ほのかにライトアップされていた。これがブルーモスクだ。すぐ近くまで行ってみた。モスクはひっそりと静まり返っていた。

まだ観光するには早すぎるようだ。僕は宿へと向かった。

アゴラ・ゲストハウス

僕が泊まったのはアゴラ・ゲストハウス(Agora Guest House)だ。日本人旅行者の間でも有名でかなり評価がいい。他のゲストハウスよりも少し高いなとは思っていたが(それでも安い。バックパッカー感覚ではやや高い)、イスタンブールには数日滞在する予定だったので快適さを求めこの宿にしたのだ。

実際評価通り、快適な宿だった。日本人もいたが、この時期(12月中旬)はさほど多くないようだ。そしてスタッフがフレンドリーだった。僕が朝早くやって来たにも関わらず、空いている部屋に入れてくれた。その上朝食も食べていいと言ってくれた(朝食無料だったが、通常では泊まった翌日の朝食が対象。つまり一食分得をしたのだ)。なんともありがたかった。

僕は部屋に荷物を置いて、屋上へ向かった。受付で「朝日を見れる場所はないか?」と訪ねたら、「屋上」と返ってきたのだ。最上階がダイニングとなっていて、その横のテラスから屋上へ行くことができた。

屋上からは周りの建物やモスク、ボスポラス海峡、そして対岸の「アジア側」が見渡せた。僕がいるのが「ヨーロッパ」側なのだ。ついにヨーロッパへ来たんだな、と感慨深かった(ここがヨーロッパと言うならば)。朝日がちょうど昇っていた。

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朝日を見終わった後、僕は朝食を食べることにした。ビュッフェだった。種類も豊富だった。いろんなものを少しづつ皿に載せても、皿いっぱいになった。この日からこのビュッフェが僕の毎朝の楽しみになったのだが、毎朝お腹いっぱいになった。

ガラタ橋とサバサンド

宿で朝食をゆっくり楽しんだ後は街へ出た。モスクやバザールへ歩いて行ったり、トラムに乗って少し離れたところに行ったりした。アヤソフィアやブルーモスクのある広場はいつも人でいっぱいだった。バザールにはいろんなものが売られ、街中にはいろんな店があった。見ているだけで楽しかった。

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特にガラタ橋はお気に入りだった。僕は毎日のように橋へ行った。有名な橋で、観光客も多かった。橋の上では地元の人たちが釣りを楽しんでいた。そしてこのガラタ橋周辺で有名なのが「サバサンド」だ。

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サバサンドはその名の通り、サバのサンドイッチだ。サバと言えば焼きサバのイメージを持っている僕には珍妙な組み合わせだった。「サバはやっぱり白飯だろ」という結論にいたるために「一応試しておこう」という上から目線で、サバサンドを食べてみた。そしたら、これがなかなかいける。

焼きサバにキャベツの千切りが細長いパンに挟まれている、という極めてシンプルなものだった。しかし、変に味付けされている訳でもなく、サバの塩加減が妙にパンとあうのだ。僕はこのサバサンドが好きになり、イスタンブールにいる間にまた何度か食べたほどだ。

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ガラタ橋周辺ではどこもサバサンドを売っていた。どこも同じ値段だったが、橋から街に入るあたりの小さなサバサンド屋では値段が他よりも安かった。そして地元の人たちで混んでいた。僕もこの店へ何度か足を運んだ。他の店は売店やレストランのついでみたいにサバサンドを売っていたが、この店はサバサンド専門店のようだった。感じのいい、かっこいいおじさんがやっている店だった。いかにもこだわりの店という感じがした。

ちなみにサバサンドはこの周辺の名物なようで、普通はケバブやハンバーグのような肉を挟むサンドイッチが主流だ。こういったサンドイッチ屋もいろんなところにあった。僕は昼飯にはサバサンドかこういうサンドイッチを食べていた。

街歩きにつかれたら

毎日ひたすら街歩きをしていると、小腹が空く時もある。そんな時は街のいたるところに露天の店を探した。人が多いところであればすぐに見つかる。

スィミットというリング状のパンや焼きとうもろこし、焼き栗が売られている。どれも素朴な味だった。小腹を満たすにはちょうどいい。そして値段も安い。僕はとうもろこしが好きだった。日本のもののように甘くはないし、かたかったが、この素朴な味と歯ごたえが僕は好きだった。

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歩くのにつかれたら、チャイ屋へ行った。店構えのあるチャイ屋もあれば、路上に椅子を出しているようなチャイ屋もあった。僕は路上に出された席に座り、街ゆく人を眺めながらチャイを飲むのが好きだった。

トルコではチャイは綺麗なガラスのカップで出されることが多い。紅茶の色がキレイに引き立つ。少し苦味のあるチャイだ。お好みで砂糖を入れる。

路地裏にお気に入りの店があった。この店で流している音楽がとても街の風景にマッチしていた。僕はこの音楽を聴きながら、チャイを飲み街を眺めている時間が好きだった。まるで自分も街の風景の一部になったような気がした。

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路地裏のバルカン・ロカンタスィ

夜は同じ店に通いつめた。バルカン・ロカンタスィ(Balkan Lokantasi)という店で、地元の食堂といった感じだった。同じ宿に泊まっていた日本人が教えてくれた。割と観光客の間でも有名らしく、僕が宿で会った人と食べに行った時、トランジットでイスタンブールに立ち寄った日本人がわざわざ来ていた。

何と言っても種類が豊富で、値段が手頃だった。3〜400円程度でお腹いっぱいになった。注文するのにメニューはなく(外にあったが何が何かわからなかった)、実際に食べたいものを指差して選べた。毎回違うものを選んだ。値段がわからなかったけど、どれも安かったので安心して選べた。この夕食も一日の楽しみとなった。

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こんな風にして僕はイスタンブールでは食べてばかりだった。モスクや博物館にはあまり興味はなかったが、もっとイスタンブールにいたいと思わせたのはこれらの食べ物のおかげだったと言ってもいい。

街歩きと食べ歩きが楽しめる街、イスタンブール。また行きたい場所だ。

(トルコ旅行:2019年12月中旬)

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