成瀬真央まとめ

意識的に生者を死者として扱うことは最も初歩的な呪詛です。

呪詛、呪いとは主に物理的な手段を使わずに精神的、あるいは霊的な手段で他者に不幸をもたらそうとする行為です。

「あいつは不幸になればいい」「死んでしまえばいい」と考えるだけでも呪いの一部に定義されます。

しかし冒頭でも書いたように呪いたい相手の不幸を願うだけではなく「あいつはもう死んでいる」と考えることも呪いとされます。

創作物での学校内におけるいじめ描写で、対象になった子供の机に花が生けられた花瓶を置かれているような描写を見たことがある人は多いと思います。もしくは実際にその現場を目撃したりしたことがある人もいるかもしれません。

これは前述した呪いをより儀式的にしたもので、非常に危険な行為と言えます。

では逆に死者を生者として意識的に考える行為はどうでしょうか?

これは降霊術の一つしても分類され、古来より人間が禁忌としてきた行為です。

世界中に存在する葬儀本来の目的とは、死者と生者の境界を、儀式を通して明確に区別することにあります。
死者のための儀式ではなく生者の為の儀式なのです。

つまり生者と死者の境界を意図的に歪めることはどんな形であれ危険な行為と言えます。

以上のことを踏まえ、この記事に登場する「成瀬 真央」は既に亡くなっていることを念頭に置いた上でご覧になって下さい。

今からご覧になられる記事は、とあるブログ記事の2021年7月30日から2021年10月9日までの「成瀬 真央」に関する記事を抜粋、編集をした上でまとめたものです。

※一部不快になる表現、画像が含まれています。予めご了承ください。



7月30日「友人に聞いた奇妙な話」

卒業生アルバムの個人写真ページ

上記の画像は私がインターネットで知り合ったオカルト好きの友人から「ヤバイ物を買ったかもしれないから見てほしい」とメールに添付されていた画像です。

ことの経緯としましては、友人は日頃から某フリマアプリ(※1)にて「曰く付きの物」やそれに準ずる物、所謂インターネット上で「呪物」と呼ばれるような物を物色して、場合によっては購入することもあり、この卒業アルバムも例に漏れずフリマアプリで購入に至ったそうです。

(※1)インターネット上で個人間での物の売買ができるサービス

このアルバムは「呪いの卒アル」というなんとも雑な商品名でフリマアプリ上に掲載されていたらしく、商品名とは別にある詳細文にも

質問は受け付けていません。

の一文だけだったそうです。

さらにこの商品は、出品者が設定できる最低金額の300円という金額で出品されており、大半の「呪物」はただ古くなった物に「◯人呪い殺した」や「夜な夜な動きだす」といった、いかにもなストーリーを装飾し暴利な価格で売られている中、それは明らかに利益を度外視した売られ方で、彼は「逆にこれは何かあるかもしれない」と思い、300円という破格の値段も相まって迷わず購入したといいます。

一つ気がかりだったのが商品情報の最終更新日が半年以上前で、出品者が他の取引をしている様子もなかったのでアプリ自体を放置している可能性も考えたらしいのですが、それは杞憂に終わり、僅か30分程度でアプリ側から商品の発送通知が届いたそうです。

数日後「呪いの卒アル」は必要最低限の梱包が施された状態で友人宅に届きました。

届いたそれの深緑の表紙には、フリマアプリの不鮮明な写真では確認できなかった「██市立████小学校」の文字とその上部には2011年と記載されていました。そしてアルバムの状態はかなり良好で、ほとんど使用された様子はありませんでした。

友人は1ページずつおかしい箇所はないか丁寧に見ていったそうですが、結果としてそのアルバムの異常性は、丁寧に見るまでもなく誰が見ても明らかなものでした。

卒業アルバムには必ず存在するページ、卒業生の個人写真が載っているページに"それ"はありました。

一人だけ突出して粗く、もはや知り合いであっても誰が写っているのか判別が難しいのではないかと思われるほどの低解像度の写真が「成瀬 真央」という少女の写真に採用されていました。

例えば、何かしらの理由で個人写真の撮影日に参加ができなかった。または集団生活をおくることが困難な生徒が、通常の形式とは異なる個人写真を採用されることは特段珍しいことではありません。

しかし、この写真は仮にそのような事情があったとしてもおよそ正気の沙汰とは思えない低解像度で、誰が見ても不可解さを感じざるを得ないものでした。

どのような理由があればこの写真を卒業写真として採用する状況になるのか。友人はいくら考えを巡らせても結論に辿り着くことはできませんでした。

彼は何か手がかりはないかと、他のページも確認してみました。卒業アルバムには通常、卒業文集や生徒に関する何かしらの情報が記載されていることが一般的です。

結論から言うと成瀬真央に関する記載は"普通に楽しく学校生活をおくる小学生"でした。
しかしこれは返ってこの個人写真の不気味さを際立たせることになりました。

同クラスの卒業文集を全て確認しても、運動会や修学旅行の学校生活の思い出が語られる中で、彼女の名前はかなりの頻度で登場する為、比較的友人は多かった普通の生徒だと思われます。

でも、そうだとしたら、そんな生徒の個人写真がなぜ"これ"なのか。誰一人変だと声をあげることはなかったのか、もしくはできなかったのか......

8月4日「先日の呪いのアルバム?について」

7月30日に記事にしたアルバムについて進展があったので報告します。先日色々考えた結果、友人に例のアルバムについて調べさせてほしいとアルバムを郵送してもらうように申し出ました。友人は快く了承してくれて、現在私の手元にあります。

まず私が考えていたのは、イタズラ目的での後から個人がページごと差し替えたパターンです。

しかし実物をよく確認してみると表紙とページ部分の丁合部分(接合部)に加工されたような痕跡は全くなく、決して不可能ではないですが、イタズラ目的で一般人がここまで完璧な差し替えをすることができるのか。さらにそれを反応が得られる可能性の低いフリマアプリに安価で出品するだろうか?という疑問が強く残るので、一旦これは"最初からこの写真が使われていた"と仮定して調べていきます。

一番確実なのはやはり小学校に直接問い合わせることでしょう。しかし当然といえば当然なのですが、個人情報の扱いが厳しい今の時代、さらには部外者の私がまともに対応してもらえるはずもなくほとんど門前払いでした。

つまり、これは最終手段になりますが、私は卒業アルバムの情報を元に成瀬真央本人、もしくは同学年の卒業生を特定して直接コンタクトを取ることにしました。

卒業した小学校と名前さえ分かればSNS上で特定することは然程難しいことではありません。

結果、成瀬真央本人のアカウントを見つけることはできませんでしたが、同級生3人ほどにコンタクトが取れ、最初はやはり警戒されましたが、できる限り私の情報を開示し、これまでの経緯をすべて話しなんとか取材させていただけないか説得しました。

そして近日、同学年で他クラスに在籍していたAさん、同クラスのBさんとCさんの三人にインターネット通話にてそれぞれインタビューさせてもらうことが決まりました。

8月12日「Aさんとの通話内容書き起こし」

[挨拶省略]

Aさん︰
そうですねぇ。僕は隣のクラスだったものであんまり覚えてないんですよ。
卒アルも多分実家にあるかな?確かに変な写真があったような気もしますね。
でもまあ、あのクラスは何か変な雰囲気でしたね。

筆者︰
変というのは?

Aさん︰
なんか陰気臭いというか、どよーんとしてて、6年生に上がったあたりからみんな変な感じになりましたよ。

あとなんだっけ「どざあぼ」とかいう幽霊が出るとか噂があって、あのクラスはよく学年合同の行事に参加しなかったりとか、何だったんでしょうね?

なんでしょうね「どざあぼ」って

なんで覚えてないんだろう。なんだか誰か、死んだ気がする。誰だったかな。

筆者︰
死んだ?誰が亡くなったんですか?

Aさん︰
あー、すいません。用事を思い出したんで、通話を切ります。

[通話終了]

8月14日「Bさんとの通話内容書き起こし」

[挨拶省略]

筆者︰
内容は以前お伝えした通りですが、成瀬 真央さんの個人写真は何故あのような不可解な写真が採用されたのか、それと"呪いの卒アル"としてフリマアプリで出品されていることについて何か思い当たることはないでしょうか?

Bさん︰
えっと、SNSでも言った通り、あの写真について詳しい事情は分かりません。
成瀬さんは小学4年の春に私達の学校に転校してきて、それからずっと同じクラスでしたが深い交流もあったわけではありませんし。

ただ......あれが呪いの卒アルって言われてるのは私達の学年では有名な話でして、私も含めてですがあの卒アルを手放したという人はかなり多いと思います。

筆者︰
呪いの卒アルと呼ばれているのはやはりあの個人写真が不気味だと感じた生徒が多かったのが原因なのでしょうか?

Bさん︰
それもあると思います。でも。

(数十秒の沈黙)

筆者︰
大丈夫ですか?

Bさん︰
はい。実は成瀬さんは6年生の頃に亡くなったんです。

もう11年経つんですね......
たしか学校から帰宅途中に行方不明になり、2週間ほど経ったあとで川で遺体が発見されたって聞きました。彼女が発見された川で何度か一人でいるところを何人かの近隣住民が目撃していて、夏場では珍しくない水難事故という扱いでした。

筆者︰
それで子供たちの間で、亡くなった成瀬真央さんの写真が載った卒アルが呪いだと騒がれはじめたんですか?

Bさん︰
それだけじゃなくて、そもそも成瀬さんが亡くなってから私達のクラスは少しおかしくなったんです。
はじめは彼女の母親がよく私達の学校に来るようになりました。
おかしいですよね、死んだ娘がいた学校に何度も来るなんて。
だらしなくて汚い格好でよく廊下から教室内をボッーと見てました。
私も一度目があったことがあって会釈したんです。そしたら何も言わずにずっとこっちを見てきて、気持ち悪くてすぐに目を逸らしました。

しかも毎日のように学校に来るから、担任教師があの母親と廊下で話し合ってる様子も見たんですけど、全く話が噛み合ってないし、先生もどんどん疲弊しておかしくなってました。
ある日「真央はあそこに座ってる」って大声で叫びながら花瓶が置かれた机を指さしていたのをよく覚えています。

「子供が死んで気が狂った」と半分馬鹿にしていた生徒もそれを聞いて怯えるようになったんです。

筆者︰
それは娘を亡くし精神的に不安定になった母親の幻覚だったり、妄想による言動なんでしょうか?
それとも本当に霊的ななにかがそこに居たんですか?

Bさん︰
当時は母親がそう言ったなら本当に幽霊がいるんじゃないかと私は思いました。でも、今考えると、あれはそんな単純なものじゃないと思います。もっと何か、悪いもので、私達じゃどうしようもないものが産まれてしまったんだと思います。

筆者︰
それが「呪い」なんでしょうか?

Bさん︰
私はそうだと思ってます。

筆者︰
Bさんや他の人が、実際に呪いと思われる現象やその「何か」を本当に見たことはあるんですか?

Bさん︰
ええ、プール授業のときです。シャワーを浴びてプールサイドにみんなで移動してたら「なんかおる」って誰かが指を指したんです。
私は確かに何かが浮いてるのを見て、その場に蹲りました。みんなパニックになってその日からプール授業は中止になったんです。
それから学校に来なくなる子が増えてきて、プールだけでなく、最後の運動会も修学旅行も、反対する生徒ももちろんいましたが、私達のクラスは不参加という形になりました。

筆者︰
つまり、成瀬真央さんが亡くなってから母親の奇行や、プールでの幽霊騒動。様々な要因が重なり、最終的にあの卒業アルバムによって「呪い」という認識がAさんとその周りの生徒で決定的になった。

Bさん︰
そうです。卒業アルバムは卒業式当日に配られました。とはいえ、あれが卒業式と呼んでいいのか分からないですが、私達のクラスは特例として、かなり短縮した形で別日に卒業式が行われたんです。

その頃には担任教師も学校に来なくなっていたんで、別クラスの教師が事務的な話を終えたあと、卒業アルバムは配られました。

私はもらったアルバムを開いて"あれ"を見つけたんです。周りが少しざわつきだして、他の生徒も多分同じものを見つけたんだと悟りました。ただ、もちろんあの日も、あのイカれた女は来てました。満足気に、死んだ娘の机を見てました。
だから、誰も何も言わず卒業アルバムを閉じました。

その時最初に思ったことは「結局こいつ顔ちゃんと見れなかったなあ」です。

はは、ほんと、なんなんでしょうね?いい迷惑ですよ。

筆者︰
あの、Bさん。ちょっと待ってください。今までの話を聞いて、おかしい部分がたくさんあるんです。ですがこれは私が卒業アルバムを見ただけで判断したことなので、私が間違っているかもしれないですが聞いてください。

修学旅行は中止と言いましたよね?Aさんたちの卒業文集は失礼ながら勝手に読ませていただきました。あなた達は修学旅行のことを確かに卒業文集に書いてましたよね?
そう、卒業文集、そもそも成瀬真央さんの卒業文集は確かに掲載されていました。夏に亡くなったのにどうしてですか?卒業文集を書くにはあまりにも時期が変なんです。

あなた達の卒業文集を読む限り、彼女は友人が多かった普通の生徒だと私は感じました。
どうしてあなた達を呪うのでしょうか?
本当に、本当に成瀬真央さんは亡くなったのですか?

Bさん︰
はあ?何言っとんの?

(男性複数人の笑い声)

筆者︰
誰か他にいるんですか?

Bさん︰
卒業文集?そんなもんで私達の何がわかるん?あれは、あのおかしくなった担任教師が私達に書かせただけよ?
「なるべく成瀬さんとの思い出を想像して書きましょう。修学旅行も運動会もやったことにしましょう」って
やけんね、███くんが、そんなこと書けるわけないって言ったらさあ、先生が███くんを思いっきりぶっ叩いて、口と鼻からドロドロ血流しながら息もできんごとなっとったよ。先生あんなに優しかったのに、全部あいつのせいやろ?

友人が多かった普通の生徒?勝手なこと言うのも大概にせえよ?教室にすら数回しか来たことないし、あいつの顔すらマトモに見たことないのに。
なのに、勝手に死んだくせに、私達はずっと呪われとる。あいつに。

[通話終了]

8月20日「Cさんとの通話内容書き起こし」

筆者︰
えっと、ここから録音していいんですよね?

Cさん︰
どうぞ、さっき言った条件を守ってくれるなら構いません。

筆者︰
ありがとうございます

Cさん︰
疲れてますね。大丈夫ですか?

筆者︰
はい。正直、この取材をするのをやめようかと何度も迷いました。
でも、何かこの気持ち悪いモヤモヤを抱えて過ごすくらいなら、本当のことを知りたくて今回お話させていただくことにしました。

Cさん︰
ありがとうございます。まあ、やめようとしていた所を、私が逆にお願いしたんですもんね。あはは。

では、今あなたが疑問に思っていることを教えて下さい。

[一部会話省略]

Cさん︰
そうですね。どこから話しましょうか。
とりあえず、真央ちゃんが亡くなっているのは本当です。
しかし「呪い」の部分に関しては私は少し違うと思います。

私は恐らく、あの学校でも唯一真央ちゃんとマトモに話していた生徒だったと思います。
彼女は私と同じ他校から引っ越してきた生徒でしたからね。

え?ああ、分かりませんよね。そもそも根本的にあの街はおかしいですよ。調べてみました?

余所者、貧乏人、障害者。とにかくそういうものと関わらないようにして、排除したがるんです。これはもうどうしようもないんですよね。多分渦中に居ないと気づかないと思いますし。

まあだから、私も余所者でしたし、彼女くらいしか学校でコミュニケーションを取れなかったんです。まあ私は一応教室には行ってましたけど、真央ちゃんは教室に来たくても来れるわけないんですよ。ここまで言えば分かりますかね?

だから皆知らないんですよ。A君もBちゃんも、成瀬真央本人のことは、全く。

それで、これは聞いた話ですけどね、真央ちゃんが川で遺体で発見されたとき、体全体がかなり膨らんだ状態で発見されたみたいです。それはもう頭もブクブクに膨らんで、本当にこれが成瀬真央なのか分からないくらいに。
母親は見ることを止められたらしいですけど、娘がそこにいるんだから会わせろって暴れるから仕方なく遺体を見せたんです。

そしたら母親は目を見開いて、口を裂けるくらい開いて唾液をダラダラ垂らして、唸るような声を出して数分間その場に固まっていたみたいですよ。

人間が本当に壊れる瞬間ってやつですかね。繰り返しますが聞いた話で本当かは分かりません。

でもどちらにせよ、だから母親は壊れて、娘が死んだことを認められなかったんです。

最初は私のクラスの担任教師の元に来て「どうしてうちの子の机がないんだ」って攻めて、今まで置かれてなかった机が即席で用意されて、その上にとりあえず形だけの花が添えられました。

毎日毎日学校に来て、娘の話を、生きている体でずっと担任教師に話していたそうです。
学校の下校時間で起きた死亡事故だったから、責任を感じて仕方なく話を聞いていたんですかね?

だから、先生はどんどんおかしくなった。先生も余所者だったから、唯一私にだけたまに愚痴をこぼしてましたけど。誰も助けようとしませんでした。

最終的に先生、生徒を殴って退職処分になったんですけどね。あはは。

まあだから、母親が学校に来て奇行が目立つようになってから、私達はかなり強い精神的ストレスを抱えたと思います。
まだ自己が形成されている途中の私達には、それに耐えることができず、様々な要因が連鎖して「呪い」だと考えるようになったんです。

そしてそれはまだ続いていると思います。死んだ子供の写真がそこら中に貼られたり、7年前にもありましたよね。███高校で幽霊が取り憑いたって集団パニックが起こったり。あのモンタージュ写真.......

大丈夫ですか?とりあえず話続けますね?

写真ですよね。あの、ガビガビの写真。

なかったんですよ。真央ちゃんが写ってる写真は一枚も。
だから先生が母親に家で撮った写真を卒アルに使わせてくれないかって言ったんですけど激怒されて、学校にいるから写真なんていくらでも撮れるでしょうって。

むちゃくちゃですよね。だから先生も頭抱えて、私にどうにかできないか相談してきました。一緒に写った写真はないかって。

もちろんありませんでした。真央ちゃんと写真を撮る理由なんてないですしね。

先生は写真屋さんが撮った運動会の写真とかを懸命に探してたけど、そもそも真央ちゃんはそんな行事に参加してなかったし写ってるわけないんです。

先生は最終的に自分の携帯電話で撮った写真とか動画を確認しだしたんです。もしかしたらどこかに写ってるんじゃないかって。

そんなわけないでしょう。

でもなんとなく。本当になんとなく、必死に携帯電話を確認している先生に試しに言ってみたんです。

「あ、これ真央ちゃんですよ」

それは確か、ちょっとした遠足で先生が携帯電話で撮った動画でした。あの当時でも随分古い携帯電話で撮った動画だったから画質は最悪でしたね。ガラケーとかって今だと言いますね。

その粗い動画の端っこの方に一瞬だけ映った子を、私が指さしました。

そしたら先生「ありがとう」って繰り返して私に感謝してました。色々試行錯誤して動画を切り抜いて写真を作ったらしいですけど、まあ見ての通り酷い出来でしたね。あんなものあの母親が見たらまた発狂するんじゃないかって思いましたけど、母親は普通に喜んでいたそうです。

誰が見てもあんなのおかしいでしょう。あんな気味悪い写真を本当に使うなんて思いませんでした。でもまあそれだけ、先生も学校も少し変になっていたんでしょうね。

え?あの写真?だから、何回も言ってるじゃないですか。真央ちゃんは教室にすら来ないって。だからいるわけないんですよ。

あれは真央ちゃんじゃないですよ。でもだからといってあの写真じゃ、誰かどうかも分からないですけどね。

みんな真央ちゃんの顔をちゃんと見たことないですし、もう"あれ"が彼らの中で真央ちゃんということになってるんだと思います。

本当は誰なんでしょうね?あれ

私は知らないです。適当に言ったことなので。

9月1日「成瀬真央について」

・成瀬真央は水難事故でなくなった
・成瀬真央に友人はCさんしかいなかった
・成瀬真央は教室に殆ど来なかった
・成瀬真央が亡くなってからおかしくなった母親による奇行、それに耐え兼ねた担任教師は生徒に暴力を振るった
・上記のことにより生徒達は一連の出来事を「呪い」だと考えた

・卒業アルバムの写真はガラケーで撮影した動画の切り抜きだった
・しかし写真は成瀬真央ではなかった

・「どざあぼ」とはなんなのか

9月5日「成瀬真央の遺体第一発見者ご家族へのインタビュー」

ええ、うちのじいちゃんが朝のウォーキング中に発見しましたね。
それはもう、顔を真っ青にして昼頃帰ってきて「あげな恐ろしか仏様初めてみたばい。ありゃあ、もう土左衛門ばい。土左衛門」って言ってましたね。
ああ、そうですよ。うちの弟がその子と同じクラスでしたね。
ああ、卒アルでしょ?気味悪いって弟も言うから俺が燃やしてあげました。

9月12日「歪み?」

7月30日にアップロードした成瀬真央の個人写真が変化しているとの指摘を頂いたので写真を一度再アップロードしました。

10月9日「ごめんなさい」

現在このブログは2021年10月9日の記事をもって更新を停止しています。

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