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モカラ

母の月命日がやって来ると
お花屋さんに足が向く

何にしようかと迷う花
仏花はすぐ決まる
包みの中の小菊やカーネーションの色が違うだけ

今日は何の花がいいかな
まだ咲かぬ蕾だけの芍薬、カラー、珍しい二重の百合、少し小さめの百合の花、デルフィニウム、ガーベラもある

目移りをし
迷うのも楽しい

母がいなくなってから
わたしは花の名前を覚えるようになる

今日は赤いモカラにしよう
蘭の花の一種らしい

また赤い花を選んでいる

赤は母の髪の色
おやさまの色
厄除けの色

そしてまた最後の一束の赤いモカラ
黄色や紫、オレンジがあった中
迷わずに赤いモカラを取る

「どれくらいモカラは持ちますか」と尋ねる
「モカラは暑さには強いから長く持ちますよ」
と花屋のお姉さんが教えてくれる

家に帰って水切りをして
晩には飾る

お供えのプリンスメロンは甘い香りを振り撒いている
お初のプリンスメロンは美味しいかな?

日付の変わった朝方に母は旅立った

もう肉体のない世界にいる
母を思う


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