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キングレコード制作の乗り物ビデオ「れっしゃがいっぱい」シリーズについての考察

前回からまたしても期間が空いてしまいましたが… 今回も前回に引き続き乗り物ビデオ考察をしていきます。
第2回はキングレコードが制作した乗り物ビデオの中から「れっしゃがいっぱい」シリーズを取り上げます。

「れっしゃがいっぱい」シリーズは第1期~第3期まで発売されていました。
第1期 れっしゃがいっぱい!! 1~10号車 1998年発売
第2期 かっこいい!!スーパートレイン大集合 ①~⑤ 1999年発売
第3期 決定版 れっしゃがいっぱい ①~⑤ 2000年発売

また、第1期と第2期の間には700系新幹線のデビューに合わせ「700系のぞみといろんなしんかんせん」という単発作品のビデオも発売されています。
この作品は、同メーカーが制作した働く車、船、飛行機といった列車以外の乗り物が登場する「のりものがいっぱい」というシリーズによく似た作りになっており、700系の新撮映像と第1期に登場した新幹線の映像で構成されています。

前置きの紹介が済んだところで、「れっしゃがいっぱい」シリーズの第1期~第3期までを更に深掘りしていきましょう。

第1期は1~10号車まで販売されました。
新幹線紹介パートと「いろいろなれっしゃ」パートに分かれており、新幹線パートではその回のメインとなる新幹線車両を車窓と走行シーンを交えながら紹介、「いろいろなれっしゃ」パートは新幹線以外の列車をJR特急、寝台特急、私鉄列車、その他の列車(路面電車、地下鉄等)というブロック分けをして紹介しています。


第2期は「かっこいい!!スーパートレイン大集合」というタイトルに変更されているため、続編ということが少し分かりにくくなっていますね。
内容は基本的に第1期の1~10号車に登場した列車を厳選し、全5巻に再編集したものになっています。
それだけではなく、各巻のラストに新型車両ブロックが設けられ、当時の最新車両を新撮映像で紹介しているのも特徴です。

第1期→第2期

こちらの表は、第2期に登場する列車の収録元を示したものです。(新撮映像の新型車両パートを除いています。)
お気付きでしょうが、JR特急は各JR会社からそれぞれ1種類(これは第1期も同様)、新幹線、寝台特急は各巻2種類、私鉄特急、その他の列車は各巻4種類という構成になっています。
700系に関しては新撮映像ではなく、先述の「700系のぞみといろんなしんかんせん」の映像を使用しています。
また、こうして見ると意外と各巻毎に収録元が固まっていることも分かりますね。⑤は特にそれが顕著に出ているのではないでしょうか。
どうでもいいですが、①にトワイライトエクスプレスとカシオペア(新型車両パート)を収録したり、④に成田空港行きの特急を両方収録している辺りは少しバランスが悪いなぁと思ってしまいます。

そしてこの表は2期からは収録漏れしてしまった列車をまとめたものです。
収録漏れの理由としては、まずフレッシュひたちやゆふいんの森はバリエーション違いが新型車両パートで登場しているためでしょう。
北斗、とかち、あずさやスーパーくろしお、スーパー雷鳥などは上位種別の特急が優先されたためだと考えられます。
東京発着の列車を優先して収録したかったのだと思われますが、個人的には東北地区の列車がスーパーひたちのみになってしまったのは少し寂しいですね。
9,10号車では8号車まででJR東海の特急を全て消費してしまったために、代わりにJR東日本の特急が2種類紹介されています。
また、373系や783系の車両が使われている列車が全て収録漏れしていることも気になります。

また、第2期が発売した辺りで「かっこいい!!SL大集合」というビデオがキングレコードから出ていたようです。こちらは未見のため詳細は不明なのですが、おそらく第1期の蒸気機関車の映像を再編集したものだと思われます。

第3期は「決定版 れっしゃがいっぱい」。決定版という冠と共に"れっしゃがいっぱい"のタイトルが帰ってきました。
内容はほとんど第2期と同様なのですが、いくつか新撮映像も加わっていたり、BGM差し替え(ナレーション変更のため?)が行われています。
VHSだけでなくDVD版も販売された他、キングレコード以外にアシーネという会社からも出ており、アシーネ版はパッケージが異なっていたり、各巻ごとに一部シーンが入れ替わっている(例:新幹線パートが③と④で入れ替わっている)などの違いがあります。
以下は、第2期からの変更点になります。


新幹線→E4系のBGMが変更
JR特急→フレッシュひたち、ゆふいんの森が追加(映像は第1期、第2期のものを再編集)
寝台特急→変更なし
私鉄特急→スーパーはくとのBGMが変更
その他の列車→名鉄モノレールの映像が一部削除

新幹線→300系、E3系こまちのBGMが変更、E3系つばさが追加
JR特急→I LOVE しまんとがむろとに変更(第2期から流用)、885系ソニック、シーボルト(第2期から流用)が追加
寝台特急→さくらがはやぶさ・さくらに変更
その他の列車→変更なし

新幹線→E1系のBGMが変更
JR特急→スーパーとかちの映像がキハ283系のものに変更、スーパーはつかり、有明(787系)が追加、サンダーバードの映像が新規のものに変更、みどりの映像が783系のものに変更
寝台特急→あかつきが彗星・あかつきに変更
私鉄特急→北アルプスの映像が削除
その他の列車→東京都交通局のBGMが変更

新幹線→200系の一部シーンを差し替え、BGMが変更
JR特急→スーパー宗谷、ひゅうがが追加、きりしまのBGMが変更
寝台特急→はやぶさがカシオペアに変更(第2期から流用)
私鉄特急→ロマンスカーNSEの映像が削除
その他の列車→変更なし

新幹線→700系ひかりレールスターを追加、400系つばさの映像が新規のものに変更
JR特急→白鳥をはくたか(JR西日本)に変更(映像は第1期のもの)、ハウステンボスの映像が783系のものに変更、かもめ(885系)が追加
寝台特急→富士の映像が新規のものに変更
私鉄特急→変更なし
その他の列車→変更なし

この他、車両や映像が変更されている部分については軒並みBGMの変更がされています。
筆者は第3期を第2期よりも先に見ていたので、本来あったはずの北アルプス、はやぶさ、白鳥などの映像を見られた時は軽く感動しました。
また、先述したアシーネ版においてのシーン入れ替えは以下の通り。

・新幹線パートが③と④で入れ替わっている
・寝台特急パートが①と③で入れ替わっている
・その他の列車パートが②と⑤で入れ替わっている

個人的な思い出ですが、筆者が子供時代によく見ていたのはアシーネ版なので、後になって本来のバージョンであるキングレコード版を見た時にかなり違和感がありました。

また、シリーズ全体を通して言えることは0系新幹線の不遇さですね。第1期では1号車と10号車で軽く触れられたぐらいで、第2期、第3期に至ってはほぼモブ扱いです。
このシリーズが展開されていた当時は0系が東海道新幹線から勇退する前後辺りの時期ということもあり、そこまで表立った紹介はされなかったのでしょうね。個人的には、せめて10号車の表紙を0系にしてあげても良かったかなと思うのですが…(実際は何故か400系)

いかがだったでしょうか。
この「れっしゃがいっぱい」シリーズは結構ややこしい部分も多く、一度ひとつの記事にまとめてみたかったのですが、今回ようやく実現しました。
次回の記事では、今回の内容を踏まえて現代版「れっしゃがいっぱい」の車両ラインナップを妄想で考えてみようと思っているので、よろしければそちらも是非ご覧ください。

今回の記事は以上です。
それでは。




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