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新線の下に残っていた廃線 土佐電気鉄道安芸線の名残をたどる

高知県の後免駅と奈半利駅を結ぶ、第三セクター鉄道の土佐くろしお鉄道ごめん・なはり線。大半が高架となっている同線の下には土佐電気鉄道安芸線がありました。廃線から26年後、その遺構を訪ねてみました。

(この記事は2019年6月に会員限定記事として配信したものです。)

ごめん・なはり線の「前身」、国鉄阿佐線の建設で廃線跡を活用

 四国の土佐くろしお鉄道が運営するごめん・なはり線は、土讃線の後免駅(高知県南国市)から太平洋に沿って南東に進み、42.7km先の奈半利駅(同・奈半利町)を結ぶローカル線。非電化単線ですが、最高速度110km/hのディーゼルカーが駆け抜け、土讃線にも直通。高知~奈半利間を最短1時間11分で結んでいます。

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▲土佐くろしお鉄道ごめん・なはり線。17年前に開業した新しいローカル線だが、高架橋の下には土佐電気鉄道安芸線の廃線跡がある(2006年5月、草町義和撮影)。

 開業したのは、いまから17年前の2002(平成14)年7月1日。歴史の浅いローカル線のように思えますが、その線路の下には、開業からまもなく100年を迎える廃線の歴史が刻まれています。

 その廃線は1924(大正13)年12月18日、高知鉄道という私鉄の手により開業。1930(昭和5)年までに、後免駅と安芸駅(高知県安芸市、現在のごめん・なはり線 球場前駅から南へ約130mの地点)を結ぶ区間が全通しました。

 その後、高知鉄道は高知市を中心に延びる路面電車を運営していた会社との統合を経て、土佐電気鉄道(現在のとさでん交通)の安芸線に。戦後の1949(昭和24)年には電化され、路面電車も安芸線に乗り入れるようになりましたが、1974(昭和49)年に廃止されてしまいます。

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