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次なるステージへ(ギラヴァンツ北九州 2021-6)(2021/12/07)

昨日の朝起きたら真っ先に飛び込んできたニュースがありまして。

J2ギラヴァンツ北九州小林伸二監督(61)が今季限りで退任することが5日、分かった。今後は兼務するスポーツダイレクターに専念し、育成部門の強化に本腰を入れるクラブで若い才能の発掘に尽力する。近くクラブから発表される。後任は内部昇格を軸に検討しているとみられる。

J2北九州、小林伸二氏が監督退任 クラブに残り若手育成|【西日本スポーツ】
https://www.nishinippon.co.jp/nsp/item/n/842611/

記事が出たタイミング(シーズン最終戦翌日)から考えて、公式リリース前とはいえほぼ確定事項だろうなと、見た瞬間思いました。

考えるまでもなく、小林監督兼スポーツダイレクター(SD)はオーバーワーク気味でした。ツイッターなどでいろんな方の意見を見る限り「結果はどうであれ、来年はSDに専念したほうがいいのでは」という声を多く見ていましたし、私も全く同感でした。

今季の編成で主力が多く抜かれたこと、夏の移籍期間で思うように補強できなかったことが、そう思わざるを得ない主な要因だと思っています。この時にSDに専念できていれば、もう少しマシな状況だったでしょう(もちろん、クラブの資金力の面でどうしようもない部分はあったかもしれませんが)。

いずれにせよ、やはり2020年で5位と躍進したというのが結果的には誤算でしたね。うまく行き過ぎてしまったのかもしれません。

そして午後には正式リリースがありました。

「今シーズン、なかなか勝利を届けられない非常に苦しい中でも熱い応援をいただき、ありがとうございました。
2019年からの2シーズンをいい形で過ごし、大きな期待を持っていただいた今シーズンは、さらにいいチームを作ろうと取り組んで参りました。しかし、その期待を裏切るような結果に終わったことを大変申し訳なく思っています。
わずか2年で降格してしまったのは、クラブとしてまだまだ力不足な面もあったのだと痛感しております。2019年からクラブは玉井社長を中心に改革を図っていますが、さらに強固な土台を作らなければなりません。
北九州に縁があって加入してくれた選手たちが『ここに来てよかった』と思ってくれるような環境や雰囲気、そういったものを作っていけるように、来季から立場は変わりますが、尽力していきたいと思います。
この辛かった2021シーズンの経験を無駄にしないように、この瞬間から2022シーズンでの『J2再昇格』を目指し、クラブ一丸となって取り組んで参ります。
今後ともギラヴァンツ北九州へのご支援・ご声援、どうぞよろしくお願い申し上げます」

小林 伸二 監督兼スポーツダイレクター 監督退任およびスポーツダイレクター専任のお知らせ | ギラヴァンツ北九州 オフィシャルサイト
https://www.giravanz.jp/news/p35942.html#gsc.tab=0

私が太字にしたところ(「2019年からクラブは玉井社長を中心に改革を図っていますが、さらに強固な土台を作らなければなりません」)の「土台」の部分については、2019年時点ですでに詳細に語られています。

有料記事ですが、以下は無料部分からの引用です(少し長いですが)。

■フロントと現場がタイアップしていかなくてはクラブの力にはならない
――J2復帰を目指す北九州の監督に就任されるとき、会社全体を見ていかなくてはということで現在の形を選ばれました。その意図は。
はい。監督兼スポーツダイレクターという肩書きをもらっています。通常、現場の環境や思いを上層部につなげる際には、間に人を介することになりますが、そこを兼務できれば、スムーズに社長とのやりとりが出来ると考えたんです。
監督のオファーを受けるにあたり、社長と話をしながら決定しました。可能性のあるチームがスタジアムを作ったにもかかわらず、上手くジャンプできていない。そういうときには多分、いろんな問題が出てきていると思うんですね。現場が変わるにあたってどうしたほうがいいのかというのを、間に人を介さずに現状を社長に伝えることが出来たほうがいいと思い立ったんです。
いままではそういう兼任はしたことがなかったんですね。してほしいと言われたことがあっても、そういうのはちょっと難しいと断ってきた。ですけど、逆に今回はそっちのほうがいいんじゃないかと。それはひとつには、人間の体は二つに出来ないにしても、会社が少し見えてきますよね。現場を中心に現場の状況を伝える視点と、逆にフロントが現場をどういうふうに見ているのかという視点。そういう意味でも今回はよかったと思っているんですよ。
――それはこの会社の現状を御覧になっての判断ですか、あるいはご自身の中の動機でしょうか。
そうですね、「今度はこういうことをする」ということではなかったです。現状が上手くいっていないので、現場だけでは多分、響きが薄いのかなと。これはクラブワークですから、フロントと現場がタイアップしていかなくてはクラブの力にはならない。多くのところで、われわれ現場は上手くいっていないわけじゃないですか。でも、フロントとしては予算をそれほど落としているわけでもない。観客数が落ちていてもJ3の中では上位。現場は一所懸命なんですけど、この現場の匂いをフロントに伝える役目を、しばらくは自分がやったほうがいいんじゃないかと感じたんですね。

「昇格請負人」小林伸二が語る監督のリアリズム【1】現場とフロントどちらをまず変えるべきか? : J論プレミアム
https://www.targma.jp/j-ron/2019/07/24/post361/

敢えて監督とSD兼任を受け入れた経緯、そしてこの役目を「しばらくは自分がやったほうがいい」と思ったことが記されています。

そのことを踏まえると、今回のような判断(兼任の一部解除)をクラブが下したことは「クラブとして次のステージに進んだ」と言えるのではないかと思います(意図した形ではなかっただろうとは思いますが)。

ちなみにこの人事に関しては、あくまで私の観測範囲内での話ではありますが概ね好意的に受け止められているように思います。

あとは、今後の編成がどうなるか、内部昇格と目される次期監督がどうなるか、などの部分は気になるところです。

いずれにせよ、現時点では伸二さんに今後もこのクラブに関わってもらえることを素直に喜びたいと思います。

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