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「政治的発言」って何かね

タイトルは菅原文太さん風に読んでください。元ネタが分からん人はほっときますよ。義務教育やないんやからね(これも元ネタ分からん人多数の予感)。

さて。
twitterのTL上に「#検察庁法改正案に抗議します」というハッシュタグが溢れている今日この頃ですが、皆さんご存知の通り、今回は数多くの著名人の方もこのハッシュタグを用いてつぶやいておられます。
その中で、きゃりーぱみゅぱみゅさんや岡本玲さんのように批判を受けてつぶやきを削除してしまった方も。

この手の話題になると必ず湧いて出てくるのが「芸能人は政治的発言をするな」という批判。でもこれ、例えばほんこん(呼び捨て。笑)なんかが国賊(誰のことかお分かりですね)を礼賛するツイートをしても誰も「政治的発言をするな」とは批判しないんですよね。不思議ですねぇ。

「政治的発言」と言うと、かつてケラリーノ・サンドロヴィッチさんがこのようにツイートされていました。

まさにその通り(最後の一文はともかくとして)。政治というのは我々の社会に深く関わってくること。政治に関心がないというのは日本の社会、ひいては自分の生活がどうなっても構わない。誰に何をされても文句は言わないと言っているのと同じこと。芸能人ももちろん国民の一人なのですから、自分の生活に関わってくることをつぶやくのは極めて自然なことであり、誰からも非難されるいわれなどないのです。

ここで思い出すのが、Dixie Chicksのボーカル、ナタリー・メインズさんのライブ中の発言を発端にした騒動です。Dixie Chicksは日本では今一つ知名度がありませんが、アメリカではアルバムを出せば大ヒット、グラミー賞も何度も受賞している女性3人組のカントリーバンドです。
それはイラク戦争を控えた2003年3月10日、ロンドンで行われたライブでのこと。ナタリー・メインズさんは「合衆国大統領がテキサスから出たことが恥ずかしい」と発言。これに批判が集まり、保守的な南部のラジオ局は彼女たちの曲をかけることをボイコット、挙句の果てにはCDをブルドーザーで破壊する人たちまで現れ、ナタリーのもとには"Shut up and sing"(黙って歌ってな)という強迫まで届く始末。
ナタリーは一旦、謝罪をしますが、Entertainment Weekly誌の表紙に3人そろってセミヌードで登場(写真センターがナタリー)。体には"FREE SPEECH(発言の自由)"、"TRAITORS(裏切り者)"といった文字を書き込んで、反撃を開始しました。

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その極めつけが3年後の2006年3月16日に発表されたシングル"Not Ready to Make Nice"。この中でナタリーは怒りを露わにしています。

歌詞の中には上述の"Shut up and sing"というフレーズも出てきます。

And how in the world can the words that I said
Send somebody so over the edge
That they'd write me a letter
Sayin' that I better shut up and sing
Or my life will be over

要はナタリーの発言に怒った人が「黙って歌ってた方がいい。さもないとお前の命はないぞ」という手紙を送ってきたということなんですな。

ちなみにこの曲は第49回グラミー賞最優秀レコード賞最優秀楽曲賞を受賞、同曲が収録されたアルバムTaking the Long Way最優秀アルバム賞を受賞するなど、2007年のグラミー賞授賞式はチックス一色でした。
きゃりーぱみゅぱみゅさんも今回の件をテーマにした曲を歌って欲しいなぁ。ナカタヤスタカさん、お願いします。笑


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